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2010年5月

No.351 (Web版1号)3

SF essay (167回)

川瀬広保

「2012」

 カタストロフィー映画、またはデイザスター映画「2012」はかつてないほど、迫力のある世界滅亡のSF映画だ。予約してあったDVDが届いたので、さっそく見た。
 2009年映画だから、去年から見て2012年というのはごく近未来というわけだ。そういえば書店にも2012関連の本が並んでいる。
 惑星直列による地球の終りという予言本は今までにもあった。今度のこの映画は地球の壊しかたからいっても、なかなかの迫力だ。早々にアメリカ大統領は死んでしまうし、残ったのは現代のノアの方舟乗ることができたごく少数の人間だけだ。
 そして、ヒマラヤ山脈は津波にのまれて水没し、それ以前に日本列島は簡単に沈没させられるしで、結局アフリカ大陸の一部が地殻変動のために隆起して、そこだけが人類が生き延びるための陸地になるというかつてない設定で面白い。
 面白いが、気分が滅入るのも確かだ。だって、あと2年後でしょ!これが本当になったら、滅亡する方のひとりだね、私は、と思った。反面、ちょっと漫画的だと思うところもある。つまり、地球が壊れることによって、世界を滅亡させるのは徹底的だが、ここには何らかの思想性がない。一言でもいいから、おごり高ぶった人類が「神」から天罰を下されるというような言葉があればまた、違った感想を持ったかもしれない。
 いや、この映画の作者はわざとそういうものを避けたのかもしれない。
 それにしても、「アバター」の時と同じように、ニュースに取り上げられた。

 3月25日の朝日新聞朝刊の国際欄にいわく、

       米映画「2012」見たら逮捕!

 という記事が載っていて、某隣国内で米映画「2012」をDVDで見た住民が逮捕されている、とある。主席生誕100年という重要な年にこんな映画をみるな、ということらしい、とある。

 私は日本人でよかったね、と思った。それだけ世界的に影響力があるよくできたパニック映画だといえるだろう。
 1999年の時も、結局は何もなかったから、まあ、大丈夫でしょう。しかし、最近のチリ地震とその大津波、ハイチの大地震、去年の静岡県西部の地震、昨今のいつまでも続く寒さ・・・。こういうのに接すると、何かの前触れかもなどと思ってしまうが・・・。

「ザ・ムーン」

 以前、ツタヤで借りてきて一度見たが、よくできたドキュメンタリー映画なので、インターネットで購入して、再度見た。
 アポロが月へ行って、人類が初めて月へ降り立ってからもう40年経ったことを、改めて実感した。
 このときは、私は大学生で確か東京のどこかの食堂のテレビで中継を見守った記憶がある。あのときは何十億もの人類が、月に落ち立つ瞬間を見た。
 バズ・オルドリン、マイク・コリンズ、アラン・ビーン、ジム・ラヴェルら、かつての英雄たちも歳を取ったなあというのが、まずいつわらざる感想だ。ラヴェルはもう82歳になるし、その他の面々も80歳か78歳ぐらいの年齢だ。
 だが、これらの英雄たちの思い出やコメントを聞いていると、かつての彼らの好奇心や勇気やフロンティア精神が、まだ大いに感じられて、大げさに言えば、血が騒ぐ思いにさせられる。
 それにしても、40年前には、2012年ごろになったら、それこそSFの世界みたいに、われわれ人類は、次は火星に、金星にと次々に有人宇宙船で太陽系を探索していたであろうと思っていたのに、実際の2010年は、まだその後、月へ再び、人間を送っていないし、火星になどはもちろんだ。
 この現実との差はいったい何だろうと思ってしまう。
 それはそれとしても、この「ザ・ムーン」は実際に、望遠鏡で晴れた夜、どんな月齢の月でもいいから見ていると、あの夜空に光っている「月」に本当にわれわれ人類は到達し、足跡を残してきたのだと、あらためて、感慨深いものを感じざるをえない。
 アポロ40周年の記念すべきこのドキュメンタリー映画は、必見の映画であると言えよう。
               (2010・3・29)

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No.351 (Web版1号)2

La SAGA
  de los
AZNAR

《アスナール・サーガ8》
バレーラ暴動 Motin en Valera
ジョージ・H・ホワイト George H. White

中嶋康年

 スペインのスペースオペラの八巻目。収録作は第十九話「バレーラ暴動」第二十話「植物人間の謎」の二話分。
 居住可能な惑星を探して旅をするバレーラは、遠い昔にナウム人と戦って絶滅したトルボッドの母星だった星を発見した。しかし、バレーラ内では、実権を握り、主要なポストを独占していたアスナール一族に対する反乱が、バーマー一族によって企てられようとしていた。ミゲルの妹と結婚したホセ・ルイス・バーマーも反乱軍に加わっていたのである。
 ついに、バーマー一族は行動を起こした。アスナール一族に退陣を求めるだけでなく、今は、未開の星と成り果てたトルポッドの母星に追放しようとしていた。ミゲルは同胞同士で戦うのを避けようと、自ら進んで船を降りようとしたが、ナウム人の妻のアンバーはミゲルの行動は理解できないと腹を立て、護衛数名を連れてナウムへ還ってしまった。一方、強硬な手段に出た夫のホセ・ルイスを嫌って、ミゲルの妹のエストレーリャは娘を連れてアスナール家へ来ていた。子供のことを想ったミゲルは夫のところへ戻れと諭すが、妹は拒否する。いよいよ追放という時に、ホセ・ルイスは説得に再度あらわれ、娘だけは連れて行こうとするが、ミゲルの母のメルセデスが孫を連れて先に惑星へ降りてしまった。二十万人のアスナール一族を残してバレーラが去ったその夜、ホセ・ルイスはひとりで家族の前に姿を見せ、ここに残る決意を語るのだった。
 探検隊を組織して、ジャングルに分け入ったミゲルたちは、原住民と見られる女戦士達の襲撃を受け囚われの身となるが、彼女らが話していたのは、スペイン語だった!その昔、トルボッドが地球から連れてきた捕虜の生き残りらしい。ちょうどそのときに病気になっていた族長のアマティフを治療したことで、ミゲルたちは解放された。
 しかし、その夜、月が消えるという現象が起きた。原住民の間では大騒ぎだったが、ミゲルたちは、月と見えたのはトルボッドの球形船であると結論付けた。ちょうどその時、アスナール一族がコロニーを建設していたあたりに大きな爆発が起きた。空には「円盤」が飛んでいるのが見えた。トルボッドの攻撃を受けたのだ!山の中腹に散在する洞窟の中を焼き払うために着陸した円盤をちょうど目撃したので、ミゲルたちは急襲して円盤を乗っ取ることに成功した。高速移動の手段を得たアスナール一行は次々と鉄鉱石の鉱床を見つけて製鉄を始め、道具や武器の制作に取りかかったが、その途中、突然に全長5mの樹木に枝の手足がついた植物人間に襲われた。銃弾などの武器は全く役に立たない。火炎放射器でやっとのことで撃退したが、倒した樹木人を調べてみると、頭部にアンテナのような物がついている。トルボッドに操作されていると結論付けたカスティーヨ教授に従い、どこかにあるトルボッドの基地を捜索して攻撃をしかけることにした。そうすれば、地球に帰還することもできるだろう。同時に、分捕った円盤でトルボッドの生き残りのことを警告するために、ナウム星にまた戻ることも決定した。遠くに見える火山にトルボッドの基地があると見たミゲルは遠征団を組織して出発したが、それはあまりにも過酷な道程だった。
 今回の主人公、ミゲル・アンヘル・アスナールは息が長い。いままでは、1話完結で主人公が変わっていたが、さすがに、始祖と同じ名前だけある。初代のミゲルは六話連続で主人公であった。今度のミゲルはそれ以上はいけそうである。まだ続くミゲル・アンヘル・アスナールの話は次回「人類の災厄」「反乱軍の巨人」「獣人の降伏」の三作。

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No.351 (Web版1号)1

ルーナティック28号のお知らせ 

ことしの夏に発行予定のルーナティック28号についてのお知らせです。
特集内容として
「アポロ計画」
「SF漫画またはファンタジー漫画」
「未来史を扱った作品」
「エスパー」
の四つがあげられています。
今年、柴野拓美氏、浅倉久志氏という日本のSFシーンにおいてきわめて重要なかたがたを失うという悲しい出来事がありました。PMでも追悼記事を掲載しておりますが、ルーナティックでも皆様の思い出等を募集しております。

特集記事以外の、創作、翻訳、評論、作品紹介、面白い話題、イベントなどの紹介や解説などの原稿ももちろん募集しております。
送っていただく原稿は、5月末までにお願いします。
もし、5月末までに間に合いそうにない場合でも、事前に原稿の大体の枚数を連絡していただければ、若干でしたら締め切りの日程のご相談もできると思います。
原稿のサイズはB5です。

送り先はPM編集部へ郵送か、もしくは電子メールでしたら
cbf06066.cap.y@nifty.com まで
              ルーナティック28号編集部

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