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2010年12月

No.356 (Web版6号)2

ラッチャング制作日誌                       

新村佳三

「空飛べFSM」

ここ、静岡県で来年SF大会が開催されるわけであるから、何かしら行動を起こさなければならない。

そういうわけで、静岡県を舞台にした特撮映画的な動きが最も望まれると確信した我々は、準備を怠りない。

かくして、一連の御前崎でのロケハン的活動などの表立った動きの今日この頃であったのだが。

タイトル的には「大怪獣的激突・宇宙怪獣イカデイーラ 対 地元怪獣砂うなぎ」的な物なのだが・・・

イカといえばちょうど良い具合に、今、世間では「侵略!イカ娘」なるテレビ番組が深夜帯を席巻しているというではないか。何でも、深海からイカの身体能力を身につけた「イカ娘」と称するミュータント的な生命体が人類に挑戦するという、なんというか刺激的なストーリーだ。

なんともタイミング的に喜ばしいことだ。これも恒日頃の我々の心がけの良さの反映というべきだろう。

とはいえ、何かしらインパクト的にもう一押しあった方が良かろうという気も無いではない。
そんなある日のこと。私はナゴヤ方面の大きな地方コンベンションであるダイナコンの小さい版のちいなこんに参加した。その場では様々な人たちが、ありとあらゆる話題について夜遅くまでディスカッションを繰り広げていた。

そんな中の一人が「イスラム教、キリスト教の原理主義者には困ったものだ。私は彼らに対抗すべく、ほら、こうして『空飛ぶスパゲッティー・モンスター教』のバッジを付けて・・」
そうだ、「空飛ぶスパゲッティー・モンスター」だ。その手があった!

宇宙怪獣イカデイーラは触手系怪獣、空飛ぶスパゲッティー・モンスターも触手系。はじめにイカデイーラをみるのが、偶々、教徒だとしたら、空飛ぶスパゲッティー・モンスター(以下FSMと略)と間違えても決して不思議ではない。

宗教絡みは今時のお約束。これで我々の映画の成功も約束されたようなもの。

なんともナイスな。

世界初の宗教戦争(怪獣も出るよ)映画をお楽しみだ。

                               つづく


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No.356 (Web版6号)1

SF essay (171回)

川瀬広保


           映画鑑賞記

 退職後、再就職も終わって毎日が休みなので、暇があれば映画を見ることにした。ここ数ヶ月に見た映画のタイトルと一言感想を書いてみよう。SF映画は少しだけ。アカデミー賞受賞作品を中心に見た。

1 ハリー・ポッターと炎のゴブレット

 「ハリー・ポッター」はやはりSFではないと思いながら、見ていた。登場人物たちが「賢者の石」のころより、大人になっている。魔法の世界は、やはりSFとは違う。それでもこれは2001年のヒューゴー賞受賞作品の映画化だ。

2 透明人間

 1930年代に作られた白黒、モノクロの今となってはレトロな映画だ。もう80年の前だ。
 最後に、透明人間になってしまったグリフィンが「ぼくはやってはいけないことをやってしまったんだ」と後悔の言葉を残す。ベッドの上に姿を現わして、死ぬ。透明人間になって世界征服をもくろんだ人物が、人間的な悔恨の気持ちを表わすところに昔の映画の「善」が現われていて、印象的だった。

3 インビジブル2

 今度は透明人間が二人現われて、戦うシーンがある。「透明人間」の映画も進歩したもので、1930年代の映画に比べれば、隔世の感がある。前作の「インビジブル」よりも怖くなかったような気がする。

4 オリヴァー・ツイスト

 長大な2時間もの映画のラストで、オリヴァーに親切だった人のいい老悪党が公開処刑されるところで物語は終わる。
 昔は路上で公開処刑、しかも絞首刑なのかと思った。

5 スーパー・ノヴァ

太陽の怒り   地球最後の日

 ストーリーの展開が遅い。これはもう少し古い映画なのか?それとも、マイナーな映画なのか。それにこれは超新星の話じゃなくて、殺人鬼の話だ!

6 第9地区

 この映画はSFではないね。ラストでいったいどうなったのかよく分からない。3年後にエイリアンが「腕」を治しにきてくれるのか、語られていない。この映画はまだ続くのか?もし、これで終りだったら、何かひとつ足りない気がする。

7 アリス・イン・ワンダーランド

 実写で映像化してしまうと、印象がまた違う。
 うさぎも、チェサイア・キャットも物語のイメージと異なる気がした。

8 パンズ・ラビリンス

 これはひどい。やたら銃を撃って人を殺してはいけないと感じた。

9 トランスフォーマー・リベンジ

 こっちは漫画だね。150分もの映画だが、見飽きないほど、戦闘シーンが続く。面白いと言えば面白い。
 この戦闘シーンを楽しめばいいのだから。

10 タイタンの戦い(新版)10年8月

 面白くない。クラーケンがなかなか出てこない。後半20分ぐらいのみ少々面白い?メデューサとは頭髪が蛇、体が蛇、頭だけ人間で口から火を吐く。
クラーケンは石にされる。もう少し、この映画は面白いかと思ったんだが・・・。

11 ミスト

  これが一番面白い。
 わけのわからない生物よりも一番怖いのは人間が団結できないということだ。
 昔読んだ「地球のさいご」のウィッチばあさんを思い出した。
 最初はタコかイカの化け物で次はクモ。一番怖いのは人間の心。扇動する女。
 科学者が異次元への扉を開かせる実験をやったため、こういうことが起こってしまったというところのみがSFを感じさせる。
 ただ、ラストがいただけない。せっかく外へ出られたのに、善は勝つとしてくれなきゃ。
 殺されたなら仕方ないけど、自らを殺しちゃいけない。
 霧は晴れたのに、軍が消毒作業しているのに。
 ステファン・キングのノベラが原作。
 これは純粋SF映画ではないね。それに、哲学的命題もない。

12 ねこ島日記

 ドキュメント。新作。
 「ぬくぬく」がなかったので、これを借りてきた。
 猫映画を作るのは難しい。猫は演技をしないから。猫映画の数も少ない。
 犬の「ハチ」のような心温まる感動的な映画は猫の方にはあまりない。
 強くて、すばしっこいのが一番に食べ物にありつけるのは、猫でも人間でも同じ。
 もらい損ねる猫もいる。やたら島の猫を写しているけど、ドキュメンタリーであって、特にこれといった思想やテーマは見あたらなかったが、これはこれでいいのかも?

13 ガンジー

 現在でこそ、日本は自由平等の国だが、江戸時代は身分制度があった。
大英帝国の植民地だったインドは、まだ独立していなかった。
インド独立の父、ガンジーは非暴力、不服従を唱えた。
映画の冒頭で、ガンジーは凶弾に倒れる。
映画が始まって、しばらくたつと集会中のインド人群衆が狙撃される。
 この映画は一時も目を離さず、見てしまう。180分という長大な映画なのに、決して飽きさせない。
 こういう映画こそ傑作というのだろう。
 マザーテレサ、ガンディー、こういう人物が歴史には存在した。
 犯人は、なぜ、ガンディーを撃ったのか。
 なぜ、ガンディーのような善人がこういう結末を迎えなければいけなかったのか。
 深く考えさせられた。

14 ベン・ハー

 長大な歴史絵物語。2000年前のローマ帝国のころの話であり、50年前の映画。ハンセン病患者が隔離されていたのは、ついこの前までの日本と同じ。
故意に瓦を落としたわけではないけれど、牢獄に入れられ、復讐する物語。
「過ちは人、許すのは神」

15 グラジエーター

 古代、ローマの剣闘士の話。コロシアムで、民衆の娯楽のために、殺しあいをやった時代。虎も出てくる。息子や妻を殺された恨みは強い。
 戦いの代償はローマに自由をもたらすことだった。
 最後に、グラジエーターは死す。

16 ウエスト・サイド物語

 今となっては、古き良きアメリカ。もう古い時代。救いのないストーリー。
貧困時代のアメリカ。落書きだらけのエンディング。なぜ名作なのかわからん。

17 クレーマー、クレーマー

 あまりに忙しすぎた夫。出ていった妻。7歳の息子には、ママがいないとダメなんだ。子連れの男は大変である。出ていった奥さんとは訴訟になるし、会社は辞めさせられる。夫婦はよりを戻したのか、妻は息子と何を話したのか、語られない終り方が見るものに余韻を残す。よい映画だった。

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