No.357 (Web版7号)2
川瀬さんの本 “SFファン48年” を読んで思ったこと
by 渡辺ユリア
まず、目次を見てどこから読もうか、と思っていたら“ SFエッセイ2 ”の中の “ハミルトンへの思い入れ” を読みました。“フェッセンデンの宇宙” はずっと以前にSFマガジンで読んだ事があります。その時のイメージとしては何かゾーッとしてしまう怖さがあったのです。私たちの住んでいる地球やその周りの宇宙がもしそうなっていたら、と思うと怖くなってくるのです。
そして最近、河出書房新社発行の “フェッセンデンの宇宙”というタイトルの本(2004年発行 奇想コレクションの中の1冊)を図書館で借りて読みました。あらためて読んで思った事は、まず導入部で物語世界に入りやすい。そしてフェッセンデンという人物像が、彼のいろいろな動作で形づくられていくところが良い。そしてブラッドリーが フェッセンデンの創りあげた世界を魅力的に思っているところに私は興味を持った。それにしてもフェッセンデンの創りあげた惑星には、いろいろなSF的なアイディアを持った世界が多い。その時代(初出1934年)には驚きでしょう。機械の身体に脳を入れて活動する、というのは後の作家に影響を及ぼしたでしょう。
そしてブラッドリーがフェッセンデンの干渉を受ける事なくある世界を見守ってゆきたい、と思っていくようになるところが良かった。
ところで、この本の巻末にはハミルトンの略歴や著作リストや短編の紹介があるので読んでみて下さい。これでハミルトンの再評価が進むと良いと私は思っています。
川瀬さんの本に戻ります。次に “タイムマシン” のところ。私も新作の映画 “タイムマシン” を観ました。SFXは日々進化しているな、という感じです。主人公のマシンのまわりで時間が急速に進んでゆく、という場面。家が建ち、そして壊され、次に高層ビルが次第に造られていく場面はSFXが素晴らしい。そしてそのマシンの姿かたちにも興味を持ちました。でも、やはり H・G・ウェルズ原作の “タイムマシン” は書かれてから100年以上経っても読む人々にいろいろなイマジネーションを与えてくれる、というのはすごいと思っています。またまた再評価してほしいと私は思っています。
ちなみに旧作の “タイムマシン” の映画は私が小6の時に深夜にTVで観た事があります。そのマシンが自転車かバイクのような形をしていた事を覚えています。
では、この辺で。
2010.11.23 yullia
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