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2012年2月

No.368 (Web版18号)3

SF essay (181回)

川瀬広保

久しぶりの皆既月食が神秘的だった!

 2011年12月10日に日本で皆既月食が見られるということを知ってから、これは天文ファンとしては何が何でも見なければと思っていた。
 前日から準備を始めた。満月1日前の月の撮影をしてみた。しばらく望遠鏡やカメラに触っていなかったので、アタッチメントを接続するところから苦労した。それでも、何枚か撮影してみて、露出倍数は満月ながら400分の1秒だとか、皆既月食の皆既中だったら、3〜5秒だろうというような予測はついた。
 当日、午後4時ごろから、外へ、望遠鏡、カメラ、双眼鏡2台、ノート、椅子2脚などを出して、あれこれ準備しはじめた。
 ところが、午後5時前にはきれいに晴れていた空が、月の出の5時過ぎになると、あやしくなってきて、食の始まる午後9時45分ごろには、だんだん空に厚い雲が覆うようになってきた。
 天気予報通り、まるでマーフィーの法則のように、月食が始まるのを待って曇り始め、月食が終わるころにまた晴天になるというような空模様だった。
 それでも、皆既のころにはまた晴れるだろうと期待して、私は待った。
 食が進み始めたころ、空がきれいに晴れてきて、待ったかいがあった。
 写真を次々と撮り始めた。露出倍数を決めるのが難しく、ピントを定めるのが難しく、視野に月を入れるのが難しくて、四苦八苦しながら、撮っていたら、8GBのSDカードの容量がいっぱいになってしまった。満充電してあった充電池も動かなくなった。
 その不測事態は、皆既食が始まってからだった。一応何枚かは皆既食の月を撮ったあとだったのだが。
 そこで、撮影は見切りをつけて、今度は双眼鏡で皆既食の月を見ることに専念した。
 皆既食中の夜空は、予測していた通り、月光のない澄み切った空に変身して、プレアデスやオリオン座の大星雲なども輝きだし、よく見えて、神秘的な光景だった。皆既の赤銅色の月が不気味で、めったに見られない夜空だった。ときどき、今までになかった風も吹いてきた。
 皆既の始まりでは、まだ明るい部分がある月面も皆既が中ごろになるとまったくの赤い(オレンジ)月になり、約1時間後に明るさが戻ってきはじめるときには、また反対側が明るくなってきた。そして、皆既が終わったことを示し始める明かりがさし始めた。
 壮大な天文ショーをこのように目の当たりにすると、地上の細かなことに日々思いをはせている自分が本当に小さく感じる。人間の営みに関係なく、天体は確実に動いているのだということを感じさせる。
 私は、重ね着をして、ズボンも二枚はいて、皆既月食の終了の午前1時18分までがんばって見ていた。
 終わって、望遠鏡などを片付けて中に入れ、写した写真を見たりしていると、準備の不十分さに反省がこみあげてくる。
 来年、日本で皆既日食が見られるということをもう多くの方がご存知だと思うが、そのためにはもう準備を始めなければならない。
 今度はNDフィルターや日食用のサングラス、アタッチメントなど、十二分に準備万端怠りなくしていきたいと思う。
 何せ、日本で皆既日食が見られるのは25年ぶり。金環食であるし、日本国中が沸くだろう。天気のよいことを祈るばかりだ。
                  (2011・12・15)

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No.368 (Web版18号)2

SF essay(180回)

川瀬広保


「小松左京を宇宙へ送り出す会」へ行ってきました!

 2011年11月29日、午後1時30分から、東京紀尾井町のホテルニューオータニで「小松左京を宇宙へ送り出す会」が開かれるという案内状を受け取ったので、行ってきた。
 この会は、小松左京研究会の会員だけが参加できる。私がこの研究会の会員になったきっかけは、2007年に開かれたワールドコンに出かけていったとき、ディーラーズルームの一角に、小松左京研究会のブースを発見したからだ。
 そこには、まだ見ていない「小松左京マガジン」の新号が並べられてあった。浜松の谷島屋には、「小松左京マガジン」は並べられていないので、こういうときに、入手しようと3冊ほど購入した。帰宅してから、ゆっくり見ていると、会員になれば確実に入手できますと書いてあったので、遅ればせながら入会させてもらおうと思った。
 私は、小松左京に二回、会ったことがある。一回目は、TOKONⅣでサインをもらった時、二回目は浜松に講演で来られた時、終わってから名刺をいただいた。
 小松左京は、『虚無回廊』が中断したあたりから、近況がわからなくなってきていた。時々、思いついたように買った「小松左京マガジン」で、以前にくらべだいぶやせられたとか、ワールドコンでは車いすに乗り、マイクを使って話されていたが、うまく聞き取れなかったりなどと、若いころのように元気な小松左京でなくなってきているのは、少しずつわかっていた。
 私は、「東海SFの会」や「宇宙塵」の会員だが、それ以外にSFの会に入っていないことを思い出し、日本SF界の巨人である小松左京のこの会に、遅ればせながら入会しようと思った。
 それから4年、早すぎる小松左京逝去のニュースが流れて、この送る会案内が私のところにも来たというわけだ。
 行こうかどうしようか、かなり迷った。
 文字通り、日本SFをブルドーザーのように牽引した小松左京のご冥福を祈り、宇宙へ送り出すためには、一SFファンとして、やはり参加しようと、出かけることにした。
 この前、東京に来たのは、柴野拓美さんを偲ぶ会の時だったなあなどと思いながら、東京駅に着くと、工事中で丸の内口に着くのに、ちょっとまごついてしまった。早めに出かけたが、ニューオータニの鳳凰の間に着くともうたくさんの参加者が開場を待っているところだった。
 すぐに、開場になり、入口でウィスキーのコップをもらう。中にはすでに見たことがあるような写真が各所に飾られている。中央に大きく、「小松左京を宇宙へ送り出す会」と飾られている。協賛の出版社の中に、早川書房がないことに、違和感を覚える。遺影ならぬ生頼範義による小松左京の肖像画が飾られてあった。まるで、そこに小松左京本人がいるみたいに迫力のある本人そっくりの絵である。

 やがて、開会。
 まず、発起人の一人である松本零士さんがあいさつ。
 小松左京がマンガを描いていたときの話から始まった。ビデオメッセージには、由美かおるとか、三浦友和などの有名人がいた。小松左京の映画化で関係のあった人たちである。小松左京の一生をうまくまとめたビデオ画像を見る。そして、いよいよ毛利衛さんのカウントダウンによる小松ロケットの打ち上げ。「笑顔」を送った人たちがどれだけいたのか知らないが、それらの人たちの顔までは識別できなかった。
 やがて、献杯。テーブルごとに置かれていたビールをつぎあいながら、献杯する。約40分ぐらい、会場内をうろうろする。私も「肖像画」に他の人たちがしたように、タバコを一本、ささげてきた。
 会は時間通り進み、最後に小松左京作詞「青い地球の歌」(山本直純作曲)を歌って、終了の宣言があった。みなさん、まだ名残おしげに、残っていた。会場入り口に徳間書店が新刊を並べていたので、『虚無回廊』と『追悼 さようなら小松左京 完全読本』を購入。
 最後に、もう一度、「肖像画」を写して、会場をあとにした。
 タクシーで、東京駅に戻り、新幹線に乗る。ビールを飲みながら、さっき買った読本に目を通す。
 とうとう小松左京も亡くなってしまったのか、いや、彼の膨大な作品は残っているではないか、などとあれこれ考えながら浜松へ戻る。
 日本SF界の第一世代作家たちが、次々と他界していく。私も、もしかしたら、SFファン第一世代なのかと最近、思うようになった。こうして送る会について、書き残すことは意義があることだと思っている。
 さて、私には、未読の小松左京の本を読むという楽しみが残っている。
                  (2011・12・2) 


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No.368 (Web版18号)1

最近読んだファンタジーマンガについて

by 渡辺 ユリア

 皆様、新年おめでとうございます。まず、去年の12月10日の皆既月食について。私は欠け始めと皆既月食中と月食が終わって月の左側が少し明るくなったところを見ました。綺麗でしたね。そして皆既月食中の月って不思議な色合いでした。赤銅色と言われてますが、比較的明るい赤銅色だったように見えました。
 さて、ファンタジーマンガについて
“マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士” 越智 善彦 作
 ゲームの “マリーのアトリエ” は知らないのですが、ブックオフにあったので上下巻揃えて買いました。1冊105円でした。1冊400p以上あります。これから私が書く予定の小説の資料として買いました。読んでみてアトリエというのは画家の仕事部屋ではなく、錬金術士の工房だという事に気付きました。キャラクターが個性的で、マリーの性格が・・・先生曰く “すっとこどっこい” らしくって。何というのかな、出たとこ勝負的なところがあって、さあ、これからどうなるのか、という感じで危ういのですが、どうにか乗り切っている・・・という感じです。妖精のこどもがマリーやエリーの助手をしていたり、魔界人と人間とのハーフさんが出てきたり、魔界の者が出てきたり・・・と内容は豊富です。
“河童の三平” 上 中 下 水木しげる 作
以前TVでこのマンガの特集をしていて、一部は見たのですが、最初から読んでみたいと思っていたマンガ。水木先生曰く・・気に入っている作品。なぜかと言うと僕は田舎が好きだから・・・だそうです。初めてサインをしたのが舟に乗って釣りをしている三平と河童の絵だったそうです。(TVのゲゲゲの女房の一場面より)この本は文庫本で角川書店が平成23年4月に出版した本らしい。水木先生が貸本時代に描かれた作品の再録みたいです。私は図書館で最近見つけて借りました。
                    では、この辺で。 

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