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No.369 (Web版19号)1

LA GRAN SAGA DE LOS AZNAR 《アスナール・サーガ 9》
人類の災厄 El azote de la humanidad
ジョージ・H・ホワイト George H. White

中嶋康年


 スペインのスペースオペラの9巻目。収録作は第21話「人類の災厄」第22話「反乱軍の巨星」第23話「獣人の降伏」の三話分。
 今回の新兵器は、「物質縮小装置」。ミサイルやロボットをあるエネルギー波が届く範囲にあるあいだだけ小さくしておき、そのエネルギー波を止めたり、範囲外に出たりすると元の大きさに戻るという装置だ。
 この装置を発明したのは、バルディビア教授。ところが、彼は心臓発作の持病があり、あまりに奇矯なふるまいが多いので、科学者仲間からは気が触れているという噂が立ってしまい、この装置は完成までこぎつけないでいた。
 そこで、一人娘のカルメンがミゲル・アルヘンに直訴、ようやく完成させた。その効果は、8メートルのミサイルをこぶし大にまで縮小させた。この発明、作者はいたくお気に召したようで、続く23話までメインのガジェットとして使い続けている。
 そのとき、ミゲルのもとを逃げ出したアンバー王女が皇帝に返り咲きナウム帝国を再興していたが、トルボッドの猛攻撃を受けていた。チャンスと見たミゲルは、縮小装置で縮小したスパイダー・ロボットをメダルに忍ばせて、アンバーに降伏を迫った。降伏すれば、この新兵器でトルボッドを退けられると持ちかけたのだ。しかし、アンバーがミゲルの話を聞くはずもなく、いまだにアンバーに未練があったミゲルだったが、処刑の命令を下されたので、しかたなくスパイダー・ロボットを起動して宮殿から逃げ出したのだが、その過程でアンバーは死亡する。
 帝国が崩壊した後のナウムの復興を抑圧されていたバゴアの民に任せ、ミゲル一行は地球に向かう。そのあいだ、ミゲルはバルディビアの娘、カルメンと結婚する。
 22話で地球に帰ってくると、そこでは二百年が経過し、アスナール家に関係する者をすべてトルボッドの母星に置き去りにし、地球に帰還したバーマー家のホルヘ8世が帝政を敷いていた。土星軌道付近で接触した抵抗勢力と協力して、ミゲルは旗艦のバレーラを奪還、地球を解放することに成功する。
 23話の冒頭で、戦勝パレードの最中に爆弾テロに会い、ミゲルは負傷、妻のカルメンは死亡してしまう。その後、療養中のミゲルの部屋にテロリストが押し入り、家族を人質に取って、地球軍の武装解除を求めた。バーマー家とアスナール家の戦闘行為で仲間を大勢失ったこの集団は、テロに訴えて最高指導者のミゲルにすべての軍需産業の解体し、既存の軍の施設、武器等の破壊を迫ったのだ。仕方なく要求を受け入れ、3分の2の解体が済んだ頃、テロリストのうちの一人、オティス・シュミットという若い女性とは庭を散歩したり、いろいろ話をするようになっていた。そのとき、ニュー・デリーのサッカースタジアムの上空にトルボッドの戦艦が出現、攻撃を始めた。地球軍はすぐに防衛戦にはいったが、大幅に減らされた軍備に加えて、トルボッドもナウム戦で苦杯を喫した物質縮小技術を研究して開発に成功していたため、地球全土に戦線は広がり、次第に押されてきていた。解体を免れていた金星の艦隊に援軍を要請してあったが、到着するまでにはまだ時間があった。軍備廃棄の責任を一切追及せずに難局に当たるミゲルに、オティスは好感を抱くのだが、ミゲルはまたもやオティスに言い寄り、3度目の結婚を果たすのであった…。
 この復刊シリーズの表紙は12巻までは文字だけでイラストはなかったが、最近版元のホームページを見ると、重版がかかったようで、1〜12巻もCGイラストがつくようになっていた。アドレスはこちら。

http://silente.eu/catalog/index.php/cPath/21

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