No.369 (Web版19号)2
SF essay(182回)
川瀬広保
藤子・F・不二雄ミュージアムへ行ってきた!(その一)
2011年12月7日、ひょんなことから藤子・F・不二雄ミュージアムへ行ってきた。藤子・F・不二雄が亡くなってからもう15年もたつことはあまり認識していなかった。このミュージアムは開館してから、まだ3ヶ月、完全予約制になっている。まず、電話なりインターネットで予約して、ローソンで入場券を買い、一日4回の開館時間のどれかに行くことによって、初めて入れるのだ。午前10時、12時、午後2時、4時の四回、終了が午後6時である。
私たちは(私と娘)、せっかく予約しても中に入れなければ意味がないと、早めにでかけた。12時の回に予約してあったのだが、11時前には着いた。待つこと1時間余、初めはほとんど人がいなかったが、やがて時間が迫ると長蛇の列になった。
入館後、入場券を見せて代わりに「おはなしデンワ」を渡される。番号ボタンを押すとその場にあったこぼれ話を聞くことができる。手塚治虫が藤子不二雄のふたりを持ち上げている映像は初めて見た。
さて、前後したが、ある人の助言で3階のカフェに行きたいのなら、入館後、まっさきに3階に行くようにということだったので、エレベーターで3階に直行する。ところが、もうすでに15分待ちであり、そのうち30分待ち、60分待ちになった。
皆さんのお目当ては、ジャイアンカツ丼、小池さんのラーメン、暗記パンなどの藤子キャラのメニューである。
私は、ジャイアンカツ丼とうそ800を注文。娘は暗記パンとドラミちゃんのカフェラテである。感想は、カツドンは結構ボリュームがあった。運ばれてきた注文メニューを見ただけで、思わず笑顔になる。
そして、お腹を満たしてから(もし、空腹のままここへ行くと、中は飲食禁止だからどうしようもないことになってしまう)、一階へ戻りあれこれ展示物を見はじめた。
一階には、藤子・F・不二雄の原画が保存されている。マンガではわからないカラーの細かな色づかいなどがわかって、藤子・F・不二雄は漫画がうまいという前に、絵がうまかったんだと改めて知る。マンガができるまでの立体映像のコーナーは混雑していた。
それにしても、平日の午後、さすがに小中学生は見かけなかったが、大人が館内にはいっぱいである。みんな藤子ワールドに夢中であった。ここにきて、改めてわかったことは、藤子人気というのは、藤子・F・不二雄が創造した藤子キャラ人気であるということである。
二階の「先生」の部屋というコーナーでは、藤子・F・不二雄が使っていた部屋が再現されていた。そこには、四方に蔵書がしきつめられていた。そこを眼を凝らして見ると、ハヤカワSFシリーズも見えた。「先生のにちようび」のコーナーで目を引いたのは、反射望遠鏡であった。だれかから贈呈されたものとのことだったが、きっとその望遠鏡で星や月を見ていたのだなあと思った。
まんがコーナーには、藤子・F・不二雄のマンガがそろえてあって、読んでいる人が多かった。老若男女を問わず、みんなドラえもんで育ったんだなあと思った。オバQで育った人も、パーマンで育った人も、世代は違っても藤子キャラで育ったことは間違いない。私もその一人である。
Fシアターも入った。来年3月に封切りされる新作映画のショートムービーである。「絵」が変わって、「声優」が変わってから、あまり見に行こうという気になっていなかったのだが、これを見たら3月には見に行こうという気にさせられた。
それでも、17時ごろには帰路に着こうと思っていたのだが、その前に行くのは、ショップである。お土産にキャラクターグッズを買おうという人で混雑していた。
「ドラえもん」をはじめ、藤子&藤子キャラ人気は日本にとどまらず、世界に広がっている。中国人の団体もいて、そう思った。
藤子・F・不二雄ファンならもちろん、マンガファンだったら、このミュージアムはぜひ行くべきだ。新幹線代を払って、子ども連れでなくても、かつて子どもだったあなたも、ひと時をぜひ藤子・F・不二雄ワールドにもう一度身を浸してください。
(2011・12・13)
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