No.371 (Web版21号)2
SF essay (185回)
川瀬広保
ドラえもん映画再考
そこで、まだ見ていなかった、あるいは、買っていなかった映画を求めて、ドラ映画を買って今見ている。もう昔見たものもまた見て喜んでいる。
例えば、「のびたの日本誕生」では、のびたが北極の吹雪のなかで、凍えて死にそうになる場面で、ママが夢に現れ、ラーメンのおつゆをこぼしてしまう場面がある。
これは、原作ではラーメンどんぶりに足が生えて逃げていくようになっている。映画では、ママがおつゆを捨ててしまう。「だって、いつも飲まないでしょ?」と言いながら。
つまり、原作と映画では少し、変えてあるのである。
他にも、見ていなかった映画がいくつかあった。
私としては、実にうかつであった。
しかし、逆に考えればまだ見ていなかったドラえもん映画を何作か見られるというしあわせが、今になって出現してきた!
「のび太と恐竜」からもう30年になるとのことだ。作者、藤子・F・不二雄が亡くなり、声優たちも代わって、「絵」や「声」が変わると、違和感があって何となく遠ざかっていたのかもしれない。
大山のぶよらなどのわれわれになじんだ声優たちと藤子・F・不二雄描く「絵」によるドラ映画は次のタイトルである。
のび太の恐竜
のび太の宇宙開拓史
のび太の大魔境
のび太のドラビアンナイト
のび太と雲の王国
のび太とブリキの迷宮
のび太とアニマル惑星
のび太の海底鬼岩城
のび太の魔界大冒険
のび太の宇宙小戦争
のび太と鉄人兵団
のび太と竜の騎士
のび太のパラレル西遊記
のび太の日本誕生
のび太と夢幻三剣士
のび太の創世日記
のび太と銀河超特急
のび太のねじまき都市冒険記
のび太の南海大冒険
のび太のワンニャン時空伝
のび太の宇宙漂流記
のび太の太陽王伝説
のび太と翼の勇者たち
のび太とロボット王国
のび太のふしぎ風使い
最近の映画では、それまでなかったようなセリフが出てくる。
スネオ「ポケットのないドラえもんなんて、ただの中古ロボットじゃないか!」
これは、ドラえもんにとってはきつい言葉だ。
また、ドラえもんのポケットが盗まれるという設定が見られるようになっている。
最後は、ハッピーエンドだから、安心して見ていられるのだが。
私自身を含めて、これだけ老若男女を問わず、また世代を越えて人気が続いているドラえもんおよびその周囲のキャラクターを生み出した藤子・F・不二雄はやはり天才ではないだろうか。
ドラえもん誕生まで、あと100年。3月には新作映画が公開される。暇とお金がなくても、時間を作って、お金をねん出して見に行こうかと思っている。「絵」と「声」に違和感を覚えるなどともう言わずに。
(2012・2・19)
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