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No.375 (Web版25号)1

SF essay (190回)

川瀬広保


 レイ・ブラッドベリのことなど

 レイ・ブラッドベリが亡くなった。
91歳だという。ブラッドベリは老いてますます盛んで元気だと思っていたから、少し驚いた。かつての偉大なSF作家が次々と亡くなっていく。
 私にとっては、海外のSF作家といえば、クラーク、アシモフ、ハインラインだった。4位はハミルトン。次はシマック、ブラウンなど。だが、抒情詩人と言われたブラッドベリは、それらの作家たちとは一目も二目も置く大作家であった。
 『何かが道をやってくる』『華氏451度』『火星年代記』などを熱心に読んだことを思い出す。クラークのハードSFやその抒情性とはまた違ったブラッドベリのSF的な抒情がその作品にはあった。
 そのブラッドベリのインタビュー集レイ・ブラッドベリ サム・ウエラー『ブラッドベリ、自作を語る』(小川高義訳 晶文社)が出ていたので、読み始めた。ブラッドベリの人間性がそこにはよく出ている。
 クラークとともに写っている写真が収められていた。301ページあたりに、クラークの有名な映画「2001年宇宙の旅」を酷評しているページに興味を持った。
 作家というものは、ある意味で大変な職業である。読者にいつでも、評価されているからである。
 たとえば、星新一をきらいだという人はいないと言っていい。クラークを評価しないという人もいないと思う。ブラッドベリの場合は、好き嫌いが分かれるのだそうだ。
 好き嫌いは別として、私はブラッドベリを大いに評価していた。
 ブラッドベリの名作は、先ほどの3作以外にもいろいろあるが、これからも読まれ続けるだろう。

 さて。
 ケータイがスマホにとってかわられる日がいずれ来るかもしれないという。スマホの普及がすさまじい。私も含め、日本人は新しい物が好きだ。ドコモショップへ行くと、2時間待ちでも客は店内で待っている。私も行ってみて、驚いた。待ち時間は2時間、その後さらに2時間待って、計4時間かかって、やっと新機種のスマホを入手できた。
 ところが、最新通信端末であるこのスマホにはまだ、いろいろな問題点がある。

1 電池の消耗が激しい。毎日、充電していても追いつかない。満充電するのに、7、8時間かかる。使わなくても、どんどん電池が減っていく。
2 タッチパネルというのには、いい点もあまりよくない点もある。ちょっとした誤タッチでフリーズしなねない。

 ワープロが出現したときには、これはすごいと思った。文章の手書きの時代はあっという間に終わってしまった。ワープロはもっともっと続くものと思っていた。それがもうワープロなどというものは、消えてしまっている。
 今では、老いも若きもみな、ケータイをひとり一台は持っている。
 そこへ、スマホの時代が到来している。ケータイの時代には戻れないのかもしれない。

 2012年8月14日の早朝、午前3時前に大変珍しい天文現象である月による金星食が起こるというので、徹夜で写真撮影に備えようと一時、本気で思った。
 ところが、深夜12時ごろには、晴れるどころか、大雨、雷鳴、稲光の悪天候だった。午前3時ごろにも、外を見てみたが、雨が降っていた。
 おそらく、金星食が見られた地域は全国でも、少なかっただろう。
 その後、このニュースはあまり報道されなかった。
 今年は、金環食、金星の太陽面通過、そしてこの金星食と珍しい天文現象が次々と起こったので、最後の金星食も期待していた。
 ところが、本当によく晴れた快晴の日というのは、毎日空を見ていると少ないものだ。また、別の天文現象を待ちたい。
                  (2012・8・23)

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