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No.380 (Web版30号)1

SF essay (195回)

川瀬広保

最近のあれこれ

 「アメイジング・スパイダーマン」は面白かった。17歳の高校生がスパイダーマンに変身して、活躍する。その高校生のおじが悪漢に殺される。だが、その悪漢に仕返しをしてないのが、不満。最後の高校生の「守れない約束もあるよね」という言葉は、恋人(になったのかな?)とうまくやっていけそうな雰囲気を出していて、ラストシーンとしては良かった。
 この映画、最後は、スパイダーマンとトカゲに変身した先生との格闘である。このシリーズ、まだ続くような気がする。
 「プロメテウス」もみたが、特別な感想はない。
 時々、暇な時に、ツタヤへ行って、面白そうなDVDを借りてきて、見ることがあるのだが、これはという傑作にお目にかかることは珍しい。私の採点では「スパイダーマンは」4・5点、「プロメテウス」は3点。

 さて、星新一を再読しようと思って、書棚を見まわしてみたら、『天国からの道』が目にとまった。これには、あなたがまだ読んでいない星新一の作品集とあったので、目次を見ていたら、「平穏」を見つけて、一読。そのあと、再読した。かつての星新一の作品には見つからない内容で、異色だと思う。
 「平穏」のラスト、数行が面白い。さすが星新一という感じだ。
 いわく、
「・・・宗教だろうが、社会体制だろうが、経済機構だろうが、みなそういうものらしい・・・」
 星新一らしく、常識を逆手にとって、うまくオチをつけている。これはもしかしたら傑作のひとつかもしれない。

 明日(2013・2・16)の早朝、小惑星が地球とニアミスするというニュースが大きく扱われている。幸い、それて衝突はしなさそうだが、万一ということもある。今日の朝日の天声人語でも、このニュースを取り扱っている。日本時間4時24分、静止衛星の軌道のさらに内側を通るのだそうだ。きわどいニアミスである。
 昨年は、金環日食や金星の太陽面通過で沸いた。今年は、久しぶりの良く見えそうな彗星で沸くようだが、その前に、小惑星の来訪である。
 SFでは、いろいろなことが描かれているが、ツングースの時のような未曾有の出来事にならないことを願うばかりだ。

 最近、地球では人心が乱れていて、何が起こるかわからない。北朝鮮の核実験や中国と日本の関係のような国際的な問題のほかに、グアムで起こった無差別殺傷事件などのニュースを連日のように見させられていると、はるかな天界の動きは忘れていたり、気にもとめていなかったりしやすい。
 7等星の動きのある小惑星を早朝、起きて、見ようと思っても、うまくいきそうにないから、今のところ、観測の予定はない。

 昔、『地球のさいご』という空想科学小説を読んだことを思い出す。レイモンド・ジョーンズのなつかしい一冊だ。この本では地球に彗星が接近してきて、災厄をもたらすという内容だった。彗星の接近によって起こる数々の災厄、それによって起こる飢えや暴動など、人心の乱れが描かれていた。この小説では「地球が、そのすい星の尾の中に入る」ほどであり、「これから冬の間じゅうずっと、地球はその何百万キロメートルにもひろがった尾の中にとどまっている予定だった」ほどの接近である。
 私は彗星が来ると言うと、この小説を思い出す。
 幸い、ハレー彗星も、百武彗星も、そんな大変なことにはならなかった。SFとしては、彗星接近による災厄というのはいつでも面白いテーマだが、本当に何か恐ろしいことが起こったら、面白いなどとは言っていられない。
 彗星はほとんどガスだが、小惑星は岩石の固まりである。本当に地球に衝突したら、さっきの小説に描かれた以上の天変地異が起こるだろう。

 最近は、他にもベテルギウスの爆発が心配である。2012年にも爆発するのではないかと言われたが、どうやらそれはなかったようだ。明日かもしれないし、1万年後かもしれない。とにかくいつ爆発してもおかしくない状態にあるのだそうだ。

 この小さな地球上で人々が就職難や年金の目減りや体罰による高校生の自殺や核実験によって戦争になるかもしれないなどと右往左往している間に、目を空に見上げれば何やら大変なことが起こっているかもしれないのである。
 80年の寿命しかない人間がこれまでにできたことは、やっと数人の人間を月へ到達させただけなのだから、もっと自然への畏怖の念をもって、あまり愚痴や文句を言わないようにして、共存共栄していかなければいけないのではないか。

 さて、前回書いた猫はフーとかシャーとか言わなくなって、少し穏やかな顔つきになってきました。娘に言わせると、「産後うつだったんじゃないの?」ということになります。

 その後、子猫は現れません。もう子育ては終わり、子どもは独り立ちしてどこかへいってしまったようです。さびしいような、これが猫の世界では普通のことなのではと納得してみたりしています。
                (2013・2・15)

追記
 この原稿を印字しおわり、さて封筒に入れて郵送しようとして、まずスマホの号外メールを見たらー
 隕石落下、100人超負傷 ロシア・ウラル地方
と出ていました。
 何か恐ろしいですね!!こんなニュース見たことない!

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