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No.382 (Web版32号)2

SF essay(198回)

川瀬広保

辞書について

 「SFエッセイ」と銘打っているのに、SFのことについて書いてないのは、「もつ」と書いてあるから買ってみたら、中身は「こんにゃく」だったというようなものかもしれないが、前回書いたように、あまり細かく内容を規定してしまうと何も書けなくなってしまうから、お許し願いたい。

 昔から、好きなものはSFや天文だが、地図や辞書も好きである。辞書、特に英語の辞書を見ると頭が痛くなると言った生徒もいたが、私の場合、老眼鏡をかけて見さえすれば、頭は痛くならない。なるのは、飲み過ぎた時の翌朝だ。
 最近は、何でもパソコンを使って、インターネットで調べられるし、電子辞書も相当、普及しているから、紙の辞書はなかなか出版されないし、また売れないらしい。
 現役の時は、よく辞書を買った。辞典や事典である。職業柄、英和辞典や和英辞典が一番多かったが、それ以外に、国語辞典、漢和辞典、英英辞典なども新版が出ると、すぐ飛びついた。
 辞書は紙の辞書の方が、やはり好きだ。
 最近、「三省堂 英語イディオム・句動詞大辞典」「ウイズダム 英和辞典 第3版」「リーダーズ英和辞典 第3版」「小学館 大辞泉 第2版」などを買った。
 「新クラウン英語熟語辞典」(第3版)というイディオムの意味を教えてくれる辞典にはだいぶ、お世話になった。その新版が出ないものかと思っていたが、25年ぶりに三省堂創業130周年を記念して出版されていたのが、その新版にあたる「英語イディオム・句動詞大辞典」であるということをあるきっかけで知って、購入しようかどうしようか迷った。
 年金暮らしでなかったら、迷いもせずすぐさま購入するのだが、年金暮らしとなると、1万3千円余もするものは、なかなか手が届かない。
 食べることや医療のことなどが、どうしても先になるからだ。だが、人間はパンのみにて生きるにあらずという言葉にあるように、生涯、勉強しなければいけないものだと思って、意を決して取り寄せた。1800ページほどある前の版とはまるで異なる新しい辞典が届けられた。英語学習で悩ませられるもののひとつが、イディオムである。それから、ことわざなども。
 “Pride goes before a fall” という有名なことわざも昔、知らなくて、ATLに聞いたことがある。映画「赤毛のアン」の終わりの方で、リンド夫人が言うセリフにも出てくる。字幕では、「おごれるもの久しからず」と訳してある。これでいいのかとずっと気になっていた。
 この辞典では、〈ことわざ〉とあって、「おごれるもの久しからず」とちゃんと出ていた。ちなみに、「ウイズダム英和辞典」の第3版でもひいてみた。すると、こちらは、〈ことわざ〉「うぬぼれすぎは禁物」と書いてある。「赤毛のアン」のアンは、あの映画のラストの方で、決してうぬぼれているわけでもないし、おごっているわけでもない。アンは「勉強が趣味のような子」なのだから。
 言葉の意味を確実につかむということは、難しい。特に外国語では。

 さて、季節はめぐって、もう浜松まつり直前である。今年は、17年ぶりに屋台をひくことになった。浜松観光ボランティアガイドとして、他県から浜松城を見学にくるお客さんに、「是非浜松まつりにお出でください。全国一の凧揚げと御殿屋台の引き回しは荘厳な見ものですよ」と紹介しているのに、私自身参加(見物)したのは、今までほんのわずかであった。
 地域のために役立つことは、無理をしない程度で参加しようと思っている。

 SFで買っているものは、「言語都市」「オールクリア1」「空間亀裂」「巨獣めざめる」(上下)など。
 SF以外で、今読んでいるのは、岩波書店 マーク・ピーターセン「実践 日本人の英語」である。これが面白い。英語に興味のある人にはお勧めの新刊である。わかっているようで、実はわかっていない英語の本当のところをかゆい所に手が届くように教えてくれる。
 それにしても、冠詞や複数形ほど、われわれ日本人英語学習者を悩ませるものはない。英語はもとより、ポルトガル語に至っては、男性名詞や女性名詞で語尾が違うし、もうお手上げである。
 日本人の感覚にいろいろとあいまいにしておきたいという気持ちが働いている。そこで、木の下に猫がいる、という文で猫が一匹であろうが二匹であろうが気にしない。
 英語では冠詞を付けるか、語尾にSを付けるか大いに問題なのである。

 さて、来月はSFに戻らなくては!みなさん、今のSFの話題って、何でしょう?
                (2013・4・30)

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