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2013年9月

No.386 (Web版36号)1

SF essay (203回)

川瀬広保

 星新一の幻の初期作品

 スマホで読売新聞のニュースをちらちら見ていたら、星新一の未発表の作品が見つかったと出ていた。
 以下、読売新聞の記事を引用する。


 生涯に1000作以上の掌編小説を創作し、ショートショートの神様と言われるSF作家・星新一(1926〜97)の書籍未収録作が50編以上発掘された。

 57年の商業誌デビュー前後に同人誌に載った幻の作品や、企業のPR誌、学習誌などに掲載されたまま埋もれていた作品だ。

 作品は2年前、次女のマリナさんが、作家でショートショート研究家の高井信さんに星作品の初出リスト作りを依頼、その作業の中で見つかった。新潮文庫から「つぎはぎプラネット」の題で8月末に出版される。

 収録されるのは57年から77年初出の58編。一部、単行本版との違いから別作品と判断したものなども含む。「ミラー・ボール」(58年)など、ハイレベルな作品も多いという。高井さんは、「これだけ多くの未収録作が残っていたのは驚き。発表後、別作品に書き直したり、気に入らなかったりして本に入れなかったのでは」と話している。

(2013年7月21日10時58分 読売新聞)


 星新一にはもう未発表の作品はないと思っていたから、少々驚いた。ニュースは次から次へと現れては消えていくから、気がつかないままだったかもしれない。
 そのうち、ある日の朝刊に、「小説新潮」2013年8月号の宣伝が載っていて、そこに「星新一 幻の初期作品公開 単行本未収録」とあったので、さっそく取り寄せた。
 私としては、「小説新潮」を買うのは、非常に珍しいことである。学生時代以来かもしれない。雑誌で買っているのは、「SFマガジン」「天文ガイド」「ニュートン」ぐらいのものだからだ。
 さっそく開けて、その星新一の作品「ミラー・ボール」を見てみる。後のショートショートに比べると、結構長めの作品である。まだショートショート形式を確立する以前の作品という感じがした。
 55年ぶりというからすごい!
 同人誌に掲載されたきりだった本当に初期作品である。
 星新一が亡くなって、もう16年にもなる。
 しかし、その人気は衰えない。

 新潮文庫から9月に「つぎはぎプラネット」というタイトルで書籍未収録作品が刊行されるとのことである。今から、待ち遠しいことである。
 星新一は昔から、ストーリーテラーだった。まさか、星新一の未収録作品がまだ読めるとは思っていなかった。
 58編もあるというから、楽しみなことである。研究者にとって、また、一般の星ファンにとって貴重な本になろう。
 発刊を待っている。
                  (2013・8・1)

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No.385 (Web版35号)1

SF essay(202回)

川瀬広保

「まんが道」ついに完結!

 2013年6月26日の朝刊に、リチャード・マシスンの訃報記事を見つける。87歳だったそうだ。
 マシスンと言えば、なつかしい名前でハードSFを書くクラークや抒情SFを書いたブラッドベリらとはまた違う異色のSF作家だった。
 最近では、マシスン原作の映画「リアル・スティール」に感銘を受けたばかりである。
 往年のビッグ・ネームの一人がまた没した。
 残念である。ご冥福をお祈りしたい。

 同じ朝刊に
         「まんが道」44年で完結
        藤子不二雄A「実体験がドラマ」

の記事も見つけた。「まんが道」の続編「愛・・・知りそめし頃に・・・」が完結とある。最新刊12巻が28日、小学館から刊行されるとのこと。
 さっそく、書店へ一番に電話して、購入。すぐに読みだした。

 藤子不二雄が、藤子・F・不二雄と藤子不二雄Aに分かれてから、「ドラえもん」と言えば、藤子・F・不二雄だったが、藤子不二雄Aはどうかというと、それはもう確実に、「まんが道」だった。
 その続編「愛・・・しりそめし頃・・・」もとうとう12巻に達し、このほど完結した。実に、44年かかっている。
 これは素晴らしい44年だと思う。
 私は、この「まんが道」を3回ぐらい買い替え、読みなおしている。藤子不二雄Aの代表作であることは、間違いない。この「まんが道」は「愛・・・知りそめし頃に・・・」まで含めて、青春のグラフィッティだということだが、青春時代のあこがれやがんばりや夢などが表現されていて、誰が読んでも一気に読ませるものを持っている。
 私の場合、漫画と言えば、まず手塚治虫だった。「鉄腕アトム」から入った。アトムが太陽に突入していく場面では、この後どうなるだろうと子供心にハラハラドキドキしたものだ。
 その手塚治虫が亡くなり、次に私の愛読漫画家は藤子不二雄になった。F氏とA氏に分かれてからも、F氏が亡くなった後も、A氏の動向はいつも気になっていた。
 もうじき80歳になるという。実に44年かかって自分の実体験を漫画化して、多くの読者を得ているのだから素晴らしいことだ。
 ひとつのことを続けることの大切さを教えてもらった。「まんが道」の最初、満賀道雄と才野茂がドキドキしながら、手塚治虫に会いに行く場面から始まって、すべての原稿を落として出版界から干される失敗や、徹夜してまで原稿を完成させる話や、チューダーを作ってみんなでワイワイ騒ぐ話など青春時代の実話だからこそ面白い。そして、読者の胸を打つのだと思う。
 「まんが道」以外では、「笑ゥせぇるすまん」が私は好きだ。以前、テレビドラマ化された。
 藤子不二雄A氏には、これからも面白い新作漫画を描いてもらいたい。
 小学生を切りつけたり、年金の目減りなど実際の世の中は困ったことが多い。世界に目を向けると、争いやもめごとが止まることがない。
 そんな中で、日本の漫画には人々の心を癒して、励ましてくれるような作品を読みたいと期待している。
 「まんが道」は44年で完結してしまったけれど、これはこれで「完結、おめでとうございます!」というべきだろう。

                  (2013・7・2)

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