No.386 (Web版36号)1
SF essay (203回)
川瀬広保
星新一の幻の初期作品
スマホで読売新聞のニュースをちらちら見ていたら、星新一の未発表の作品が見つかったと出ていた。
以下、読売新聞の記事を引用する。
生涯に1000作以上の掌編小説を創作し、ショートショートの神様と言われるSF作家・星新一(1926〜97)の書籍未収録作が50編以上発掘された。
57年の商業誌デビュー前後に同人誌に載った幻の作品や、企業のPR誌、学習誌などに掲載されたまま埋もれていた作品だ。
作品は2年前、次女のマリナさんが、作家でショートショート研究家の高井信さんに星作品の初出リスト作りを依頼、その作業の中で見つかった。新潮文庫から「つぎはぎプラネット」の題で8月末に出版される。
収録されるのは57年から77年初出の58編。一部、単行本版との違いから別作品と判断したものなども含む。「ミラー・ボール」(58年)など、ハイレベルな作品も多いという。高井さんは、「これだけ多くの未収録作が残っていたのは驚き。発表後、別作品に書き直したり、気に入らなかったりして本に入れなかったのでは」と話している。
(2013年7月21日10時58分 読売新聞)
星新一にはもう未発表の作品はないと思っていたから、少々驚いた。ニュースは次から次へと現れては消えていくから、気がつかないままだったかもしれない。
そのうち、ある日の朝刊に、「小説新潮」2013年8月号の宣伝が載っていて、そこに「星新一 幻の初期作品公開 単行本未収録」とあったので、さっそく取り寄せた。
私としては、「小説新潮」を買うのは、非常に珍しいことである。学生時代以来かもしれない。雑誌で買っているのは、「SFマガジン」「天文ガイド」「ニュートン」ぐらいのものだからだ。
さっそく開けて、その星新一の作品「ミラー・ボール」を見てみる。後のショートショートに比べると、結構長めの作品である。まだショートショート形式を確立する以前の作品という感じがした。
55年ぶりというからすごい!
同人誌に掲載されたきりだった本当に初期作品である。
星新一が亡くなって、もう16年にもなる。
しかし、その人気は衰えない。
新潮文庫から9月に「つぎはぎプラネット」というタイトルで書籍未収録作品が刊行されるとのことである。今から、待ち遠しいことである。
星新一は昔から、ストーリーテラーだった。まさか、星新一の未収録作品がまだ読めるとは思っていなかった。
58編もあるというから、楽しみなことである。研究者にとって、また、一般の星ファンにとって貴重な本になろう。
発刊を待っている。
(2013・8・1)
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