SF essay(210回)
川瀬広保
アイソン彗星、蒸発・消滅!
アイソン彗星が11月29日に太陽に最接近して、もしかしたら分裂してしまうかもしれないと言われている。その実況中継のようなことが、NASAの太陽観測のためのSOHO衛星のHPで見ることができる。
12月に入れば、もっと光度が増すのか、分裂してしまうのか、ハラハラドキドキである。しかし、昔のように、器材を持って、四方八方がよく見渡せる山へ深夜に出かけるエネルギーはなくなってしまった。自宅の周りでは東の空がよく見える場所がない。住宅や樹木や街灯などが邪魔をしていて、思うようにならない。
さて、この原稿を書いている11月29日、アイソン彗星は、どうやら蒸発して消滅してしまったらしい。残念というか壮大な宇宙大スペクタクルというべきか。(2013・11・29 10:30AM現在)
その後のニュースを追っても、もうアイソンは蒸発・消滅してしまったようだ。各地の天文台や飛行機のツアなど、落胆の声があふれている。
彗星の光度や軌道などの予測は難しいと言われている。専門家でも的確な予測はしがたい。昔、76年周期のハレー彗星が戻ってきたとき、空の半分ぐらいの尾が見えるのではないかと言われて期待したがだめだったし、百武彗星のときは、カメラを持って近くに出かけて、写真を撮ったりしたが、彗星の到来は天体現象の中でも最も劇的なもののひとつだ。
また、次回に期待することにしよう。
SFマガジンはほとんど惰性(?)で買っている。そんな中で、時折、思わず読んでしまう記事もある。
それが1月号(2014年ですよ、もう!)のある記事だった。その記事の著者はタバコも吸わず、酒も1年(!)に10回程度しか飲まず、食事にはこれ以上気をつけられないぐらいに気をつけていて、さらに肥満でもないと言われている。それでも、糖尿病による目の手術を2回もやったらしい。
国民病と言われる糖尿病には完治という文字はない。毎回毎回検査をして、血糖値を調べるだけである。数字がよければ、医者は「いいですねえ」と言う。そうでなければ、「もう少し頑張りましょう」と言う。
血糖値をコントロールしていても、うまくいかないことがあれば、どうすればいいのかということになる。
思わず、その著者に同情しながら読んでしまった。
ときどき、紙面にこぼれてくるSF以外の他人の健康情報が気になる。人と比べてまだ自分はいいのかもと思ってしまう。
みなさん、健康には十分気をつけましょう。
肉を食べてはいけないという本の隣に、歳をとればとるほど、肉を食べなければ栄養失調になるのだと最近言われていて、NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられていた。野菜だけでは、元気が出ないのは、だれでも経験していることだと思う。
また、話は変わって、
政府の教育再生会議が、小学3年生から英語教育を取り入れるという方針を打ち出した。話せる英語をもっと身につけようということらしい。だが、気をつけなければいけないことが多い。
小学3年生の口から、Hi! How's it going? Nice to meet you. Nice to see you again.などの英語がポンポンと出てくるようになったとしても、3年生といえば、正しい日本語を覚えていかなければいけない時期だ。微妙な言い回しの多い日本語と、同じくネイティブでなければわからない英語表現のニュアンスを同時に覚えようというのだろうか。
日本語も英語も中途半端な子供が多数出現しはしないかと気にかかる。頭の中に多くの英単語がなければ、英会話は進歩しない。絵や写真や歌、ジェスチャーなどを使って、訳さなくてもいい授業を行なうようにということになる。だが、本当にわかって英語を口から発していくかどうかには、疑問が残る。
ただし、学校教育は昔に比べ大いに進歩している。この政策に期待もある。35年ほど前に、MEFという名前で年に一回英語を話す外国人が訪問して、体育館で全校生徒の前でゆっくりとした話し方でやさしく英語で話しかけたことを思い出す。「訳しますか?」と聞いたら、「訳はいらない」と言われた。
方法を工夫し、子供の興味を引き出せれば、話せる英語を通して日本ももっと国際化するためのよい教育政策になるだろう。
まだ、11月だが、もう真冬の寒さだと報じられている。異常気象も気になるところだ。
(2013・11・29)
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