« No.391 (Web版41号)3 | トップページ | No.393 (Web版43号)1 »

No.392 (Web版42号)1

SF essay (212回)

川瀬広保

2025年、人類火星移住計画

「超常現象」(NHKBS)
第一集 さまよえる魂の行方〜心霊現象〜
第二集 秘められた未知のパワー〜超能力〜

 最近、興味を持ったのは、この二つだ。
 前者は、ニュースで知った。これは、民間の計画であり、世界から火星へ移り住みたい人を募り、地球から火星へ移り住もうというまるでSFそのもののようなニュースだった。ただし、往復切符はなく、行きだけの片道切符だ。
 家族や恋人、知人、親戚などすべてと別れて、宇宙船に乗り、火星へ向かい、そこに住む。与えられた居住空間でのみ生活し、夜空に見えるのは、フォボスやダイモスか。地球ははるかかなたにあり、望遠鏡でないと見えないであろう。通信でのみつながって、近況を知る。なんかこんなSFあったなあと思いながら、とうとうこんな時代が来つつあるのかと思って、ニュースを追った。
 2025年だから、まだ10年後だが、10年なんてすぐきてしまう。戦争やいさかいの多い、資源も枯渇している狭い地球を離れたいのか、冒険心からなのか。
 私にはそんな勇気はないね。日本人も候補者の中に含まれているのだそうだ。
 たとえ、親はいない、配偶者もいない、したがって、子供も孫もいない、親戚も知人もいないというふうになったとしても、余生を、たとえば10年、火星で過ごすのはどうですかと言われても、躊躇してしまうなあ。

 次は、幽霊や生まれ変わりなどの話題を提出するだけで、眉つばものだった分野にNHKが本気で挑戦するような番組を作って、放映した。
 昔、クラークが超常現象の謎を追う本(「アーサー・C・クラークのミステリーワールド」)を出したことがあったが、火の玉のようなものは第一種へめでたく昇格する(した)であろうが、生まれ変わりのような話はどう解釈したらよいのか。
 こんな話にも科学者は挑戦し続けている。
 一人の超常現象など信じない男と、老科学者の対話という形をとって、話は進む。
 第二集では、スプーン曲げ、テレパシー、遠隔透視、予知などを取り上げている。世界中の科学者がまじめに本気で、超常現象の謎の解明に取り組んでいる最新の様子を取り上げている。意識の力があるのかもしれないということを本気で思わせる。
 この世には目に見えないものはいくらでもあると思う。むしろ人間の目に見えないものの方が多いのではないだろうか。
 SFの世界では当然のように出てくる数々の不思議な力や現象を、もうSFの話だと思ってはいられない時代がすぐそこに近づいているのかもしれない。
 幽霊は、古い城の壁に映った模様が人の顔に似ていたりして、そこを通る人が恐怖で冷気を感じるからだとか、生まれ変わりの話では、幼い子供の意識の中に答えがありそうだとか、予知というのは、人間が生きようとする本能のために、怖い画像を見せられる4秒前にもうそれが脳が「予見」してしまうのだろうというような数々の科学的説明をつけて、科学者たちの研究の最前線をこの番組は紹介している。

 私自身は、今現在は超常現象だと思われているような現象も、近い未来にはもうそれは超常現象ではなくて、ただのひとつの「現象」になるだろうと思う。

                    (2014・1・22)

|

« No.391 (Web版41号)3 | トップページ | No.393 (Web版43号)1 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: No.392 (Web版42号)1:

« No.391 (Web版41号)3 | トップページ | No.393 (Web版43号)1 »