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No.399 (Web版49号)2

SF essay(220回)

川瀬広保


 追悼 柴野 幸子さん

 9月10日、そろそろ寝ようかと思っていたころ、電話が鳴った。
こんな時間に電話が鳴ることはないから、何だろうと思って受話器を取った。
 福田さんからだった。
「柴野さんの奥さんが亡くなられたようです」

 私は、昔、大学生のころ、翻訳原稿を見てもらおうと思って柴野拓美さんの自宅を訪問したことがある。
 そのころ、柴野さんは40歳代だったと思う。
 柴野さんは若い私にもにこやかな笑顔で応対してくれた。その時、奥様は出てこられなかったか、ご不在だったかだと思う。
 初めてお会いしたのは、はまなこんか何かで、夫婦で出席されたとき、柴野拓美さんが「家内は私の注射係なんですよ」と言われたことを覚えている。
 いつもコンベンションには夫婦でいらっしゃっていた。

 2007年の横浜でのワールドコンでも元気そうだった。
 私の『SFファン48年』というささやかな本が星雲賞のノンフィクション部門にノミネートされたとき、柴野さんを追悼するという企画の部屋で、末席に座っていたら、柴野幸子さんが現れたので、あいさつした。「星雲賞、残念でしたね」と話しかけてくださった。

 柴野拓美さんの奥様、幸子さんという方は夫唱婦随で、内助の功を発揮されて影の日本SF界の功労者だったのではないかと思う。いや、日本だけではなく、世界でもそうだったのだろう。
 謹んで、ご冥福をお祈りします。

 最近、新間策雄さんが亡くなられたという報に接した。
新間さんとはおつきあいはなかったが、たったひとつの思い出がある。自著『SFエッセイ』の44ページ、50ページあたりを読み返すと思い出がよみがえってくる。そのころ、私はモーツアルトに染まり始めていた。PM紙上で、映画「アマデウス」の中に出てくる有名なある曲がなんという曲なのか、わからなかったので、そのことを書いたところ、新間さんから丁寧な返事をPMにてもらったのだ。

 人生、一期一会というが、会ってはいなくてもつながりがあったことは覚えているものである。
 きっと、今頃、新間さんは天上の世界で優雅なモーツアルトの曲を聞いておられるのだろう。
 謹んで、ご冥福をお祈りします。

 さて、東海SFの会も歴史ある会になってきたので、お亡くなりになる方が出てきて、非常に残念である。
 健康に気をつけてというと、月並みな言い方で、何の感もわかないのだが、他に言いようがない。
 リスクを減らして、食事に気を付け、アルコールやストレスも(ストレスだけは減らしようがない)減らして、若返って、SFしていきましょう。
 食事については、野菜を多く食べ、アルコールを飲みすぎないようにして、どうにもならないことは考えすぎないようにして、ものごとを明るくとらえ、あまりがんばらないように生きていく・・・。薬の飲み過ぎはいけないけれど、必要な薬は飲む。
 人に意見はできませんが、とりあえずこんなところを考えています。
                 (2014・9・17)

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