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2015年5月

No.403 (Web版53号)4

SF essay(224回)

川瀬広保

PM400号について他



 PMが早く来ないかなと思っていたら、ある日、いつもより厚いPMがとうとう郵送されてきた!
 いろいろな方が祝辞を寄せている。
 また、過去のPM記念紙の表紙なども載っていて、懐かしい。
 一番、懐かしかったのが、PMの第一号である。PMが「PEPER M00N」となっていたり、私の名前が、「川瀬 弘保」となっていたりして、いまとなっては懐かしい。
 発行が昭和44年8月4日となっている。私が21歳のころである。
 あ、計算はしないでください。
 もうそのころから、PMはあったのだ。
 それから、40年以上(計算はしないでね、まあいいけど、歴史があるのはいいことです)、PMは発行され続けた!これは、すごいことであり、素晴らしいことです。編集後記の福田さんの文章を読みました。まだまだ続けてください。お願いします。

 さて、SFとは関係ないけど、定年退職後、ボランティア活動をやっている。
ある日、いつものように浜松城へ出かけた。子どもが来ると声をかけたくなる。
「どこから来ましたか」
「東京!」
「何歳?」
「8歳」
「じゃあ、3年生かな」といった会話をして、いつものように説明をし始めた。
 徳川家康の歯朶具足の前で、「これはね」と言いかけたら、その小学3年生は「歯朶具足!」と自分から言った。隣にある金陀美具足についても、自分から答えを言ったので、驚いた。なかなかそういうお客さんは、大人でもいないからだ。家康が10歳のころ、石合戦の様子を見て、人数が少ない方が勝つであろうと言ったという逸話についても、ちゃんと知っていた。「どうしてそんなによく知っているの?」と尋ねたら、「歴史漫画で読みました」と答えた。
 ちょっとしたきっかけがあれば、すぐに覚えるものだ。親はわが子に将来自信を持たせたかったら、きっかけ作りといろいろな経験を積ませることが大切だとつくづく思わされた、
 SFも同じ。子どものころに、手塚治虫や星新一に親しんだ子が、高校生のころに、「幼年期の終り」を読み、SFマインドを持つ大人に育つのである。

 さて、SFには直接、関係ないけど、私は猫好きだ。毎日、猫に癒されている。かわいがればなつく。毎日、その行動を見ていれば、かわいいだけでなく、何を考えているのか、どのように助け合っているのかもわかるような気がする。
 1月7日の夕刊に、「処分されそうな犬・猫を引き取る神奈川の特養」という記事を見つけた。引き取られた犬や猫が、お年寄りたち入居者の心の支えになっているという。
 一方、人間界では、殺人やテロといったニュースのない日はない。家族間の争いやいさかいによる事件も多い。
 この記事の最後に、施設長の言葉が引用されていた。「犬や猫が幸せに暮らせる社会は、人間にとっても豊かな社会です」。まったく同感である。
 犬や猫は、ケンカはしても、殺しあったりはしない。ところが、人間の社会は自己の主張を通すためには、殺し合いもする。
 平和な社会を実現するためには、まず犬や猫といった小動物の殺処分という人間側のおごった忌まわしいやり方よりも、彼らに癒され、「徘徊や認知症の症状が緩和する」という「アニマルセラピーの効果もある」方法を選んでいく方が、動物と人間が共存共栄して豊かに生きていけるのではないかと本気で思った。
 記事中の犬と猫の写真を見て、人間のエゴで処分されなくてよかったねと強く思い、そう声をかけたくなった。
 SF人にも悪い人はいない。猫好きにはさらに悪い人はいないと思う。

 さて、SFの新刊ではロバート・A・ハインラインの『輪廻の蛇』を買おうかなと思っている。また、SFマガジンが隔月刊化されて初めての号がもうじき出る。どんなふうに変わるのか、興味はある。
 年は明け、2月に入り、節分の日、豆をまいた。邪気をはらえたかどうか。翌日、立春を迎えたが、まだまだ極寒の日々が続く。日本でも、テロが横行しそうで恐ろしい。ニュースから、目を離せない。
                    (2015・2・5)

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No.403 (Web版53号)3

My BESTS 2014

中嶋 康年


1火星の人 アンディ・ウィアー

火星に一人で残された宇宙飛行士が、なんとかして地球に帰還する物語。「ゼロ・グラビティ」の火星版との評もある。580ページと少し厚めだが、息もつかせぬ展開でリーダビリティは高い。

2「機巧のイヴ」乾緑朗

江戸幕府配下の機巧師、釘宮久蔵と彼が作った人と見がまうほどの機巧人間、伊武。「シミュラクラ」テーマとでもいうのだろうか。2010年「完全なる首長竜の日」が「このミステリーがすごい!」大賞だったが、こちらの方がダントツに面白い。

3「ウォーキング・デッド」FOX/SkyperfecTV

アメリカAMC制作のドラマ。現在シーズン5を放送中。人類のほとんどがゾンビと化した世界で、生き残ったわずかな人間たちが争い、時には協力しながら生きていく姿を描く。非常に重い内容なので、体調の悪いときには見られない。

4「ゲーム・オブ・スローンズ」STAR CHANNEL/SkyPerfecTV
アメリカHBO制作のドラマ。第4章「戦乱の嵐」後編まで放送済み。ジョージ・R
・R・マーティンの「氷と炎の歌」が原作。この「STAR CHANNEL」は個別契約性なので、放送が始まるとそのときだけ加入している。

5「キルラキル」ANIMAX/SkyPerfecTV
漫画にもなったが、僕が見たのはアニメの方。「グレンラガン」と同じスタッフなので、テイストとしては似ている。本作もぶっ飛んだ設定で、後半へ行くにしたがってひねりが繰り返されてくる。枠いっぱいに拡がったようなロゴの使い方が特徴的。

6「PYCHO-PASSサイコパス」TV

2013年に一度放送されたらしいのだが、ぼくが見たのは7月から放送された新編集版の方。「SFマガジン」で特集が組まれるなど、注目度が高かった。続編となる「2」は見たが、劇場版はまだ観てない。

7「モンド9(ノーヴェ)」ダリオ・トナーニ

イタリア人作家のSF。機械と生物が境界を越えてお互いを侵食する巨大船が砂の惑星「モンド9」を漂っていくという話。この砂には毒性があって、毒に蝕まれながらも生きていく人たちの光景がすさまじい。

8「チューリングの妄想」エドゥムンド・パス・ソルダン

こちらは非常に珍しいボリビアのSF。ラテンアメリカ文学というと、独裁政権時代とか、その少し前の時代を描くことが多いのだが、これは現代を舞台にしているところでも珍しい。それも「テクノスリラー」なのである。

9「さらばスペインの日日」逢坂剛

出版は2013年11月なので厳密には一昨年の作品。本作は全7巻にも及ぶ「イベリアシリーズ」の完結編なのだが、実はこれしか読んでない。第2次世界大戦における日本人のスペインを中心にしたヨーロッパでの活躍を描いたもので、この完結編だけでも面白かった。ドイツやイギリスのスパイも絡んできて、非常にスリリングである。

10「ワンス・アポン・ア・タイム」GYAO

NHK BSで2013年に放送されたらしいのだが、ぼくが今見ているのはGYAO無料動画というサイトで現在配信中のもの。白雪姫とかシンデレラなどのおとぎ話を全部一緒くたにして、その前日譚や後日譚もあわせて現代とリンクさせるというなかなか面白い構成。まだ最終回まで観てないので、どのように終わらせるか楽しみである。

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No.403 (Web版53号)2

CGアニメ化された “古事記” についてあれこれ

by 渡辺 ユリア

 寒中おみまい申し上げます。正月の朝、CGアニメの “古事記” を観ました。元旦は第4話。2日は第5話。3日は第6話(ラスト)でした。アニメの映像はけっこう美しい。そして文章で読むよりも、アニメで観ると台詞も声として、私の心に響きました。 “古事記” は日本最古の歴史書であり、最古のエンターティメントであると、この番組で言っていましたが、私もそう思います。
 アニメとアニメの間にトークの時間があるのですが、出演者は漫画家の里中満智子先生とキャスターのホラン千秋さんと立正大学教授の三浦佑之氏。
 第4話では高天原を追放されたスサノオノ命が八岐大蛇を退治する話と稲羽の白ウサギの話がありました。助けられた白ウサギは予言をしました。実はオオナムジノ命(後の大国主大神)は大勢の兄たちの後に稲羽の国に行ったのですが、兄たちの目的は、その国のヤガミ姫という美しい姫に求婚するためでした。オオナムジノ命は噂に聞くヤガミ姫はどんな人だろうか、という気持ちだけだったようです。阻止て白ウサギの予言とは “あなたの兄たちがどんな事を言っても、姫は言うことを聞かないでしょう。姫はあなたを選ぶでしょう” というものでした。本当だろうか・・・彼はそう思いました。けれど、実際に姫に会ってみると姫は彼を選びました。それを見た兄たちは烈火のごとく怒りました。その後、オオナムジノ命には多くの試練が待ち受けているのです。
 第5話と第6話はけっこう波乱万丈でした。兄たちは何とかしてオオナムジノ命を殺そうとします。実は彼は二度死んだのです。でも、そのたびに母親が助けるのです。(母親の願いで現れた女神たちが彼を助けるのです)これ以上その国にいたら大変だ、という事で彼はスサノオノ命がすむという “根の堅国(ねのかたのくに)” という遠い国へと旅立ったのです。そこで彼は一人の姫に出会ったのです。良い印象だったそうです。姫も命のことを大切な人と思うようになったみたいです。その姫はスサノオノ命の娘でした。スサノオノ命は彼に多くの試練を与えました。けれど彼はそのたびに姫や動物の忠告によって辛くも生きながらえました。もうここにいたら本当に死んでしまうと決心した彼は姫と共に大きな楽器を持って逃げました。目をさましたスサノオノ命は追い駆けましたが大きな川の所で自分の大切な剣を彼のほうへと投げ “それはお前にくれてやる。王様のつかう剣だ。それを皆に見せ、王である事を誇示せよ。そして大国主命(おおくにぬしのみこと)と名乗るがよい ” と言い、自分の国へと帰ってゆきました。
 まだまだ続きますが、この辺で。けっこう楽しかったです。
                    yullia 2015.1.11

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No.403 (Web版53号)1

SF essay(223回)

川瀬広保

SFマガジンの隔月刊化!他

 次の文は、SFマガジンの「てれぽーと」欄へ送ったSFマガジン隔月刊化についての元文である。
 多少、添削されていたが、載せてもらえて、24日に送られてきた。


 SFマガジンを購読し始めて、もう50年ぐらいになります。最初に、買ったのは53号。今でもその号は私にとって、記念すべき忘れられない輝かしい号なのです。
 それ以来、欠かすことなくSFマガジンを読んできました。ななめ読みのときもありましたが、目を通さないことは一度もありませんでした。大げさに言えば、SFマガジンは私にとって、人生の一部だったと言えるでしょう。SFマガジン53号に出会わなければ、アーサー・C・クラークも、星新一も小松左京も知らないままになっていたか、知るのがずっと遅くなっていたのは確かです。
 いつも、まず最初に編集後記を読んだり、近刊予告のページを見たりするのがお決まりの読み方でした。
 私は、早速いつもと同じように11月25日発売の新年1月号の編集後記に目を通し始めました。
 そこにはびっくりする言葉が書かれていました。目を疑いました。この歴史ある、ついこの間、創刊700号記念特大号を出したばかりのSFマガジンが来年から隔月刊になるという予告です。本ページの最後の方にもそのお知らせが出ていました。何回も読み返しました。
 きっと貴社にもいろいろなことがあったには違いありませんが、残念な気持ちでいっぱいです。
 SFマガジンは日本を代表するSF雑誌です。ずっとそうでした。かつてはいくつかほかのSF雑誌が書店に並んでいた時代もありました。それらはやがて消えていきましたが、SFマガジンだけはずっと続いてきました。
 隔月刊への移行は非常に残念なことですが、そう決まったならそれを受け入れざるを得ません。
 たとえ、偶数月にのみお目にかかるSFマガジンになっても、私はこれからも歴史あるこのSF雑誌を読み続けるつもりです。ますます内容の素晴らしいSFマガジンでありますよう、応援しています。
 私としてのお願いは、新しい作家にSF作品を載せると同時に、いつまでたっても色あせない有名なSF作家たちのまだ紹介されていない作品の発掘の両方を目指す新SFマガジンであってほしいと願っています。




 SFマガジンがまさか、隔月刊化するとは!
 最新号の2015年2月号は2014年12月に発売されたのだが、「創刊55周年記念号」と銘打たれている。私が11歳のころの創刊であり、私が出会ったのは53号だから、もうすでに創刊から4年ぐらい経過していたわけだ。たぶん、高校生の16歳の時に、私は、SFマガジンに出会った。それから、月刊誌として、欠かさず購読してきたのだが、次にSFマガジンに出会うのは2015年2月なのだそうだ。
 「大森望の新SF観光局」の「月刊終了の衝撃」に書かれていることが、「当たらずとも遠からず」(編集後記)なのだそうだが、この歴史あるSFマガジンが消えないことを願うばかりだ。

 さて、小学館が、「ドラえもんプラス」の新刊を8年ぶりに出すと知って、12月1日を楽しみに待っていた。
 予告によると、


 将来の結婚相手はのび太じゃない!?しずちゃんの衝撃の発言から始まる「にっくきあいつ」。ドラえもんの異常などら焼きへの執着からまたまた事件勃発!?「チリつもらせ機で幸せいっぱい?」。鼻ちょうちんで空を飛ぶ!?前代未聞のひみつ道具「はなバルーン」。スネ夫が人面魚に!ドラえもんが人面犬に!次々変身大パニック「そっくりペットフード」など、ドキドキワクワク、心の底から笑える、いつもの「ドラえもん」がぎっしり詰まっています!


 とあった。
藤子・F・不二雄亡き後、全集が出て、もう残っている作品はないと思っていたが、そうでもなかった。
 さっそく買って、今全作品読み終わったところだ。「ドラえもん」の未読の作品がまだ読めるということはうれしいことだ。作者、藤子・F・不二雄が他界してもう18年もたった。8年ぶりに新しい「ドラえもん」が読めて幸せだった。
 ほとんど一気に読み終えた。そこには相変わらず楽しいドラえもんの世界があった。
 小学生の2年〜6年向けに描かれたものだが、大人にも十分楽しめる。
長きにわたるドラえもんファンにとっては、この新刊はうれしい一冊だ。
 「ドラえもん」の中には、人が考えるあらゆる想像が含まれていて、「ああ、こういうものが本当にあったらいいな」というものでもう描かれていないものはないと言ってもいいぐらいだ。
 私としては、「初日の出セット」「カンゲキドリンク」が面白かった。
 ドラえもんファン、藤子・F・不二雄ファンなら当然だが、そうでない子どもにも大人にもお勧めの一冊だ。

 次の話題ははやぶさ2。
 はやぶさ2の打ち上げの模様をテレビでずっと見ていた。いろいろな解説を聞きながら、秒で決まっている時刻に正確に打ち上げなければいけないということに
ドキドキしながら、見ていた。
 三度目の正直で打ち上げ成功となった。

 はやぶさ2の打ち上げは天候に左右される。また、秒単位の正確な時刻に打ち上げないと、目指す小惑星への軌道に乗らないのだそうだ。
 いつの間にか、世界は宇宙への進出に競争をしていた。
 今度は、アメリカが打ち上げる「オリオン」の試験機が話題である。昨夜、予定では日本時間で21時5分に予定されていたが、近くに船が入ったということで延期され、今夜(2014・12・5)21時5分に打ち上げられた。これはまだ、本当に火星に向かう前段階なのだが、NASAの長官の言葉が私は気に入った。
 「これで、サイエンス・フィクションがサイエンス・ファクトになるのだ」
 かつてSFはこぞって、火星へ地球人が向かう話をたくさん書いた。その代表は「火星年代記」であり、火星人は実は地球人そのものであったということは、まさにSFの世界である。
 そんなことを感じたニュースだった。
 今年は寒さが厳しい。あまり出かけず、家にひきこもっていることが多い。世の中で、はっきりしているのは、「変化」だということを感じさせられるこの頃である。
 月並みだが、来年2015年はよい年になりますように。
                      (2014・12・24)

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