No.407 (Web版57号)2
SF essay(227回)
川瀬広保
スタニスワフ・レムの『泰平ヨンの未来学会議』(改訳版)が出たのだが、それを入手するまでにやや難航した。
最近、新訳版が多く出ているが、これは改訳版である。訳者が変わっていないからである。
私は、当然のようにいつもの書店にもう並んでいるだろうと、出かけて行った。
ところが、並んでいない。そこで、店の人に聞いてみた。そうしたら、谷島屋では本店とららぽーと店にしか配本がないという。
どうしようと思って、いったん店を出た。隣につたやがあるから、そこにはあるだろうと期待して見にいった。残念ながら、ここにもない。結局、もう一度、元の谷島屋に戻って、注文することにした。翌々日に入るという。
そこで、待つことにした。
最近、求める本がなかなか手に入らない。もうじき、映画が始まるらしい。映画化のための改訳版だということがわかった。紙に印刷された本を読まなくなってしまった時代である。売れなければ、たくさん印刷するわけにはいかない。
昔の『泰平ヨンの航星日記』はもう手に入らない。原本はもう40年も前に出版されたものであり、最初の翻訳も古めかしくなってしまっている。そこで、翻訳も新しくしなければいけないのだろう。
さて、読後の感想だが、これは翻訳がかなり難しかっただろうと思った。
後半、主人公たちがテロによって、おかしな幻覚の未来へ行ってしまったあたりから、少しずつ面白くなる。
『ソラリスの陽のもとに』のレムという作家には、別の一面があったのだと思わされた。
朝日新聞の6月19日夕刊に、記事があった。
娯楽に溺れる未来
「コングレス未来学会議」 あす公開
残念ながら、浜松では公開されないようだ。
さて、NASAの探査機「ニューホライズンズ」が、来月7月14日、冥王星へと到達するのだそうだ。9年半の歳月をかけてである。
冥王星と言えば、太陽系のもっとも遠い「惑星」だった。途中で「準惑星」と「降格」されてしまったが、私の世代にとっては、「惑星」であることは間違いないと思っている。
とにかく、太陽系最遠のこの「惑星」に探査機がもうじき到着するというのだから、すごい時代に生きているものだ!
50年ほど前には考えられなかった時代になっていることは間違いない。多くのSFに描かれた時代がやがて来るのであろう。太陽系を所狭しと活躍する人類の物語が、想像より早いのかもしれない。
さて、最近、火山の噴火、地震の多さ、予想のつかない天候等、また人心では相変わらず事件や事故が多い。世の中はどこへ行くのかと考えざるを得ない。
世界の人々が平和を願えば、安定した世の中になることも可能だろうと思うのだが、皆さんはどう思いますか。
(2015・6・25)
| 固定リンク
コメント