No.410 (Web版60号)2
SF essay(230回)
川瀬広保
「SFファンジンデータ・ベースVER・1・5」
先日、森東作さんから、「SFファンジンデータ・ベースVER・1・5」が送られてきた。さっそく、中を見たら、手紙の添え書きにあったように明治大学SF研究会発行の「TERRA」創刊号だけ、データ・ベースにない。
そこで、その創刊号のコピーを探した。以前、原本のコピーをさせてもらったことがあったからだ。創刊はもう47年も前のことである。古き良き懐かしい青春時代に奮闘して作り上げた手書きのファンジンである。
私は、森さんのところへ原本のコピーを送った。これで日本SFファンジン史の一角にこの「TERRA」も残っていくことだろう。
今の日本のSFファンジンの現状はどうなっているのだろうか?昔は、ファンとプロの間のつながりが濃かった。そこで、私も手書きのファンジンを作り上げて、プロの諸氏へ送ったものだった。星新一、伊藤典夫、矢野徹、柴野拓美などと錚々たる諸氏へ恐れげもなく送ったものだった。
SFというものが熱い時代だった。現在のSFファンダムの状況を知るには、森さんが作っていらっしゃるこうしたデータ・ベースが手がかりだ。地道な活動には頭が下がります。
さて、5年に一度の七面倒くさい国勢調査員をいやいやながらやらされることになって、今、四苦八苦している。一番困るのは、大事な書類が足らないことだ。そこで、「指導員」という人に聞いたら、「コールセンター」へ聞くようにという。そこで、また電話したらあれこれ聞かれて、郵送してくれることになった。新しく転入してきた人や表札も名前も何もない出入りの激しい集合住宅も非常に困っている。
それにしても、日本人は昔から、非常に細かいことをやるのが大好きらしい。最後には調査結果の数字やパーセントが出てくるだけだ。この調査がわれわれの実生活に役立つとは決して思えない。
国会も大荒れだ。安保法案は通過したが、後味が悪い。日本人というのは、一度もまとまったことがないように思える。賛否両論どちらもあって、いつの世もまとまらないのが、日本というものらしい。
世の中、うまくいかないことだらけだ。
さて、SFの新刊はあれこれ出るが、復刊や新装版、新訳版が多いように思う。かつての目を見開くような着想のこれぞというようなSFはなかなか現れないように思える。
SFより、現実の方がよりSFらしいからだろうか。
人間から想像力を取ってしまったら、もうおしまいだ。そう思いながら、SFを追い続けている。
想像力というのは、「もし、〜だったら」という発想だ。
もし、時間を行き来できるタイムマシンができたら、どうなるか。人生のやり直しはできるのだろうか。
もし、光速を超えられたら、どうなるか。
もし、四次元世界があったら?目に見えない世界はあるのだろうか。
などと、考えるのがSFだ。
現実には、そんな空想に浸ってはいられず、毎日が過ぎていく。
人はもっと想像力を発揮し、それを忘れないようにしなくてはいけないと思う。
(2015・9・26)
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