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No.415 (Web版65号)2

SF essay (234回)

川瀬広保


『ハヤカワ文庫SF総解説2000』というガイドブックが出版された。SFマガジンに三回にわたって連載されたものを一冊にまとめたものだから、それがあればいいのだが、やはり一冊にまとまったものの方がいいだろうと思って買うことにした。
 1番の『さすらいのスターウルフ』から、2000番の『ソラリス』まで一冊にまとめられたものを見ていると、やはり歴史を感じる。
 それ以前のハヤカワSFシリーズで育った私としては、青背のハヤカワSF文庫はまだ若いものだと思っていたが、もうずいぶんと時間が流れていたんだなとまず感じている。
 買わないものは買わないので、たとえばローダンは私の書斎には1冊あるかどうかだ。SFも時間の流れとともに、変化してきているのは致し方ないところだろう。最近は新訳版が続々と出版されており、訳者も変わってきている。訳者が変わると訳文が変わり、雰囲気が変わる。最初に読んだ本の影響が一番大きい。そういう新訳本も一緒になって、2000番まで来た。
 この文庫が今度は3000番、4000番と続くことを願っている。
 未来のSFはどう変わっていくのだろうか。100年後に『幼年期の終わり』や『夏への扉』は残っているのだろうかなどと思わざるを得ない。そして、100年後にはどんな素晴らしいSFが現れるのだろうかと思う。イアン・ワトソンの「2080年世界SF大会」という短編を思い出した。SF大会だけは残り、ファンジンを回し読みしているというような内容のファン向けの小品だった。

 さて、ビッグ・ニュースだ!
 太陽系の大きさが倍増するようだ。海王星のはるか向こうに第9惑星が存在するらしいという。まだ見ぬ巨大な惑星が存在すると考えなければ、他の天体の軌道の説明がつかないのだそうだ。太陽の周りを1〜2万年もかかって公転しているらしい。宇宙の神秘を感じるどころではない。
 一方、現代の人間は何でもわかったような気になっているが、まだまだほんの序の口にいるのだろう。
 人類はやっと地球上空300〜400キロ程度のところに、宇宙ステーションを建設したくらいで、月へ行った人間もほんのわずかだ。水、金、地、火、木、土、天、海、(冥)そして第9惑星だというから、宇宙や天文の分野も確実に進んでいる。実際に巨大望遠鏡で存在を確認できるようになるのは、5年後ぐらいだろうと研究者がコメントしていた。
 昔、ガリレオが木星の4大惑星を見つけて、地球が宇宙の中心ではないということがわかってきた。その後、太陽系には9つの惑星があるということが長年、信じられてきた。そして、冥王星は、準惑星に降格された。今度は、本当の9つ目の巨大惑星である。
 天文の分野も本当に面白くて、ワンダーを感じさせられる。人類の日々の動きは争いばかりだが、そんなことには関係なく、宇宙は動いているのだ。

 さて、去年から今年にかけて、気候の変動が大きすぎる。暖冬だと思ったら、極寒の日々が続いている。予報によると、もうじき今度はまた、気温が急上昇するらしい。どうも地球がおかしくなっているのは、確かなようだ。われわれにできることはほとんどない。消費税は上がり、年金額は減り、「一億総活躍」どころではない。せめて、宇宙の神秘を感じようと思って、そんな話題が出てくると、少しばかり興奮した。

 つい、この間、大みそか、正月だと思ったら、もうじき2月が来る。さて、どうしよう?
                    (2016・1・26)

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