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No.415 (Web版65号)3

「幼年期の終わり」ドラマ化

中嶋 康年


 1月24日、スカパー!のAXNで「Childshood's Endー幼年期の終わりー」の第1話前半が放送された。この日、「スーパーガール」と「ザ・マペッツ」を合わせて3本が放送され、そのうちの視聴者投票で1位になった作品を3月からレギュラー放送するという企画の一環。31日投票締め切りで、2月14日に結果発表だった。1位になって、この日、第3話まで一挙放送されたのは「スーパーガール」だった。いずれにしても、いつになるかわからないが、他の作品も放送されるのは間違いないだろう。

「Childshood's Endー幼年期の終わりー」とはもちろん、クラークの1953年に発表され、2007年になって光文社から新訳版が出た「幼年期の終わり」が原作である。2015年12月、アメリカSyfyチャンネルが制作した全3話のミニシリーズで、アメリカでの放送直後といってもいいほど日本での公開が早い。日本では、それを前半後半に分けて6回シリーズとしている。アメリカ版の1話は80分なので、日本では半分にしてちょうどいいということなのだろう。
 前半の主人公ストルムグレンは原作の国連事務総長ではなく、一人の農民で、ある大企業と交渉をしたことがあるというだけで人類の代表者に選ばれたことに戸惑いを隠せない。オーバーロードに反対するマスコミの運動家に「スタートレック」シリーズの「チーフ・オブライエン」でおなじみのコルム・ミーニイが扮している。オーバーロードのカレルレンは、旧版では訳者によって違うが、「カレルレン」、「カレレン」と呼ばれ、字幕でも「カレルレン」と呼ばれていたが、台詞では新訳と同じく、「カレラン」と言っていた(聞こえた)。原著ではKarellenと書くらしいので、「カレレン」あるいは「カレラン」の方が近いのかとは思う。ANXで放送されることを知ってから、ずっと前に買ってあった新訳版を読んで記憶を新しくしたところ。第1話前半でもかなり原作との相違点があったのでこれからの展開が楽しみであるが、残念ながら全編放送は少し先になりそうである。

「スーパーガール」は主演に「glee」シリーズのメリッサ・ブノア、上司のキャットに「アリーmy Love」のキャリスタ・フロックハート以外は、あまり見たことのない顔ぶれ。原作コミックでは、クリプトン星崩壊後、浮遊都市のアルゴシティから来たことになっていたのだが、映画やスーパーマンのドラマなどに登場するたびに設定が変わっていくので、決定版というものはない。今回は、クリプトン星が崩壊するときには既に10代の少女になっており、先に送り出された甥の面倒を見るために出発するのだが、クリプトン星が爆発したときの衝撃波でファントムゾーンにとらわれてしまい、やっと脱出で来た時には地球では二十数年経っていたという設定。地球につくと、スーパーマンは既に活躍を始めていて、自分の方が年下になっていた。スーパーマンの紹介で、ダンバース家の養女になり、成人して巨大メディア・グループ、キャットコー・メディアに就職する。ダンバース家には娘が一人いて、姉として慕って成長するのだが、当然正体は知っている。しかも、「特異生物対策局」DEOという異星人対策の組織で働いているので、スーパーガールとしての活躍を支援する一番の味方となっている。このドラマの特徴として、スーパーガールの正体を知っている人が多いということがある。姉はもちろん、DEOの職員、会社の先輩であるジェイムズ・オルセン(スーパーマンの友人。コミックでは「ジミー」として知られているが、ここでは「ジミーと呼んでいいのはスーパーマンだけ」といってジェイムズと呼ばせている)、同僚のウィンなど、シークレット・アイデンティティが普通のスーパーヒーロー物にしては、第1話からバンバン正体を明かしていくので、おいおいと思いながら見ていた。第2話で、「スーパーマンは赤ん坊のときに地球に来て何もかも一人でやらなければならなかったのに、私は仲間に恵まれてきた。みんなとのつながりを大事にしていきたい」と述べるところがある。名前も、原作では地球名を「リンダ・リー・ダンバース」だったのが、今回はクリプトン名の「カーラ」をそのまま使っているのも、そんなことが影響しているのかもしれない。

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