No.419 (Web版69号)1
SF essay (237回)
川瀬広保
漫画について
漫画家と言えば、私にとっては、一番目は手塚治である。そして、二番目は藤子不二雄だ。のちに、藤子・F・不二雄と藤子不二雄Aに分かれたがどちらも好きである。三番目となると誰をあげようか。
最初は、子どもはだれでも漫画から何かの分野に入るもののようだ。いきなり、難しい文だらけの本から、何かの分野に入ったりはしない。親が子供に最初に与えるのは、図鑑や漫画入りの本である。
手塚治虫は天才だった。絵が流動的で、ダイナミックで誰もが描けるような絵ではなかった。私も、「鉄腕アトム」から入った。SFへの入り口だったと言ってもいい。SFマガジン53号が私にとってのSFへの入り口だったが、それより以前はやはり「鉄腕アトム」である。
その後の、「火の鳥」「ブッダ」「ブラック・ジャック」など、どれもみな傑作である。もし、手塚治虫が医者になっていたら、あまり後世に名前が残らなかったかもしれない。最近、読み返すことがなくなってしまったが、私にとってはSFの原点であり、漫画家の最高峰に位置している。
そして、次は藤子不二雄である。やはり、なんといっても「ドラえもん」である。その昔、毎月2冊づつ「ドラえもん」を読んで、あっと言う間に、藤子不二雄のファンになった。「ドラえもん」にはあらゆるアイディアが含まれていて、素晴らしいと今でも思っている。奇想天外なものもあるが、実現しそうなものもあるし、泣ける話もあるし、ドラえもんで育ったと言っていいだろう。また、「まんが道」は何回も読み返した。
さて、三番目は誰にしようか。水木しげるにしようか。分野はまったく違うが、いしいひさいちにしようか。吾妻ひでおにしようか。「失踪日記」が赤裸々でよかった。水木しげるは94歳で亡くなってしまったが、多くの人に愛された。いしいひさいちは毎朝、朝日新聞の朝刊で楽しませてもらっている。
吾妻ひでおは、もう終わったのでしょうか?新作は出ないのかな?
あとは長谷川町子。国民的漫画家であり、「サザエさん」を知らない人はいないであろう。
こんなところが、私の漫画の思い出である。活字文化の方が、重要視されがちだが、優れた漫画は後世に残る。福島正実は、漫画を「ポンチ絵」と言っていたが、あのころはSFを世間に認めさせるために必要だったのであろう。
さて、現実の社会では、熊本地震の被災者はまだ避難生活だったり、サミットが日本で開催されるので、かつてないほどの厳戒態勢だったり、沖縄では忌まわしい事件が起こったりと大変なニュースは欠かすことがない。
こういう時代こそ、もっと心温まる漫画、SFを読んで、人心が明るく、温かくなることが必要ではないでしょうか。
(2016・5・25)
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