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No.420 (Web版70号)2

アメリカンコミック実写化映画

中嶋康年

 アメコミ実写化映画「シビル・ウォー/キャプテンアメリカ」と「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」を見た。いわゆるクロスオーバーものという数人のヒーローが一本の映画に出演するという形式だ。「シビル・ウォー」はキャプテンアメリカ、アイアンマンをはじめとする総勢12人のヒーローが集まり、「バットマンvsスーパーマン」はこの二人とワンダーウーマンが出ている。映画のポスターはバットマンとスーパーマンの二人だけだったが、映画を観ると、ワンダーウーマンの印象が鮮烈。そのためか、発売されたブルーレイのジャケットはこの通り。(PAPER MOON 2016.8 No.420印刷版参照)マーベル陣営はこのシリーズを「マーベル・シネマティック・ユニバース」と呼び、DC陣営は「DCエクステンデッド・ユニバース」と名付けた。
 マーベル・ユニバースは公式には13作だが、実はゆるくつながっているだけで、緊密に続き物らしくなってきたのは、2012年の「アベンジャーズ」から。しかし、それでもすでに4作め。対するDCの方は、スーパーマンやバットマンの映画は数多くあったが、連続感が出てきたのは2013年の「マン・オブ・スティール」からの2作しかない。「バットマンvsスーパーマン」にはフラッシュ、アクアマン、サイボーグがチラッと出演し、来年の「ジャスティス・リーグ」につなげていく魂胆が見え見えである。両陣営ともスーパーヒーローたちが悪と戦うのはいいが、一般市民に被害が出るのはまずいんじゃないのという展開になっているのは、今のアメリカがまさにその状態になっているということ?
 アメコミブームが起きているのは映画界だけではなく、スカパーやNetflixなどで配信されている海外ドラマにもみられる。バットマンの少年時代を描いた「GOTHAM」、グリーンアローのドラマ化「ARROW」、第1シーズンが終了した「スーパーガール」、huluが配信した「FLASH」などで、後者3作はクロスオーバーした回もいくつかあるが、マーベルの方は「デアデビル」「ジェシカ・ジョーンズ」の2作しか思いつかない。クロスオーバーもしていなかったが、来年にはジェシカ・ジョーンズに出演していたルーク・ケイジが単独ドラマ化されるらしい。とはいうものの、マーベルはドラマには余り力を入れてないようだ。
 今回のブームでは、和訳コミックがよく目に付く。映画化された「シビルウォー」「バットマンvsスーパーマン」はもちろん、同じく映画化された「デッドプール」「スーサイド・スクワッド」など、いままでアメリカンコミックなど見かけたこともない書店にも並ぶようになった。映画化以外では、マルチバースと呼ばれる多元宇宙のスパイダーマンが86人集合するという「スパーダーバース」、ヒーローチームのアベンジャーズとX-MENが対決する「AvsX」など。いずれもいままでのアメコミのイメージとは違う厚めのつくり。お値段2500円以上という高めの設定が特徴。

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