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No.428 (Web版78号)1

3001のオデッセイ

加藤弘一

ローダンに追われていたのに「3001年終局への旅」を手に取ってしまった。
理由は2つある。
1.安彦良和のコミック「天の血脈」のラストで主人公がアイスマンになって浦島太郎のようになって終わってしまった事。
2.「2001年宇宙の旅」を読むようにと書いたコラムを読んだ事。

2001と言われて3001を読むのは父の遺伝の為せる技であろうし、天の血脈の読後の消化不良感が同じ様なシュチュエーションで逆に話が始まるプール中佐の冒険を読みたいと自分を誘ったのかも知れない。

物語の最初は映像に例えればゼータガンダムのオープニング‥‥宇宙服の人間が星々の中をさ迷うシーンから始まる。
だが、スペースコロニーは出てこない、舞台は軌道エレベーターである。

現在の国際宇宙ステーションも維持するために定期的に何億円も掛けてロケットで物資を運んでいる。
巨大なスペースコロニーともなれば、膨大な量の物資を必要とする。
ちゃちなスペースシャトルでは不可能姉妹なのだ。(加納姉妹にひっかけました。)

と言う訳で、地球から宇宙に最も手軽に物資を運ぶ手段として軌道エレベーターが登場する事となる。
最近のガンダムでもスペースコロニーではなく軌道エレベーターの設定になっている話が多くなったようである。

しかしながら、舞台である軌道エレベーター内の重力設定が0.5Gと言うのはいかがだろう?
物語の世界ではあるが、そこに住む人々は地上に立つことに相当な制約が出来てしまう。
プールも、せっかく地球圏に戻ったからと地上に降りようとしてえらいめにあって懲りてしまう。
国際宇宙ステーションに数ヶ月滞在した人は、ソユーズで帰って来たら担架で運ばれて、何ヶ月かのリハビリ生活が待っている。
ステーションの要員は毎日欠かさず筋トレをしているのに驚くほど骨と筋肉が衰えてしまうのだ。
なんと宇宙とは恐ろしい(名古屋ではオソギャーと言う)所であろう。

物語は地球の事象から木星へと移り、モノリスとボーマン船長の謎を解き明かす旅となり、プールとボーマンの劇的な再会が語られる。
しかし、そのうちにモノリスとこれを支配する者たちが恐ろしい計画を企んでいることが判りプールもその渦中におかれる。
そして、ボーマンが解決の為ある重大な決意をし、大団円を迎えるになる。
しかしながら、クライマックスはあの映画に似てしまったのが残念だった。
(クラークもその事をあとがきで言い訳している)

一応の解決をみたものの、モノリス達は光速の通信機能と航行手段を有している。
数百年後、他のモノリス達は異常を知り考察後行動に出ると予測される。
つまり、4001年に新たな物語が語られるのだ。

物語のあらすじはそんなものだが、人そのもののデータがひとつの記録媒体(フロッピーみたいなもの)に入ってしまうと言う考え方に強く引かれた。
それは人の不死性に関わる問題であり、人のように考えるロボットを作り上げるには、アトム型かはたまたエイトマン型かと言う論争の終着点ではないかと思ったのだ。
3001年のような記録媒体ができれば、エイトマン型は簡単に出来てしまうと思うのだが、どうであろう。
そして、その存在は不死者と同等である。
そう、4001年の主役はボーマン船長なのだ。

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