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No.432 (Web版82号)2

石ノ森章太郎作品解説

きりとばらとほしと    DER VAMPIR

 「きりとばらとほしと」は、1962年『少女クラブ』の夏の臨時増刊号に掲載された読み切り作品である。
 この作品は、永遠の時を生きる吸血鬼リリを主人公に、表題通り“きり”と“ばら”と“ほし”という3つのエピソードを紡いだオムニバス形式で構成されている。しかもそれぞれのエピソードは“過去” “現代” “未来”を舞台に描かれている。
 それぞれの冒頭には「ヘッセ」や「ダンテ」の詩の一部を引用し、ファンタジックなイメージを高め、そして“きり”では馬車の事故、“ばら”では自動車の事故、“ほし”ではロケットの事故とそれぞれの時代を象徴する乗り物の事故シーンから物語が始まるのである。
 さらに細かく言うと、第一部の “きり” は、霧のシーンで始まり、霧のシーンで終わる。しかも全編 “霧” がベースとなる場面で構成されている。第二部 “ばら” や第三部 “ほし” でも同様のシーンで構成されている。
 リリはオーストリアで普通の人間として暮らしていたが、吸血鬼ラミーカにより、吸血一族の仲間にされてしまう。こうして永遠の命を得ることになったりりは、100年もの時を生き続けていく…。
 このように「きりとばらとほしと」は吸血鬼伝説をモチーフに、いかにも石ノ森章太郎らしいリリカルでファンタジックな世界を描き出している。しかもラストでSF的な展開を使い終結されるこの作品は、当時の少女雑誌ではかなり高いレベルにあったことが想像される。
                    福田淳一

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