No.436 (Web版86号)2
SF essay(255回)
川瀬広保
もう11月になった。季節はうつろい、ついこの間、夏の暑さだと思っていたら、10月の台風一過、冬のような寒さになり、あわてて寒さ対策をしている。テレビを見ていても、これはというようなよいニュースはない。藤井聡太棋士が高校進学を決めたことがニュースになって、彼の「すべてをプラスに変えて頑張りたい」と言っているのを聞いて、若いのに素晴らしいと思った。国政選挙結果は混迷を深め、どうなることやら政治にはあまり関心はないのだが、どうしてもニュースを見てしまう。結果は自公政権の圧勝だったが、教育無償化で喜ぶ人はどれほどいるのだろう。
さて、前回書かなかったのだが、森東作さんから「SFファンジン・データベース Ver.1.7」を送っていただいた。いつも緻密な仕事をされていてこうした活動には頭が下がる。かつてあったが今はもう活動していないファングループ、そして今も活動しているファングループのすべてを把握し、まとめようとするご努力には頭がさがります。ぜひ続けていただきたいと思います。森さん、ありがとうございました。送付者一覧の中に福田さんと私の名前を見つけました。
ファンやファン活動という裾野の頂点に、優れたSF作家やプロの人々がいる。こうした活動は、目立たないところで行われているが重要であると確信している。
さて、トランプ・フィーバーともいうべきトランプ大統領の娘、イヴァンカさん来日とそれに続くトランプ大統領自身の来日のニュースを見ていると、改めてアメリカという国は、自由でフランクでフレンドリーで、理想を追求する国であるという感想を持った。外国の政治家には普段あまり興味・関心を持たないのだが、今度のトランプさんには思わず、興味を持ってしまう。英語もゆっくりしゃべり、ある程度、聞き取れるので、いいのかもしれない。
さて、安倍首相が盛んに言うことには、日本に来る外国人が2400万人になって、これからも増えるであろうということである。浜松城にいると、フランス人やインドネシア人を見かけて声をかけたり、浜松駅では、インド人やオーストラリア人、さらにはまつり会館ではロシア人のカップルにも会った。日本は安全だし(一応)、古い日本的な文化をめざしてくるらしい。だいたいは英語で意思疎通ができるが、うまく行かないときも多い。日本の「マンガ」に興味があるらしいということも少しわかった。
さて、クラークは私にとって最高のSF作家であることは間違いない。長編も短編もどちらも実にうまい。もともとクラークは最初から確立していた。だんだんうまくなるという作家ではなく、最初から成功した作家だった。人には初めから成功している人と、だんだんよくなる人と、あとでうまくいく人とに分かれると思う。
今度の日馬富士の事件を見ていると、よくわかる。政治家も見ているとよくわかる。今もテレビで中継している。こんな騒ぎになったのも、酒のせいだ。そして、
メデイアも一度火がつけば朝からどの局も徹底的に放映している。いずれにしても、暴力はいけない。
さて、いっぺんに冬のように寒くなってきた。天候と人心と政治の行方そして、時代の変化がこの世を動かす。重要人物の一言一言のツイートや言葉が瞬時に世界中をめぐってかき回す。
今の状況がしばらく前のSFそのものではないか。昔は人に何かを伝えるには、手紙だった。もっと昔は飛脚か何かでお殿様に伝えた。今は、ツイート、ライン、SNS、実況放送などですぐに世界中に伝わる。昔、読んだ宇宙科学冒険全集の一冊の中に、「光より、速いものは思考じゃよ」という科学者はなにかの言葉があった。人間は言葉によって意思を誰かに伝えようとするがなかなかうまくいかないことも多い。ところが、「思考」によって伝わることもあるようだ。以心伝心というものかもしれない。
つい先日、大火球のニュースを見た。どうやら数センチの小惑星の成れの果てらしい。ほとんど、空中で消滅してしまうが、何年か前にロシアの方で、民家すれすれで激突したことがあった。まったく何があるかわからないものだ。昔、心配性の男のSFがあったが、隕石にぶつかりはしないかと悩む男の話だったように記憶している。ほとんどゼロに近い確立だが、全くのゼロではないというところが怖い。しかし、人々はそのニュースが過ぎれば忘れていく。そして、次のニュースが次々と現れるものである。
さて、相撲界の不祥事のニュースがどこまで続くのであろうか。このところこの話題は終わることはなさそうだ。時間は「高さ」によって変わることが実際に突き止められたそうだという最新のニュースも接した。人間界の些事以外のところで、科学や宇宙が進歩したり、小惑星のかけらが今もこの地球にまた突き進んでいたりするのかもしれない。
もうすぐに12月。一年など過ぎるのは早い。相撲界などの不祥事や高齢者講習(初めてやってきた!)、もうじき古希の年齢が目前に迫っていると思うと(簡単な式がもうあった!)もっと夢のあるSFを読んでいた方がいいように思う。夢のないディストピア小説のような未来社会が現出するか、もっと明るい希望にあふれた未来になるかは、やはり心の時代である人々の心に由来するのであろう。
今月はSFエッセイらしからぬ内容になってしまいました。ごめんなさい。
(2017・11・25)
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