No.444 (Web版94号)1
『宇宙戦艦ヤマト2202』について
中村達彦
好評を博した「宇宙戦艦ヤマト2199」の続編にあたる「宇宙戦艦ヤマト2202」が現在映画館で上映並びにDVD化されているが、秋にはTVで放送されるらしい。
2クール26話予定だが、随時、映画館で上映され、5月下旬までに18話まで完成している。
その展開は、40年前に創られ当時大ヒットしたアニメ映画「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」とそのTV版「宇宙戦艦ヤマト2」をベースにしている。
旧作同様、宇宙に侵略をすすめる白色彗星帝国に、イスカンダルとの航海を成功させた宇宙戦艦ヤマトが対抗する。
「宇宙戦艦ヤマト2199」は一種の宇宙冒険ものだが、続編で3年後を描いた「宇宙戦艦ヤマト2202」は宇宙戦記の色合いが強い。
かつて、イスカンダルから提供されたコスモリバースの超技術により地球は復興したが、その副作用で地球の各地に時間の流れが通常と異なる時間断層が発生し、その結果、地球艦隊の再建やかつての敵ガミラスとの外交関係が異なってくる。第1話から地球は白色彗星帝国の存在を知り、ガミラスと共同戦線であたっている。古代進ら旧ヤマト乗組員は白色彗星帝国との戦闘中に感じた不思議な体験から、再び宇宙戦艦ヤマトに乗る。
目指すは、かつて大宇宙文明の名残であるテレサの住むテレザート星。
また敵である、白色彗星帝国の正体や目的についても、新たに描かれて行く。
前作「宇宙戦艦ヤマト2199」が37年前の「宇宙戦艦ヤマト」の設定を今風に忠実にシミレーションして一定のリアリズムを持たせている(監督や脚本、デザインで参加した出渕裕の力が大きい)のに対して、「宇宙戦艦ヤマト2202」は白色彗星帝国との戦いを観ていると、リアリズムに欠けており、矛盾だらけとの声がある。「宇宙戦艦ヤマト2199」とは、違った作品カラーになっている。
もっとも「2202」も40年前に創られたストーリー・設定が元である。一応、ヒットしているが、他にも人気のアニメ作品は多々あり、時代も違うため、昔ほどの人気は得られていない。
制作はXEBEC(ジーベック)となっているが、主要スタッフは、監督が出渕裕から羽原信義に交代しているほか、出渕に声をかけられて「2199」に参加したアニメーターも多くが参加を見合わせている。シリーズ構成も福井晴敏に交代しており、副監督及びデザインを小林誠が担当している。特に福井は「ローレライ」などの作品で知られ、「機動戦士ガンダムUC」の原作でも知られる。「宇宙戦艦ヤマト2202」の後、「ガンダムUC」の続編にタッチするらしい。
第18話までに、テレザート星でヤマトは白色彗星帝国や仇敵デスラー総統との再戦があり、土星で白色彗星帝国と地球の激しい戦いが発生する。戦場に到着したヤマトは敵の策略にはまってしまう。
新戦艦「銀河」とは?
果たして「宇宙戦艦ヤマト2202」はどのような結末を迎えるのであろうか?
そしてスタッフに聞いてみたい。「宇宙戦艦ヤマト2202」の後もヤマトの続編を作るのであろうか?
SF作家としても知られ、かつて虫プロ初期のアニメ作品のシナリオも手がけた豊田有恒は、「宇宙戦艦ヤマト」でブレーンを務めた。昨年、当時のことを書いた『「宇宙戦艦ヤマト」の真実』と言う本を出している。
SF作家としても知られ、かつて虫プロ初期のアニメ作品のシナリオも手がけた豊田有恒は、「宇宙戦艦ヤマト」でブレーンを務めた。昨年、当時のことを書いた『「宇宙戦艦ヤマト」の真実』と言う本を出している。
豊田氏は、ヤマトプロデューサー西崎義展に、虫プロの縁から、最初の「宇宙戦艦ヤマト」の企画から以後続編諸作まで様々なSF設定のアイデアを提供した。
「宇宙戦
艦ヤマト」の最初の設定は、豊田氏の案によるもので、「西遊記」をヒントにしたものである。宇宙人の侵略で地球が滅亡寸前のところを善意ある宇宙人の助けがもたらされるというものである。
だが豊田氏は、きちんとした形で、ヤマトの成功後に西崎プロデューサーから報いられたとは言い難い。
それは、原作者で諸設定に携わった松本零士らも同様である。松本氏と西崎プロデューサーとの不仲はヤマトがヒットしていたころから知られていた。ヤマトをめぐる著作権の裁判は有名である。
豊田氏は、西崎プロデューサーの功績を認めるも、松本零士らの肩を持ち、『「宇宙戦艦ヤマト」の真実』には、ヤマトにSF設定で関わった経緯とその顛末が記されている。
一ファンにすぎない個人がこの著作権問題に口を挟んだり、死者にムチ打つことは慎むべきであろう。
しかし断言したい。西崎プロデューサーがヤマトを作らなければ、そして成功後にちゃんとクリエーターに還元していれば、途中でスタッフが離脱することもなく、彼らにより「ガンダム」や「マクロス」は生まれていなかっただろう。
本人が望んだか定かではないが……。結果的には、日本のアニメ文化興隆の一端を担っている。
出渕裕は、続編からメカデザインで参加したが豊田・松本の両氏にお世話になった。
ちなみに「宇宙戦艦ヤマト2199」は、当初の予定では、「宇宙戦艦ヤマト復活編」「SPACE BATLESHIP YAMATO」と同時に公開する予定であった。
ちなみに「宇宙戦艦ヤマト2199」は、当初の予定では、「宇宙戦艦ヤマト復活編」「SPACE BATLESHIP YAMATO」と同時に公開する予定であった。
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