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No.458(Web版108号)1

 SF essay(277回)

 川瀬広保

 好きなSF作家はだれかと聞かれたら、アーサー・C・クラークであることには間違いないのだが、ベストファイブを聞かれたら、その中にフレデリック・ブラウンが入ることは私にとって間違いない。ブラウンの名前を忘れていたようだが、ごく最近、東京創元社から彼のSF短編全集が発売されると知って、私は飛びついた。
 昔、初めてのブラウンの「ミミズ天使」を読んだとき(原題は The Angelic Angleworm)
こんな話があったのかとすぐに彼のファンになった。これで、私はミミズの英語を覚えた。
「73光年の妖怪」も好きだ。シリアスな作品の代表としては、「天の光はすべて星」などその傑作だ。
 さて、いつもの書店に電話をしたら、在庫がないので、入ったら連絡すると言う。思ったより、早く電話が来たので、早速取りに行った。そこで知ったのは、来年から再来年にかけて第四集まで出版されるということだった。フレドリック・ブラウンSF短編全集1「星ねずみ」から「すべてよきベムたち」「最後の火星人」「最初のタイムマシン」の4冊、全111編である。後記で鏡明もブラウンを讃えている。このブラウンの全集はお勧めである。
 昔、私はブラウンはすべて買った。ミステリは買わなかったけれど、その奇妙でオチの巧妙なストーリーに、いっぺんにファンになった。ブラウンとの最初の出会いはどの作品だったろう。今となっては思い出せない。これから、楽しみが増えることになる。
 これだけファンの多いブラウンの本もいまや絶版になっていて、手に入らない。そんな中で、この全集の出版はうれしい。ブラウンについてはまた、書きたいと思う。それだけ思い入れがあるということだろう。優れたSF作家、優れたSF作品は忘れられてはならない。
 さて、もう10月だ。これを書いているのは9月16日だが、まだ気温が35度もある。暑さ寒さも彼岸までという言葉があるが、あと一週間で涼しくなるのであろうか。気候がおかしいとは昔から言われていることだが、今年は特にそれを感じる。暑くても寒くても、よいSFを忘れないようにしたいものだ。
                   (2019・9・16)









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