No.460(Web版110号)3
ルーナティック32号 アニメ特集について 3
秋に公開された劇場アニメ「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」が話題になっています。
同じく秋に公開されたDCコミックス原作の映画「JOKER」(バットマンの敵役、ジョーカーがいかにして生まれたかが描かれている映画)と比較されて、「パステルカラーのJOKER」などと揶揄され、それを否定する人と、論争にもなっています。
「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」は、北から逃げてきた人見知りで寒がりの「しろくま」、自分がペンギンなのかどうか自信が無く、昔は頭に皿が乗っていたような気がしている緑色の「ぺんぎん?」、肉部分が1%、脂肪部分が99%と非常に油っぽいため食べ残されてしまったとんかつを切った際の一番端の部分の「とんかつ」、気が弱く恥ずかしがり屋な、謙虚な性格の「ねこ」、実は恐竜の生き残りで捕まってしまうのを避けるためトカゲの振りをしている「とかげ」の5人が繰り広げるドラマです。
「たれぱんだ」や「リラックマ」などのキャラクターを有している会社が、自社のキャラクターを使った子供向け映画です。
ところが子供向け映画のはずが、話題を呼び、大人も劇場に足を運んで、この秋の邦画興行収益でトップにランキングされています。
5人はその生い立ちから世の中のメインストリートは苦手なマイノリティーとして常に端っこ、隅っこに居たがるキャラクターです。すみっコで肩寄せ合って生きているのですが、それが心地良いと思っています。
そんな彼らがいつもの喫茶店にやってきて店の隅っこのソファーに座るのですが、そこで不思議なことが起こります。
ただの可愛い絵柄の子ども向けアニメだと思って観にきた親子連れの観客が、号泣して劇場から出てきます。
一体何があったのでしょう?
なぜ残酷描写もあり、悲惨な人間の運命を描く「JOKER」に例えて「パステルカラーのJOKER」などと不穏当な呼ばれかたをされたのでしょう?「JOKER」では狂気が主人公を追い詰めて行きますが、この映画では何が登場人物を追い詰めていくのでしょう?
「パステルカラーのJOKER」という表現を否定する人は、もっとシンプルでほのぼのとした映画であり、チョット悲しい部分もあるだけ、などと理由を言っていますが、なぜそう思うのでしょうか?
その映画で描かれる「マイノリティーの悲劇」とは何でしょう?そして「マイノリティー」とは?
子ども向け映画で観る人によって反応がこれだけ分かれる映画も珍しいかもしれません。
来年も、SF関連の話題作が目白押しで、楽しみです。
特集以外の創作、評論、翻訳等の原稿も広く募集しております。
長い原稿を予定されている方は、事前に内容やおおよその分量を、PM編集部に連絡していただけるとありがたいです。 締め切りは来年の春、3月末くらいを考えています。来年の夏あたりの発行を目標にしています。 原稿サイズはB5です。原稿の宛先はPM編集部かメールで
cbf06066.cap.y@nifty.com まで。(ルーナティック32号編集部)
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