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No.463(Web版113号)2

 SF essay(282回)

 川瀬広保

 もう3月だ。今年の冬は寒いのか、暖かいのかよくわからない。臨時講師も今月いっぱいだ。臨時の立場は非常に低い。いいように使われるだけだけだということがよくわかった。生徒はごく一部を除き、非常に素直で従順だ。毎朝、5時に起き、まだ暗いうちに出勤する。10年以上前までは、毎日出勤していたが、もう体が若い時のようには動かない。あれこれ不調だ。最初の6ヶ月、しっかり勤務すれば、また6ヶ月任用されるという仕組みでこの3月が終われば、終わりである。
 教員になろうという若い人が減っているのだそうだ。子どもの数は減っていて、必要があれば、高齢者にも非常勤などで声がかかるのかもしれないが、まあないでしょう。年金は増えることは絶対ないと言っていい。

 さて、ブラウン全集の第二冊目が出た。この前も書いたが、好きなSFはと問われれば、私の場合、クラーク、アシモフ、ハインラインの御三家の他に、ディック、そしてブラウンとなる。この第二集の目次をここにうつしてみる。

「不まじめな星」「ユーディの原理」「闘技場」「ウェイヴァリー」
「やさしい殺人講座全十回」「夜空は大混乱」「狂った惑星プラセット」「ノックの音が」
「すべての善きベムが」「ねずみ」「さあ、気ちがいになりなさい」「一九九九年の危機」
「不死鳥への手紙」「報復の艦隊」「最終列車」

 解説で大森望が述べているように、ブラウンと言えば、「ミミズ天使」だ。私も、この作家の奇抜なアイディアにいっぺんに夢中になった一人だ。「おしまい」というショートショートもすごく印象に残っている。このブラウン全集はまだ次の三巻へと続く。期待して待ちたい。

 さて、猫の名前に多いのがピートだそうだ。ハインラインの傑作「夏への扉」には正式名護民官ペトロニウス、通称ピートという雄猫が登場するが、このSFの第二の主人公と言ってもいい。私はこのピートの名前を借りて、10年くらい前から家猫として「ピーちゃん」を飼った。ところが、つい先だって突然死してしまった。今、ペットロス状態にある。この「夏への扉」の献辞で、aelurophileという用語を覚えた。〈猫溺愛症〉という意味である。私もこの症状にかかっていて、久しい。
 丁寧に供養していこうと思っている。漱石の猫も甕に落ちて死んだのだ。創作か本当にあったのか知らないが、自分を慰めている。人間は犬や猫を飼っているのではなくて、飼われているのだ。つくづくそう思う。

 心に残っているSFとしてクラークの「太陽系最後の日」があるが、この作品のクラークのオプティミズムがいい。よいSFは考えさせ、人類を反省させたり、プラス思考で前へ進ませたりするものであろう。

 最近のコロナウイルスの恐怖で思い出すのは、小松左京の「復活の日」である。もうウイルスが蔓延していると考えたほうがいいらしい。恐ろしい時代だ。あまり不安にならずオプティミスティックに考えた方がいいかもしれない。

 さて、今月は話や仕事の愚痴や、にゃんにゃんデーにもかかわらず、暗かったので、来月は明るくいきたいものだと思っている。
                    (2020・2・22)

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