No.469(Web版119号)3
エイトマンと二人
加藤弘一
今日は家の奥さんの入院日である。待ち番号は8。(オオ!エイトマン)と心で叫んでしまった。
作画の桑田二郎氏が亡くなった。原作の平井和正氏は2015年に鬼籍に入っているので、二人のオリジナルのエイトマンが出ることはなくなった。
人の操縦する鉄人28号、人の作りしロボットアトム、そして人の記憶と個性を移植されたサイボーグ型のロボットエイトマンとあの時代三つのロボットアニメが放映されていた。そのなかでも後発のエイトマンは殆ど原作ストックもないまま製作が始まった為、原作者平井和正氏がスタッフに名を連ね、氏が後に作家になる豊田、半村氏らを仲間に引き入れた。このため、子供向けよりもちょっぴり重厚なストーリーが展開する事となった。
8マンは少年マガジン編集部で新しいロボット物を作ろうと言うことで原作者と作画家を別々に募集した企画であった。
「デザインされた8マンはどれもウルトラマンのようなボテボテしたものばかりだったが、桑田二郎の8マンは秀逸のものだった。」と、後に平井氏が言っている。
(ウルトラマンがボテボテしたデザインというのは疑問も感じるが)
こうして漫画のタイトルは8マン。アニメはエイトマンとなり、先発のアトム、鉄人を凌ぐ人気を得て順調に行くと思われた。
当時、アニメを見ていた自分はなぜエイトマンの手足が分離して活躍しないのか不思議に思っていた。後年、手足が分離するのはキングロボと言う桑田二郎のオリジナル作品であることが判った。一応、差別化はされているが主人公の本郷一郎は東八郎にそっくりだし、さち子さんのポジションにミチコさんがいたりしてなんか同じキャラクターが別の物語をやっているようだが、当時の読者達は自分のように思わなかったのだろうか。
エイトマンはアニメもコミックもクライマックスの時とんでもないことが起きてしまう。
作画家の桑田二郎が拳銃不法所持で逮捕されてしまったのだ。
コズマ編の最終回は桑田氏不在の中、アシスタントにより作画された作品が雑誌に掲載され、これに怒った平井氏により単行本化は封印されてしまった。
こんな事件があったなら普通コンビは解消してしまうものだが、その後も超犬リープ、エリート(編集者の都合でバットマン日本版で中断させられるが、バットマン終了後第二部を製作)、デスハンターと二人の製作は続いた。
そして、1990年リム出版より8マンの完全版にコズマ編の最終回桑田二郎による作画作品が描き足され物語は完結した。
8マンのロボットテクノロジーは実は古代文明の産物で、コズマ編の後はそれをテーマに物語が展開される予定だったらしい。
あの世で、二人はあの世マガジンに続きを連載しているかもしれませんね。
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