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No.475(Web版125号)2

 コロナ禍下点描(給付金への課税)

 中井 良景

 昨年七月に十万円の特別定額給付金を受け取った。辞退者もいたようだが、全国民に配ったのだから十三兆円の税金が遣われたことになる。遠くない将来、増税となって十万円を納付することになるのは間違いない。
 年金生活者の私は特別定額給付金だけだが、世間では様々な給付金が受領されている。対象者や条件が複雑で、受給するのにかなり手間と時間が掛かるということも報道されている。コロナ関連予算は、民間が使うものまで全て含めると七十三兆円を超える。これらも合わせると、とても十万円どころではなく、増税によりその数倍の納税を迫られるのは自明だ。
 ところで先日、定期購読している雑誌で給付金の一覧とその課税・非課税の解説を見つけた。如何に給付金と言えども、受け取ったおカネに税金がかかるケースがあるのは、冷静に考えれば当たり前だ。

  名称   対象者(概要) 所得税
特別定額給付金 すべての国民 非課税
持続化給付金 売上が減少した事業者 課税
東京都の感染拡大防止協力金 東京都からの休業要請等に協力した事業者 課税
家賃支援給付金 売上が減少した事業者 課税
学生支援緊急給付金 アルバイト収入が減少した大学生等 非課税
感染症対応休業支援金・給付金 休業期間中の賃金支給のない労働者 非課税
雇用調整助成金 休業手当等を支給し雇用を維持した事業主 課税
小学校休業等対応支援金

休校に伴い子どもの世話で就業できなかった、
個人で仕事をする保護者

課税

     (Journal of Financial Planning 2020.10.より)
 非課税扱いとなるのは、特別定額給付金、学生支援緊急給付金、感染症対応休業支援金・給付金だけで、あとは全て所得税の課税対象だ。とはいえわが国では、基本はあくまでも収入全てへの課税だ。給付金や支援金という名称でも、税務署はその企業や労働者の収入と見做すのだ。今回非課税扱いになったものは特別措置法でそうなったに過ぎない。理不尽に思うのは私だけだろうか。
 諸外国に比べて、わが国の政府の動きが鈍いことはこの一年で一層はっきりしたが、法律を変えるのは大変なのだろう。それにしても、抜本的な対策や真に役立つ政策を打ち出せない官僚も国家公務員もたいしたことはない。これも官僚機構の目詰まりのせいだろうか。

 二◯二一年三月

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