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No.479(Web版129号)2

 誕生50年新作相次ぐ仮面ライダー

 中村達彦

 藤子・F・不二雄の「ドラえもん」初期のエピソードに、のび太たちが読んでいたマンガで、正義の味方ライオン仮面がピンチになり、弟のおしし仮面が駆けつけるもピンチに、更におかめ仮面がと言う展開がある。
 これは当時の変身ヒーローブームで、ウルトラマンや仮面ライダーなどで、主人公がピンチになった時、先の兄ヒーローが助けに現れる流れがパターン化しており、それを皮肉ったものらしい。
 また「オバケのQ太郎」のアニメ第2弾「新オバケのQ太郎」は72年に放送されるが、ブルトラマンとカメ仮面と言う劇中ヒーローが対決する話がある。
 ウルトラマンや仮面ライダーは子供の人気は現代まで50年を超えている。
 1970年に東映で「仮面ライダー」が企画され、石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)にキャラクターやストーリーが発注された。
 当初は「逃亡者」のようなストーリーが考えられ、グロテスクでリアルな作品作りを目指し、当初、悪の組織に改造された主人公で、髑髏をモチーフにしたヒーローで進められたが、東映重役陣が髑髏を敬遠したため、ならばとバッタから新デザインを作った。
 石ノ森は当時問題になっていた公害や核兵器と言った科学とそれに対抗する自然の力を暗に取り入れ、組織ショッカーや改造された主人公が変身する設定を肉づけする。
「仮面ライダー」は1971年4月から放送開始した。
 当初は視聴率が芳しくなく、最初、「仮面ライダー」の怪人を見た私は、「怖いなあ」と思い、当初ははまらなかった。
 更に放送が1クールになる前に、主人公本郷猛を演じる藤岡弘がバイクアクション中に負傷するアクシデントが発生する。
 この時、「仮面ライダー」は打ち切り終了となっても仕方なかったが、スタッフは、脚本で仮面ライダーは急きょヨーロッパへ行ったことにして、2号を登場させることとし藤岡に変わって、佐々木剛が主演することになり(藤岡を殺そうと言う案も出たが、プロデューサーが反対して却下された)、ホラー色強かった脚本を、アクション重視の幼児にもなじみやすいものに一新した。
 変身や格闘技を重視し、単純明快にしたストーリーは、設定考証で「?」の部分が多く、他に違う回で脚本を再利用し同じストーリーをまたやる、ギャラが安いなどの問題もあったが、回を重ねるごとに視聴率が上がっていき、72年1月ダブルライダーの活躍は30%を超えている。
 キャラクター商品が売れ、変身ヒーロー専門の雑誌も出るようになり、社会現象になったと言っても良い。
 私も途中からそのカッコいいアクションが好きになった。
「仮面ライダー」は子供の人気番組、変身ヒーローの代表作として認知され、放送は延長。続編が作られ75年12月まで放送された。
 東映は「変身忍者嵐」「人造人間キカイダー」「ロボット刑事」など同じ石ノ森の作品を、次々に放送して、同じように人気を博し、70年代一世を風靡した。
 長い放送で飽きられ一時人気は落ちるが、「仮面ライダー」は80年代になってからも、新しいTVシリーズが作られている。
 石ノ森は、TVとは別に自分がキャラクターを手がけた作品のマンガを描き、そちらの『仮面ライダー』は71年末にTVとは独自の展開結末を迎えた。
 ラストはショッカーの日本人洗脳計画をダブルライダーが叩き潰すが、その洗脳計画は元々日本政府のもので、ゲストの少年が原爆症で死んでしまい、本当の正義はどこにと言う歯切れの悪いラストだ。
 87年には、『仮面ライダーBLACK』がTVで放送され、マンガも連載されたが、TVとは違った展開に、暗い結末となった。同年、とんねるずが『みなさんのおかげです』で仮面ノリダーというパロディをやったが、石ノ森はそれだけ仮面ライダーに人気があるのだと、容認している。
 その後『仮面ライダー』はビデオで新作が作られ、98年に石ノ森が逝去した後、再びTVで新作を放送しようという機運が高まり、2000年に『仮面ライダークウガ』が放送された。
 ストーリーは、当時のガメラやウルトラマンのように遺跡から新しい仮面ライダーが誕生、人々を殺害する怪人に立ち向かう内容で、またシミュレーションのリアルな作風でも注目され、1年にわたって放送された。
 21世紀になってから登場した仮面ライダーシリーズは21年に及び、現在『仮面ライダーセイバー』が放送中だ。
 撮影にはCGなどの特撮技術が取り入れられ、ストーリーフォーマット、毎年チェンジされ、昭和の変身やバイクや格闘技を重視した作風とは全く違う。パラレルワールドやタイムスリップ、機械生命体などのSFを取り入れた設定を構築した。
 どの作品も、仮面ライダーが3人も登場し共闘。ある話では10人も登場し、それぞれの正義のため戦うことも。
 コミックやスピンオフ、映画も作られ、ライダー出演俳優たちも大きな映画やTVドラマで主演するなど注目されている。
 なお、昭和の『仮面ライダー』は古くから東映作品を手がけた伊上勝が多くの脚本を書いたが、平成には息子の井上敏樹がシリーズ構成を含め多くを執筆した。
 今年、『仮面ライダー』は50周年を迎えたが、庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』をはじめ、複数の新作プロジェクトが進行中、注目される。

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