No.485(Web版135号)1
My BESTS 2021
中嶋 康年
1「エターナルズ」クロエ・ジャオ監督(映画)
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)系列の現時点での最新作。これでMCUはまた違う方向に広がり始めた。このPMが出るころには「スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム」が公開されていることと思うが、マルチバースがテーマになるようなので、またまた違う方向に広がりそうだ。
2「テスカトリポカ」佐藤 究
直木賞・山本周五郎賞受賞作品。私は賞を取ったからといって読むことはないのだが、まだ賞を取る前、題名がアステカの神の名前なので「守備範囲」だなと思って読んだ作品。圧倒的な闇を描いているので「全部読み通せなかった」という人もいると聞く。
3「デューン 砂の惑星」ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(映画)
続編が制作されることに決まったようなので、まずはめでたい。「アクアマン」のジェイソン・モモアもよかったが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のドラックス、デビッド・バウティスタもいい味を出していた。リンチ版でスティングが演じたフェイドがまだ出てないので、これが誰になるかだな。
4「この砂漠の片隅に」(パワードスーツSF傑作選)
副題の通り、パワードスーツをテーマにした短編集だが、テーマの性質上「AI」が密接にかかわってくるので、人工知能関連の話が多くなるのは仕方がない。「ケリー盗賊団の最期」「外傷ポッド」「ドン・キホーテ」が良かった。
5「ファルコン&ウィンターソルジャー」ディズニー・プラス
「アベンジャーズ・エンドゲーム」の後、5年にわたり消失していた全人口の半数の人々が戻ってきたとき、世界はどう反応したかという「フェーズ4」と呼ばれるMCUに属する全6回のドラマシリーズ。戻ってきた人たちだけが優遇されることに反発するテロ組織の発生、引退したキャプテンアメリカを引き継いだ人間が陥る闇などテーマは深い。
6「三体III」劉慈欣
ベストセラーとなった「三体」シリーズの完結作。期せずして昨年と同じ第6位となったが、本作は時空のスケールが大きく広がった。ここまであっちこっちに振り回しながらうまくまとめたのは圧巻である。しかし、広がりすぎちゃった感があり、小説としての面白さは「Ⅱ」のほうが上という人も多い。
7「笊ノ目万兵衛門外へ」山田風太郎
大名からあつい信頼を得ながらも様々な事件の中で想像を絶する程の不条理に出逢い、非業な最後を遂げる同心を描いた表題作を始めとする5編の短編集。河出文庫解説の縄田一男氏は「もし、山田風太郎の短編の中から一編を選べ、といわれたら、私は坂下門外の変秘聞ともいうべきこの一編を推す」と書いている。
8「ワンダヴィジョン」ディズニー・プラス
またまたMCU「フェーズ4」に属する全9回のドラマシリーズ。面白いのは最初はMCUと全く関係がないような「奥様は魔女」風の30分の白黒のシットコムで始まるのだが、だんだんと部分的に色がついてきてMCUパートが侵食して来るにつれてドラマの1回の時間も伸びてきて、最終回では51分の番組となる。基礎知識が必要となるので、一見さんはお断りかも。
9「アーケイン」NETFLIX
ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」のネットフリックス・オリジナルアニメ化作品らしいのだが、ゲームの方は全く知らなかった。すごいのはアニメの表現方法。筆で描いたような絵画調の絵がグリグリと動くのである。「Love,Death & Robots」であらゆるアニメの手法が表現されたかと思ったが、それとはまた違う全く新しいアニメだ。
10「花嫁殺し」カルメン・モラ
スペインで2018年にベストセラーとなった「La novia gitana」の全訳である。シリーズ3作の1作目なのだが、原作は白地にいっぱいにそれぞれ「✖️」「◯」「◇」という装丁で非常に目を引く。それ以上に大きな話題となったのは「マドリードの女性作家」とだけわかっている覆面作家という触れ込みだったのだが、2021年プラネタ賞授賞式のステージに上がったのは3人の男性脚本家だったこと。「カルメン・モラ」とは3人の共作ペンネームだったのだ。
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その他、印象に残った作品(順不同)
機龍警察 白骨街道、時の子供たち、播磨国妖奇譚、元彼の遺言状、ドラキュラ戦記、ドラキュラのチャチャチャ、時のきざはし、函底のエルピス7、機巧のイヴ・帝都浪漫篇、ネットワーク・エフェクト、機忍兵零牙、猛き箱舟、赤い魚の主婦、室町御伽草子(以上、書籍)
クイーンズ・ギャンビット、ゴジラ・シンギュラポイント、ホームランド、不滅のあなたへ、サニーボーイ、Vivy、StarTrek:LowerDecks、ホワット・イフ?、シン・エヴァンゲリオン、ブラック・ウィドウ(以上映像作品)
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