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No.487(Web版137号)1

 超自然現象が多かった昭和時代

 中村達彦

 2月1日に政治家で作家の石原慎太郎が亡くなった。東京都知事を務め、功罪様々な政策を行い、「太陽の季節」「NOと言える日本」「弟」などの話題作を多く生み出した。
 石原は、1955年に日本空飛ぶ円盤研究会に入会(会には、三島由紀夫、星新一、柴野拓実らも参加)。SFにも縁があった。また議員時代に、ネス湖にネッシー捜索の探検隊を送り込み、話題になっている。
 東京都知事を石原の前に勤めたのは、「意地悪ばあさん」の青島幸男。
 余談だが、著者の長谷川町子はネス湖を訪れたことがあるが、そのひっそりとした佇まいに、日本だったらネス湖もなかなどお土産を売る店が並び、湖にはネッシー型の遊覧船が浮かび騒々しいのにと思ったと、著作「サザエさんうちあけ話」で述べている。
「サザエさんうちあけ話」は、朝の連続テレビ小説「マー姉ちゃん」の原作となり、最近、BSプレミアムで「マー姉ちゃん」は再放送された。現在、朝の連続テレビ小説は「カムカムエブリバディ」を4月8日まで放送する。
「かムカムエブリバディ」は、3代にわたる女性の物語で、あんこや時代劇が、物語を繋ぐ重要なカギとなる。それぞれの時代にヒットしたものや流行歌が登場している。
 3代目の主人公は昭和40年に生まれ、少女時代からのエピソードが語られるが、TVで「ノストラダムスの大予言」を知り、人類は滅んでしまうと信じてしまう。
 1992年、大人になってからも、予言を覚えており、周囲にもあと7年で世界は滅ぶと本気で言っている。
 その姿は現在では失笑してしまうが、「ノストラダムスの大予言」について、沢山の人が世紀末に大異変が起きると信じていた。
「ノストラダムスの大予言」を発表したのは、五島勉。ルポライターとして活動し、ポルノ関係の執筆もやっていた氏は、1973年に「ノストラダムスの大予言」を発表、大ヒットとなり、以後も長く大予言関連の本を出す。
 なお五島は、「ノストラダムスの大予言」の大ヒット後、「超兵器戦争」「悪魔の軍団」「カバラの呪い」と言ったSF小説を書いている。内容はポルノの描写が多いが、読んでいて次第に引き込ませるものがあった。
 当時、「日本沈没」が反響を呼んでいたが、空飛ぶ円盤UFOや心霊現象、超能力のブームが起き、オカルトブームへ繋がり、新興宗教が生まれるが、終末論を唱え、人々が入信し、無視できない影響力を持つように、遂には反社会的運動を起こす。
 その前にアメリカでも、空飛ぶ円盤や宇宙人と出会い、地球外への星へ案内される内容のSFで書かれたフィクションがノンフィクションで発表されたり、次々にカルト教団が生まれ、多くの人が巻き込まれている。
 時代は70年代から80年代へ移るが、オカルトブームは続く。
 予言はノストラダムス以外にも、世紀末に大きな異変が起こる内容で多く現われた。
 当時、米ソ対立の冷戦で、核戦争により人類が滅亡してもおかしくない背景があり、予言を信じてしまう土台があった。
 更にUFOは40年代後半にアメリカのロズウエルに墜落、異星人とアメリカ政府は密かに交流しているとか、ナチスドイツは戦争中にUFOを開発し、密かに南極に基地を建設していると言った話が、ノンフィクションとしてTVや書籍で発表され、私を含む多くの人が信じてしまった。
「かムカムエブリバディ」の「ノストラダムスの大予言」に翻弄される様子を笑えない。
 超常現象やオカルトがTVや出版にノンフィクションとして受け入れられ、アニメやSFとも絡んだ。逆に小説やマンガ、映像作品で、そっくり取り入れたものもある。
 海外でフィクションとして作られたが、日本に入ってきた時、TV局に操作されノンフィクションで公開された。ある番組はイギリスで作られた時、4月1日と銘打たれていたが、日本ではその部分が削られた。
 だが超常現象や予言をしっかり調べて、嘘か真か見極める者もいた。
 世紀末が近づいた1997年、作家の山本弘やと学会が出した「トンデモ超常現象99の真相」は世の中を騒がしたUFOやネッシー、大予言などを取り上げ、実は…、と知られていない真相について語っている。
 山本やと学会は、他にも予言やUFOについて幾つも本を出したが(山本は「神は沈黙せず」と言う超常現象や予言を扱った小説も書いている)、ユーモアも交え、笑ってしまう文章ながら、普及しつつあったインターネットを使って、海外の記録や隠された事情まで細かく丁寧に調査し、隠ぺいや改ざんしてきたマスコミについても明かした。
「トンデモ超常現象99の真相」などを読んで「なあんだ」と今まで真実と思っていた超常現象や予言が実はほとんどでっち上げであったことを知らされた人もいるだろう。
 そして1999年、「ノストラダムスの大予言」は見事に外れた。私もその頃、深夜に仲間と集まってお祝いしたものだ。
 数年後、失踪した人を超能力者が捜索する番組が創られたが、全然参考にならなかった。
 現在、超常現象を扱った番組や書籍は昔ほどではないが細々と続いている。インチキやフェイクを暴くものもある。予言も次々と外れ、9・11テロも東日本大震災もロシアのウクライナ侵攻も予言できなかった。
 だが、超常現象は完全に否定できないのだ。
 オカピやイリオモテヤマネコ、シーラカンスなど20世紀に入ってから存在が確認された生物もいるし、昨年、アメリカは、軍が目撃したUFOのうち143件が正体不明としている。まだわからないことは多い。

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