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2022年9月

No.492(Web版142号)3

 SFが多いNHKドラマ

 中村達彦

 朝の連続テレビドラマも大河ドラマも60年近く続いてきたが、今一つ不調だ。昔は高視聴率であったのに(大河ドラマの方はもっと視聴率があっても良いような)。
 同じNHKの月〜木までの午後10時45分から15分放送されている夜ドラや土曜午後10時から50分放送される土曜ドラマは、SF作品が多い。面白く話題になっている。
 夜ドラ「カナカナ」は5〜6月まで放送された。「今日から俺は」でヒットを飛ばした西森博之のマンガをドラマ化した作品だ。
 人の心を読む能力を持つ幼女佳奈花が、その能力を利用して金儲けを目論む叔父に捕われそうになる。
 孤児の佳奈花は、ヤンキーの青年マサに助けを求める。
 外見は怖く、喧嘩にめっぽう強いが、心は優しいマサは、佳奈花の能力を知らないまま(叔父以外、佳奈花の力を知らない)彼女を受け入れ、疑似親子の生活が始まる。
 マサを演じるは千葉真一の息子眞栄田郷敦。佳奈花は子役で注目されている加藤柚凪。
 海岸町で居酒屋を営むマサには、その人柄に惹かれていろんな人が集まる。皆が、佳奈花に親切にしてくれる。
 だが叔父は佳奈花を諦めていない。マサに恨みを持つ警察署長も絡み、騒動が続く。
 自分の力や孤独な境遇に悩む佳奈花と、ボケを見せながら一生懸命父親になろうと頑張るマサ、他の登場人物たちが織り成す芝居はほっこりさせられる。
 土曜ドラマで5月に放送された「17才の帝国」は、よりSFぽい作品だった。
 近未来、経済的にも国際社会的にも斜陽化の進んだ日本。政府は人材育成のため、政治AIと共に若者に地方都市を統治させるプロジェクト・ウーアを立ち上げ、地方都市青波が候補地に選ばれる。
 政治AIに総理大臣で選ばれたのは、高校生の真木亜蘭。彼は他に選出された閣僚や官房長官と協力して、青波市の人々の幸福を上げようと努める。 
 真木と政治サロンで知り合い、彼の補佐官に抜擢された茶川サチがヒロインに。最初真木を応援するが、やがて彼の秘密を知り、立ち位置が変わっていく。
 高校生ながら青波市の長となった真木。反対する者と対しながら、次々に新政策を実施。
 プロジェクトを推進しつつ冷ややかに見守る日本国首相。かつて不正事件があり、それが真木の秘密と関わっている。
 市民の声を分析、算出された支持率などを真木に伝える政治AIソロン(真木を総理大臣で選んだ)の報告を見て、政策を決めていく真木や閣僚たち。
 真木役は神尾楓珠、サチは山田杏奈、他に星野源、染谷将太、柄本明らが出演している。ソロンの声は緒方恵美、ソロンを構成するのは3つの量子コンピューターで(どこかで聞いたことがあるような……)、山中にある3つの塔に据え付けられている。 
 真木は、閣僚たちからも、市民からも支持されていくが。彼の秘密が動き出し、それを知ったサチは、意外な方向へ動いていく。
 ドラマ舞台も、音楽も工夫され、SFらしさが出ている。
 脚本は近年話題のアニメ作品を複数手がけている吉田玲子。プロデューサーなど民放のスタッフが名を連ねた。
 もっともドラマ放送直後に、現実の日本で、元首相が白昼銃撃されて亡くなる事件が起き、更にその余波が長く尾を引くなど予想もしなかっただろう。
「17才の帝国」の次に放送された土曜ドラマ「空白を満たしなさい」は、死んだ人間が次々に蘇る復生者が相次ぐ世界のドラマ。
 3年前に死んだ土屋徹生は復生者として蘇る。当惑する妻子や会社の人々。
 徹生は自分の死んだ時のことを覚えていない。自殺なのか他殺なのか、調べていくうちに自分に付きまとい、挑発していた警備員佐伯を知る。
 世間は復生者について、冷たい視線を向け、保険や再就職でも制約が見える。復生者を拒む運動さえも。
 やがて状況は大きく変化する。
 原作は芥川賞作家平野啓一郎の小説。なぜ復生者が起こったか、その帰結についても劇中では説明されていない。
 徹生は柄本祐、妻の千佳は鈴木杏、佐伯は阿部サダヲが熱演している。
「17才の帝国」も「空白を満たしなさい」も全5回の放送で説明不足。「?」のところが多く残念に思う。もう1,2回あれば。
 他にBSプレミアムで、星新一のショートショートが「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」で4月から8月まで全20回ドラマ化され、一部は地上波でも放送された。
 ショートショートの名手星新一の「ボッコちゃん」「生活維持省」「不眠症」「善良な市民同盟」「見失った表情」などの作品が、15分×1〜2本にドラマに。原作は50〜60年以上前の作品で、結末やアイデアに古さを感じるが、キャストや舞台は豪華で「えっ、この人が!」と驚き、見入ってしまう。
 星新一は昔作品の「友好使節」が中学の国語教科書で取り上げられたり、手塚治虫のW3のキャラクターモデルになった。
 自分の作品が映像化されるのを好まなかったそうだが、生前、何度もドラマ化された。
「世にも奇妙な物語」で「おーい、でてこーい!」をはじめ何作も取り上げられている。
 以上、NHKは近年SF作品のドラマが目につくが、朝の連続テレビ小説や大河ドラマでSFアイデアを取り入れる日が来るのも近いかもしれない。

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No.492(Web版142号)2

 水木さんのこと

 加藤弘一

今年は水木しげるさんの生誕100周年ということで島根県境港の記念館に行って来ました。
本当は記念館に着くまで100年とは知りませんでした。すいません。
6月25日コロナの第7波の前、空梅雨の暑い日でした。
松江から乗る電車は鬼太郎と猫娘があり、止まる各駅には元の駅名と妖怪の名があり、いよいよ妖怪の町に近づいたなあという雰囲気があります。
境港の駅に着いて、妖怪ロードを歩きますが、とにかく暑い、真夏のような道を汗たらたらと進みます。神社の水に浮かぶ目玉(親父?)を触って涼み記念館にトウチャコ。
普通の時に来ていないので100周年で何処が違うのか分かりませんが、表には100年を祝う妖怪達の一枚絵があります。これを観ながら整理券を渡して入館します。
それにしても水木しげるさんは、40代のときに少年誌で売れるようになるまで、鳴かず飛ばずの日々を苦しみながら過ごされました。
これは大変凄いと作品群を観ながら今さらながらに思いました。
水木さんはガロの頃は白土さんのパロディものがけっこうあります。
「すみませんねえ。」なんて言って描いていたのでしょうか。今の同人誌のはしりなのでしょうか。あの独特のユーモア溢れながらちょっと不気味な絵柄とリアルな背景が楽しい。
記念館を出た後、近くのラーメン屋さんで牛骨ラーメンをいただきました。
醤油味の普通の味でした。
居酒屋で夜に頼んだしじみの酒蒸しは絶品でした。
濃厚なスープとアサリくらい身のでっかいしじみが旨かった。
最後に「ぐっ、ぐっ、グルメのぐっ!」になりました。

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No.492(Web版142号)1

 約2ヶ月前の読売新聞の32Pめに載った記事です

 by 渡辺ユリア

TV番組にも取り上げられていたので、見た方は多いと思います。(印刷版PM参照)立山の写真は、室堂平で撮影されたと思います。標高2000mの場所です。ここには、私は行ったことがあるので大いにおどろきました。これから(8/27~8/29)福島県のほうに行く予定です。たしかFーconの分科会に「福島県とUFO」というのがあると思います。タイムテーブルにのってました。ではこのへんで
                yullia 2022.8.24

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No.491(Web版141号)5

 少し珍しい記事を見つけました!!

 by 渡辺ユリア

今年の5月のはじめに読売新聞でみつけました。(印刷版参照)
「ペット交友録」は毎週火曜日にのるのです。
以前にTV番組でネコメンタリー、と言う番組があって、ますむら先生と3名のネコたちの日常が放送されました。
8/27(土)からひらかれる日本SF大会の前に山形市に行って「ますむらひろし展」を見学するよていです。
けっこうアタゴオルシリーズが好きです。うちの四女も気に入ってます(アタゴオルシリーズが)ではこのへんで
                    yullia 2022.7.22

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No.491(Web版141号)4

 最近のテレビアニメ作品について   

 新村佳三

今年の春アニメは、名作がたいへん多く、近年これほど充実したシーズンは記憶にないほどでした。SPY×FAMILY、まちカドまぞく2、ダンス・ダンス・ダンスール、などの傑作アニメが目白押しで、楽しまれた方も多いでしょう。
特に感心したのは、SFアニメのヒーラーガールです。内容は、女子高生3人の物語で、西洋医学、東洋医学以外に、音声医学というものが存在している世界の話です。3人は、音声医学のヒーラーを目指していて、資格取得までの治療院でのトレーニングの日々、C級資格取得試験、出張研修、などが描かれます。ヒーラーとは、具体的には、歌によって患者を治療する施術で、作品的にはミュージカルに近いものになります。したがって、音声医学を長々と解説するシーンなどはなく、女の子が歌って踊って、今日も患者さん治ってよかったね、で、終わります。
とはいえ、音声医学の筆記、実技試験、音声医学の国内での立ち位置、学会での状況、病院の医療現場との微妙な軋轢、外科手術支援の様子、海外での状況、日本との技術格差、等々も描かれており、本格SFの香りも。残念ながらあまり話題にならなかった作品で、SFマガジンもスルーでした。好みの分かれる作品だったのかもしれません。

 

夏アニメはもう始まっていますが、期待のSFアニメといえば、話題沸騰のリコリス・リコイルでしょう。
錦木千束と井ノ上たきな、の二人の少女が主人公で、特殊な治安維持組織によって平和が保たれている東京が舞台です。二人は喫茶リコリコで働きながら、そこに持ち込まれる様々な依頼を受けて活躍します。作品のテーマ的にはテロと治安維持あたりだと思われ、なかなかタイムリーな作品です。近距離銃撃戦なら無敵の千束と、中遠距離なら任せろのたきなのバディストーリー、痛快ガンアクションです。まだ明かされていない秘密がいくつかありそうで、先の展開はわかりませんが、期待の作品です。
最近、急にクオリティの高い作品が多く発表されており、海外でも高い評価で(おそらくはコロナ禍による自宅待機のせいで、日本のアニメの視聴は海外でコロナ前の数倍に増えている)文化的なターニングポイントとなるのかもしれません。

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No.491(Web版141号)3

 高橋和希氏のこと

 加藤弘一

かつて少年ジャンプで遊☆戯☆王を連載していた高橋和希氏が沖縄でダイビング中に亡くなった。
聞いた話ではあるが、ダイビング中はボンベの酸素を常にチェックしながら行動する訳だが、余りにも美しい光景を観ているとついそれを忘れてしまうらしい。
某ヤマトのプロデューサーのように漫画に従事した人は海で亡くなるのだろうか。
高橋和希氏は漫画もヒットしたが、其の中で主人公達が行っていたカードゲームが売り出されると、海外でも公式ゲーム大会が開かれる程爆発的にヒットした。
他の漫画も続けとばかりにカードゲームが売り出されたが、そうはイカの◯◯◯◯だった。
遊戯王カードゲームは自分のカードの山から5枚手札に持ち、手札の中のモンスターや魔法、トラップカードなどを状況に応じて場に出して相手とバトルするもので、良くできていた。
写真(印刷版PM参照)は5枚手札に揃うと神が降臨して勝ちが確定するエクゾディオス、他は主人公遊戯の所有しているカードの数々で、絵柄もなかなか楽しめるようになっている。
写真2枚目の中央上のブラックマジシャンは遊戯の主力カードで、魔法カードとのコンボで勝利を呼ぶカードのひとつである。
高橋和希氏が亡くなった事で、追悼のカード大会が行われるかも知れない。
しかし、今は新カードや新しいルールが多数登場しているので、古いカードでは太刀打ち出来ないだろう。

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