No.494(Web版144号)3
デューン砂の惑星
福田淳一
「デューン砂の惑星」は、アメリカの作家フランクハーバートによるSF小説で1965年(昭和40年)に書かれた。「デューン砂の惑星」に始まり、「デューン砂漠の救世主」「デューン砂丘の子供たち」「デューン砂漠の神皇帝」「デューン砂漠の異端者」「デューン砂丘の大聖堂」と続いていく6作品で構成される大長編の作品である。この「デューン砂の惑星」は、1965年度、世界SF大会(ワールドコン)で選定される「ヒューゴー賞」と、アメリカSFファンタジー作家協会が選定する「ネビュラ賞」の2つを受賞している。
アラキスという一面乾ききった砂丘や砂漠ばかりの、死の世界が広がる過酷な惑星は、抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の産地であった。皇帝の命を受け、主人公ポウルの父レト・アトレイデ公爵一行がこのアラキスに乗り込んでいく事になる。しかし到着後、裏切りや宿敵ハルコンネン男爵の攻撃によりアトレイデ家は滅亡してしまう。ポウルは母親のジェシカと砂漠へ逃れ、砂漠の民フレーメンとなって帝国とハルコンネンの陰謀に挑戦していく。生と死をテーマにし、人類のサバイバルと進化、生態学や宗教と政治と権力を交差させて物語が展開する。
1972年(昭和47年)、この「デューン砂の惑星」の日本での出版に際し、「デューン砂の惑星」全4巻、「デューン砂漠の救世主」全1巻、「デューン砂丘の子供たち」全3巻のカバーと本編の挿絵を石ノ森章太郎が担当した。
4巻とも総ページ数はまちまちで、本の厚さが均等ではないが、1冊に付き、カラー口絵が見開きで1点、本編は15点(3巻のみ14点)のイラストが描かれている。これらのイラストは、タイトルが「砂の惑星」と、砂漠が舞台になるためか、基本的に点描を多用しているのが特徴である。
だが、1985年3月に「デューン/砂の惑星」の映画が日本で公開後は、この文庫本の表紙や挿絵は映画版のスチールに変更された。さらにその後は、イラストは加藤直之が担当する事になる。
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