« No.497(Web版147号)1 | トップページ | No.497(Web版147号)3 »

No.497(Web版147号)2

 やはり続く不滅のまんが道

 中村達彦

 昨年、マンガ家の聖悠紀が亡くなった。
 マンガ同人集団作画グループで活動。少女マンガやアニメ・特撮のコミカライズマンガの活躍で注目され、「宇宙戦艦ヤマト」「忍者キャプター」などを手がけた。アニメでは「超電磁マシーンボルテスV」や「闘将ダイモス」のキャラクターデザインに参加した。
 少年マンガでも作品を発表。病気に悩まされながら、長く描き続けた。
 代表作「超人ロック」は作画グループで始まってから、雑誌を替えて50年も続いてきた長寿のシリーズだ。
 遥か未来に活躍するエスパーのロック、外見は緑色の髪が特徴の少年で、その超能力はサイコキネシスやテレパシーはもちろん、自らを不老不死に、惑星を滅ぼしてしまうほど、計り知れない。
 ロックは平穏に一人の人間として過ごすことを願うが、その超能力からいろいろな事件に巻き込まれる。ロックは普段善人だが、悪意には怒りをもってあたる。
 多くの人がロックとすれ違い、大小の時間を経て去っていく。
 人類はドライブ航法で他の天体へ。銀河連邦を築くが、長い時の後、大変動で崩壊、銀河帝国を樹立する。動乱は続き、再び銀河連邦へ、更に長い年月が流れていく。エスパー以外にクローン、アンドロイドなどSF小道具が多く登場する。
 ロックの物語は、80年代初頭から注目されアニメに、84年に映画化され、その後複数OVAになった。他のSFマンガ、SF小説にも影響を与え、「超人ロック」を題材にしたゲームも作られている。
 シリーズ中、「魔女の世紀」「ロード・レオン」「光の剣」と幾多の話がある。
 デザインやタッチは最初と大して変化が無いが、ストーリーは工夫されていた。あるエピソードのキャラクターが、後続のエピソードにおいて再登場をしたり、あるエピソードでロックが登場しなかったが、後半意外な姿で絡む、ロックが家庭を作るなど考えられ、マンネリを感じさせなかった。しかし長く話が作られた。最初ははまっていた自分もいつの間にか、長すぎる物語の追跡をあきらめた。
 そして作者の死と共に、物語は幾つかの謎を残して未完で終わった。
 聖は作画グループの活動でも、他のマンガ家たちと共作し、作品を生み出した。
 70年代半ばから80年代初めに一世を風靡した。同じ世代のマンガ家で、柴田昌弘、和田慎二、新谷かおるがいる。
 彼らは少年マンガのみならず少女マンガでも活躍、メカも可愛い女の子もうまく、ヒットしアニメになった作品を幾つも生んだ。
 彼らの描いた作品読みたさに、周囲の眼を気にしながら、少女マンガを読んだ記憶が。
 皆、逝去もしくは引退した。
 先日、マンガ家の桜田吾作が亡くなった。少女マンガからデビュー、幾つのオリジナル作品を発表したが、マジンガーシリーズのコミカライズで注目された。それはアニメよりハードな展開でやり過ぎの感があった。女性キャラクターも色っぽかった。
 多くのマンガ家は、先人の大御所マンガ家に大きな影響を受けた。聖も石ノ森章太郎(石森章太郎)の「マンガ家入門」を読んでマンガ家を目指したとされる。石ノ森章太郎も手塚治虫に大きな影響を受けた。
 昨年NHKで36年前にドラマ化された「まんが道」が再放送された。脚本を書いたのは、「純ちゃんの応援歌」「たけしくん、ハイ!」も手がけたヒットメーカー布勢博一。
 第二部の「青春篇」はトキワ荘が舞台になっており、若きマンガ家たちが描かれた。ドラマキャストには、もう亡くなられた方や、当時は脇役だったが後にブレイクし現在も現役の方があちこちに。
 87年、ドラマが放送された直後、作者の藤子不二雄はコンビを解散し、2年後には劇中で若手マンガ家を励ましていた手塚治虫が亡くなっている。
 昨年秋、藤子 不二雄Ⓐに続いて、「まんが道」にも出演した永田竹丸も亡くなった。
 児童マンガをメインに活躍、大ヒットは無かったが、70年代にテレビマガジンで「冒険コロボックル」「ジムボタン」「クムクム」とアニメ作品のコミカライズを手がけた。
 当時のテレビマガジンは仮面ライダーやマジンガーシリーズの特集で人気を誇ったが、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄も同誌でマンガを描いており、トキワ荘状態だった(桜田吾作も別冊で東映まんがまつりのマジンガー作品をやっている。多作だがよくやれたな)。
 トキワ荘のマンガ家たち、作画グループの活動、マンガ家たちの活動は時を経て続いていった。
 フィクションでも、マンガ「ケロロ軍曹」8巻に、「まんが道」オマージュのエピソードがあるし、コミックが長期連載され、アニメや実写映画になった「バクマン」も「まんが道」後継作品であろう。
 そう言えば、マンガ連載が続き、Eテレでアニメが放送されている大今良時の「不滅のあなたへ」はファンタジーだが、突然現れたものが動物や様々な人間に生まれ変わって、長い年月を過ごすのは「超人ロック」を連想させる。
 前にも言ったが、まんが道は続いてるのだ。

|

« No.497(Web版147号)1 | トップページ | No.497(Web版147号)3 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« No.497(Web版147号)1 | トップページ | No.497(Web版147号)3 »