No.499(Web版149号）4
例会場所のお知らせ
例会の場所は、しまうま珈琲 幸店（浜松市中区幸1-4-12）です
https://www.shimauma-coffee.com
金曜日の２１時前後くらいからです
2023年4月
No.499(Web版149号）3
松本零士先生の作品の思い出
by 渡辺 ユリア
松本あきら・・というＰＮで作品を読んだのが最初だったと思います。タイトルは忘れましたが、ファンタジーマンガ（それも壮大な）でした。主人公の瞳に心を奪われました。素敵なストーリー。そして牧 美也子先生との合作のファンタジー作品も素敵でした。その後、おふたりは御結婚されました。
そして３年ほど前に岡崎子ども美術博物館の企画展で “有名作家の１０代の頃の作品展 ”というのがありました。その中に松本あきら先生のペン画がありました。１３才の頃の作品で左側に女の子【瞳が大きくてきれい】右側に林のある絵でした。もうその頃から女の子をペンで描かれてたんだ・・と思い、すごいな、と感嘆しました。味わいのある絵です。ちなみにその展覧会では横尾忠則先生の作品もありました。
そして松本あきら先生は突然、松本零士というＰＮに変えたのです。どうしてだろう・・と思っていたら作風も変化しました。壮大なファンタジー作品から日常的な物語へと。“男おいどん” や “四畳半物語” へと。この作品も味わいがあります。サルマタケにはびっくりしました。“轍” も考えさせられる作品です。一方で “しましまのミーめ” などのようにしま猫のミーくんが主人公の作品もあります。先生の日常の１コマを見ているようで楽しかったです。瞳が大きく魅力的なミーくん。
“ ヤマビコ１３号（たぶん１３号だったと思います）”という作品はＳＦですね。現在の人が読んでも色あせない優秀な作品であると思います。ストーリーは未来の日本ではヤマビコ１３号が発明されてから、その末端である時計型の部品を身につけることが義務となった。そういう法律が出来たのである。それは身に着けた人の過去の罪を全部記憶しており、トラブルに巻き込まれた時に、どちらが正しいかを直ちに判定する。大きな声でふたりの罪状を話すため、プライバシーが開かれてしまう。結果として人々はヤマビコ１３号が発明されてから、気持ちが落ち着かなくなり、不満がふくらみつつある・・という話です。さあどうなるか。では、この辺で
yullia 2023.3.21 AM 12:00
No.499(Web版149号）2
巨匠を偲ぶ、幾つかのこと
中村達彦
聖悠紀の死から間もないのに、マンガ家松本零士も亡くなった。訃報はニュースで取り上げられ、多くの人から弔辞が寄せられた。
これまでルーナティックでも複数書いているが、改めて松本について綴ってみたい。
自分は、小学校の時に「宇宙戦艦ヤマト」を観て、「ダイバーゼロ」や「ザコクピット」などを読み、他にも細かいメカ描写、可愛い女の子、時にはハッピーエンドに終わらないストーリー、所狭しと並ぶメーターなどのＳＦマインドに引き込まれた。
陸軍パイロットの子で産まれた（生年月日は石ノ森章太郎（石森章太郎）と同じ）松本は空や宇宙に憧れ、山を駆けまわり、昆虫についての知識を知り、終戦に伴い長く貧困に苦しむも、マンガやＳＦ、クラシック音楽について身につけていく。
高校卒業後上京。少女マンガで活動するもなかなか認められず、不遇の時が続いたが、「光速エスパー」「四次元世界」「スーパー９９」などの作品を発表。ＳＦ小説の挿絵も手がけた。「男おいどん」がヒット。７４年に「宇宙戦艦ヤマト」に参加。続いて「銀河鉄道９９９」「宇宙海賊キャプテンハーロック」などはアニメ化され一世を風靡した。
戦艦大和が、蒸気機関車が宇宙を飛び、逆境に苦しむ主人公を厳しく優しく助ける長髪の美人、ロマンを見せてくれた。
そして数年にわたるアニメブームを興す。
公開前日から沢山の観客が映画館に訪れ、話題作りで、ミステリー列車やミステリー航海があり、当時のニュースで取り上げられた。
アニメは映画専用で新たに作られ、演出効果は、観る者を圧倒させた。現在の作品と比べても見劣りしない映像だ。
長編のアニメが作られヒットするなど、現在は珍しくはないが、先駆けと言えるだろう。
アニメブーム後半では、「機動戦士ガンダム」などがあり、松本アニメと取り上げられ、相乗的に盛り上げた（「千年女王」と「機動戦士ガンダム」のキャスト声優はほぼ重なる）。
松本はアニメが大好きで、前からマンガを描きながら、独学で研究を続けてきた。少年時代には初期のアニメを観た。実は手塚治虫も、同じ時期、同じ映画館で同じ作品を観た。
手塚が多忙で九州に来た時、若き松本に手伝ってもらう。縁が続き、上京後、手塚に奢ってもらい、更に夫人のマンガ家牧美也子と引き合わせてもらっている。
手塚、松本、石ノ森はアニメ大好きと自称し、少なからず貢献した。アニメーターには彼らのマンガタッチを巧みに真似できる人が。手塚は中村和子、松本は増永計介、石ノ森は紺野直幸が挙げられる。
手塚はブラックジャック、松本はキャプテンハーロックと似たキャラクターを生み出している。そう言えば２０年前、スマップスマップで木村拓哉がハーロックのコスプレをするコントがあり、木村は小学校の時、憧れはメーテルだったとコメントした。夫人の工藤静香はメーテルに似てるような。
松本マンガは、リアルさを欠いている、ストーリーやキャラクターにパターンがあると、８０年代半ばに人気を失っていく。
亡くなるまで漫画を描き続け、アニメ化されるなど面白い作品もあったが、ほとんどが昔のリニューアルで、あまり新しいマンガを描かなかった。絵柄も落ちていった。
昔から未完、打ち切りの作品も多かった。完結した「銀河鉄道９９９」も続編が作られたが、その結末まで描かれなかった。そして「銀河鉄道９９９」や「宇宙戦艦ヤマト」などの作品が１つに繋がって、大きな敵と戦う話を進め、読んでみたが面白くなかった。
２１世紀に入ってから、西崎義展プロデューサーと「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を巡って争い、ミュージシャン槇原敬之と歌の歌詞に自分の作品をパクられたと訴え、その裁判で注目された。他にも自分のアイデアが多く盗まれたと言っていた……。
松本作品は１つの世界観となっていると昔から言われているが、後から追加で新しい話が加わり、いろいろ「あれっ？」と思う部分が多く、整合性に欠けていた。
整合性、クロスオーバーでは水島新司の「大甲子園」が理想的だし、石ノ森章太郎の「ギターを持った少年」（イナズマン対キカイダー）。藤子・F・不二雄の「ドラえもん」へのパーマン２号のゲストがあるが。
口うるさい頑固爺さんに見える松本零士だが、話好きで、ファンには優しかった。ＮＨＫのど自慢に参加した出演者が歌う前に、松本にサインとイラストを頼んだ時、快く応じ、参加者はＴＶで礼を言っていた。
若きクリエイターを励ます姿もあった。影響を受けた人も多いだろう。
マンガで、苦しむ若者たちにエールを送る主人公たちの台詞や姿には力が入っていた。
若い頃のこととか人生訓のことをマンガでもっと語って欲しかったが。
島本和彦は２月２６日の朝日新聞朝刊２５面で、ヤマトや９９９などの思い出を語った。代表作で、自伝部分を多く含んだ「アオイホノオ」では松本作品をはじめ多くのマンガ・アニメとの思い出が語られた。仮面ライダーごっこに興じる庵野秀明の姿もある（彼が本当にライダー映画を撮るとは）。デビュー上京した島本がアシスタントで入ったのは、松本アシスタントを務めた新谷かおる。やはりまんが道は続いているのだ。
遠く時の輪の接する処でまた。
No.499(Web版149号）1
松本零士さんについて
加藤弘一
松本零士さんが亡くなられた。急性心不全85歳である。
手塚さんは宇宙に未来を持ち込んだが、松本さんは宇宙にロマンを持ち込んだ。
スターシアや、メーテル等の神秘的な美女は伯母にあたる人の写真の姿をモデルにしたとか有名女優とか色々説があるが、美しい女性だったのだろう。
独特の松本メカはアルカデア号やヤマトに存在感を与え、旧式の蒸気機関車のような999を最新式の恒星間列車に変えた。
夢に見たイメージを絵に写したと言うが、是非ともその光景をみたかったものである。
初期の作品に擬人化した昆虫漫画があり、美しい蝶に恋した若者が彼女の体から沢山の子供たちが出てくるのを見て、「僕がこんなに愛しているのに別の子供を！」と憤るシーンがある。
ヤドリバチに産卵させられた蝶の話であるが、絵は大変シュールである。
ＳＦ作品は数あるがお薦めは「ミライザーバン」。
世界と時代をさ迷う若者の話である。
未来と過去は円で繋がっている。そして時空間とは ◦ ◦ ◦ と言う壮大なＳＦ作品である。
さて、月刊レッドでは最後の999が連載されている。
結末までいけるのだろうか？心配である。
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