No.502(Web版152号)2
(Paper moon502号印刷版参照)
処理水とは、危険のない濃度まで薄められたものとされている。
海に流されれば海流に乗り、さらに薄められてただの水となる。
はずであるが、これが固まりの様になって、太平洋から日本海の朝鮮に来てしまうと、マスコミが報道している。
AI(エイアイ)がこれを学習してしまったら、どんなチャットの怪情報が流れてしまうのか心配である。 加藤弘一
(Paper moon502号印刷版参照)
処理水とは、危険のない濃度まで薄められたものとされている。
海に流されれば海流に乗り、さらに薄められてただの水となる。
はずであるが、これが固まりの様になって、太平洋から日本海の朝鮮に来てしまうと、マスコミが報道している。
AI(エイアイ)がこれを学習してしまったら、どんなチャットの怪情報が流れてしまうのか心配である。 加藤弘一
「ザ・フラッシュ」「アクロス・ザ・スパイダーバース」のことなど
中嶋康年
映画「ザ・フラッシュ」観ました。【映画内容に触れています。深いネタバレはしてないつもりですが、ご注意ください】
最近のヒーロー映画のテーマはマルチバース花盛りで、これもそうなのだが、時間を逆戻りして過去であることを変えると、未来は別の世界になってしまうという昔からあるあれである。「スパイダーマン:ノーウェイホーム」では違う世界のスパイダーマンが次元を超えてきたという設定で、違う役者が演じたスパイダーマンが一緒に出たが、「フラッシュ」では同時に出ることはなかったものの、バットマンが違う役者が演じている。フラッシュが行き着いた改変された世界では、スーパーマンはいないが、スーパーガールがいた。スーパーガールと言えば、何回か映像化されていて、いずれも長い金髪、コスチュームはスカートと決まっていたのだが、今回のスーパーガールは黒髪のショートカット、コスチュームはスーパーマンと同じブーツと一体化したレギンス(ドラマでは「スーパーガール・シーズン5」(2019)がこれと似たスタイルだった)が新しい感じで、今までのスーパーガールのイメージを一新した。演じたのはサッシャ・カジェ(Sasha Calle)ボストン生まれのコロンビア系アメリカ人。”LLE”をジェと発音するのは、セビリア(Sevilla)やパエリア(paella)と同じくスペイン語独特の発音で、日本語で表記するときは「リエ」と書くのが普通だが、これはスペインのスペイン語のときで中南米のスペイン語は「ジェ」に近く聞こえる。カジェはコロンビア系ということで中南米ふうに表記したのだろう。
今回のフラッシュの役者エズラ・ミラーは「ジャスティスリーグ」のときも出演したのだが、暴行事件をはじめとする数々の問題を起こしていて、この映画も公開が危ぶまれたが、だいぶ綱渡り状態の公開決定だったようだ。役者の暴行事件と言えば、今年2月公開のマーベル「アントマン&ワスプ:クアントマニア」で初登場した「征服者カーン」役のジョナサン・メジャースも暴行事件が報道された。ボクシング映画の「クリード」にも出演しており、これからのマーベル映画(「アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ」などとタイトルにもなっている)にもメインの悪役としてクレジットされているので心配である。
余談だが、バリー・アレンの同級生ということでアイリス・ウェストというジャーナリストが出てくるが、彼女はドラマ版「フラッシュ」で彼と結婚する人物である。
さて、同じ6月16日に公開されたのがアニメ「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」。2018年の「イントゥ・ザ・スパイダーバース」の続編。こちらも主題は「マルチバース」。番号のついた「アース」という並行世界にいろいろなパターンのスパイダーマンがいるという設定は前作と同じ。アース間の移動は腕につけた次元移動装置で移動する。「フラッシュ」の並行世界は過去を改変したため改変世界ができたという体だが、「スパイダーバース」では、並行世界はすでにそこにあるものとして描かれている。「ノー・ウェイ・ホーム」のスパイダーマンはどれもほとんど変わりはないが、「スパイダーバース」はまさしくバリエーション豊か(性別、年齢などバラバラで人間でないところもある)で見ていて面白い。その各アースのスパイダーマンが「スパイダーバース」の調整をする「スパイダー・ソサエティ」を結成しているのだが、そこに主人公のマイルズ・モラレスが入ったための騒動が今回の映画。ところが、この「アクロス・ザ・スパイダーバース」は前編で、これからというところで2024年3月公開予定の「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」に続くのである。
SFか否か
中村達彦
チャットGPTをはじめ、自律AIの躍進が注目されている。
AIが文章を考えて書く。大学や企業、市役所や国家でも、その使用についてそれぞれ賛否の声分かれているそうで。
ラブレターやレポートに留まらず、いずれは創作をやり、人間より面白いSFを書くとギャグみたいになるかもしれない。著作権などの問題もあるが。
既に故人のマンガや歌をAIで復活させている。昔のSFで取り上げられてきた機械が知性を持ち、人間に取って代わろうとする話が信憑を帯びて来る。
ウクライナの戦争、アメリカや中国でも、ハイブリッド戦やフェイクニュースでAIによる情報操作が話題になっている。
一般人が当たり前のようにスマホを持ち、画像や文章を作ってSNSで発信する。50年前には考えられなかった。SFだ。
話は変わるが、冬に書いた記事で質問があった。SFかと思っていた作品がじゃなかったと言われたことはなかったかと。
それ程SFについて精通していないし、友人と激しく意見を交わしたことがなかったが、時々、SF作品とされるものを読んで「これSFか?」と思ったことはある。
作品のジャンルにSFと銘打たれたし、自分の中で「これはSFだ」と幾つかのルールがあり、頭の中でそれをクリアするか否かで、SFかどうかを判断した。
最初は文学だけであった日本SFは、マンガやアニメ、特撮も取り込んでいく。
70年代に、劇中にUFOが出てくるだけでSFとなったり、設定考証を聞いて「あれっ?」と首を傾げるSFアニメが幾つかあった(ヒットした作品もある)。
かつて書かれたSF小説を今思い返してみると「これファンタジーだろ」と言う作品も幾つかある。大御所と言われるSF作家も「これSFか」の話を書いているが、特に福島正美の「異次元失踪」は今でも印象深い。
中学校教師が主人公で、生徒たちが、人間消失の事件を話し合っている場に出くわしたが、その後、生徒の一人が行方不明に。彼が異次元消失に巻き込まれたかと思うようなことが相次ぎ、教師友人のSF作家が絡んでくる。教師自身にも、異次元が迫るような。そして意外な展開に。
結末はSFではない。福島はSFマガジン編集長を務めたSF通だが最初から意図して本作を書いたのだろう。現代にも通じている警鐘が幾つもある。
89年にある著名なSF作家と会わせていただくことがあったが、その方は、当時大ヒットした別の人のSF作品について「あれはSFでない」と一刀両断したものだ……。
細かい設定考証がSFにつきまとい、突き詰めていかなくてはいかないが、難すぎてSF離れを招いてしまうことも。
この少し前からSFより、ファンタジーが勢い強くなる。ファンタジーの代表作「グインサーガ」もSFが隠れている。
SFがファンタジーとされたり、ライトノベルに流れて行ったり、或いはホラーやミステリーなど他ジャンルと融合し、SFか否かの境目が怪しくなる。
90年代に入り、SFと銘打たれていれば売れないと言われるまでの冬の時代が続く。
瀬名秀明の「パラサイト・イブ」。ホラー大賞を受賞し、映画やゲームにもなっている。細胞遺伝子のミトコンドリアが自我を持ち、暴走するが、SFとも取れる。
「パラサイト・イブ」で注目された瀬名はSF「ブレイン・バレー」などを発表、SF作家クラブ会長を務めた。
同時期に、鈴木光司の「リング」「らせん」が注目された。呪いのビデオを巡るホラーであった「リング」続編である「らせん」は、特異ウイルスの発生がバックに。
「リング」「らせん」が98年に映画化された時、マルチメディア戦略で3作目をどうするか、悩んだそうで。
「リング」「らせん」の舞台はコンピューターで構築された現実そっくりに作られた架空世界で、ウイルスや登場人物が架空世界のみならず現実世界にも影響を与えていると、SFの謎解きが。主人公の正体は……。
この時期には、梅原克文を忘れてはいけない。「二重螺旋の悪魔」「ソリトンの悪魔」「カムナビ」など、ホラー、伝奇がかった大作を発表。自分の作品をSFではなくサイファイとして、SF論争で物議をかもした。
時は流れ、星雲賞のメディア部門で2016年に「ガールズ&パンツァー劇場版」、2018年に「けものフレンズ」が受賞した時、「作品としては面白いけど、これSFかね」と思ったが。
90年に開始、現在もTVスペシャルで続いているフジテレビの「世にも奇妙な物語」は多くの不思議を扱ったドラマだが、SFの小説やマンガを原作にしたものも多い。いつか星雲賞メディア部門を受賞して欲しい。
最近WBCに熱狂したが、そのTV放送で流れたクレディセゾンのCM。複数の宇宙人の乗る宇宙ステーションに、宇宙服を着た佐々木希演じる地球人が絡む内容で、幾つも作られたがこれはSFだろう。
去年星新一のショートショートがNHK夜ドラで放送されたが、今年は6月藤子・F・不二雄のSFマンガが取り上げられた。
実写ドラマだが、原作マンガの面白さを俳優たちが再現している。
他にも、あちこちでSFを入れたドラマが。
日本SFは、衰退したように見えるが、細分化し、溶け込んでいたのだ。
ワールドダイスターの謎 新村佳三
4月からバンダイナムコフィルムワークスの製作するアニメ「ワールドダイスター」が放送されている。今期は話題作がとても多く、その中ではあまり注目はされていない。
ストーリーは、演劇が大ブームとなっている世界。多くの役者にとってその頂点と言われているのが「ワールドダイスター」。一人の少女が劇団「シリウス」の中でワールドダイスターを目指す物語。
「ここな」というその少女、「一人二役(ダブルロール)」という能力を持っている。別人格を作る能力だ。初めはオーディションに落ちて落ち込んでいる所を励ます為に現れた「静香」という少女。ここなを励まし、演劇上のアドバイスをして、演技プランを考え、参考になる演技をやって見せてくれる。
静香の姿はここなにしか見えない。声もここなにしか聞こえない。この段階で視聴者は「静香って、ここなのイマジナリーフレンドなのか?」と思う。
ここなはシリウスのオーディションに合格し、初舞台に臨む。そこでトラブルが発生し静香が舞台に登場してアドリブで難を逃れる。
静香が他の人にも見えて、声が聞こえるのだ。しかも他の人に触れながら演技をする。肉体を持った一人の少女として登場する。
ここで視聴者は混乱する。静香とはなんだろう?
彼女以外にもシリウスには奇妙な役者が多く存在する。
驚異的な集中力により爆発的な演技力を得られるだけでなく、役を演じる上で必要な情報をわずか数秒でインプットできるドイツ人の少女。
一瞬にして場を支配する並外れた演技力で観客に幻覚すら見せる小学生。
テレパスなのか、観客の心の声が聞こえ、観客が何を求めているのか理解し、立ち位置や動作など臨機応変に対応して舞台をコントロールする少女。
超スピードや超加速で舞台上で起こったどんなミスも瞬時に演技に変えることが可能で、その動き、仕草を上質な表現にする少女。
青春演劇物語を想像してたのに、異能力による超常現象ドラマになってしまう。
既視感がある。かつて一世を風靡したサッカーアニメ「イナズマイレブン」だ。
サッカーアニメとはいっても中学生!が繰り出す必殺技の応酬がリングにかけろ的な作品だ。その中でもゼウス中学のアフロディが使うドリブル技「ヘブンズタイム」を思い出した。
「ヘブンズタイム」、アフロディがそう言うと、頭上でパチンと指を鳴らす。周囲の時間が停止し、その間にアフロディが敵の選手の横を歩いて通り抜ける。もう一度指を鳴らすと停止した時間が動き出し、動揺する相手選手を突風が吹き飛ばす。究極のチート技だ。
登場した時には、いくらなんでもそんなのアリか?と話題になった。無論、本当に時間を止めるのではなく、トリックがあるのだが。
さて、静香にはどんな秘密があるのだろう
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