No.506(Web版156号)2
スポーツと木
加藤弘一
大谷がホームラン王になった日本人では初であり物凄い事だ。
産経新聞によると大谷のバットは、昨年使っていたアシックスのカバノキ科のバーチからアメリカのジャッジ(昨年のホームラン王)も使っているチャンドラー社の材質もより固いカエデ科のメープルに切り替えたのだ。
昔々バットの材料はモクセイ科のトネリコやアオダモ(コバノトネリコ)だった。
衝撃に強くしなりもあるトネリコはテニスのラケットにも使われている。
ところが適材がだんだんなくなって同じ科のタモ類を使うようになった。
そうなると強度低下とか色々問題が出てきた。
そこでショッカーの改造人間ならぬ改造木材をメーカーは開発した。
強度を附けるために樹脂を圧縮注入し、かって王選手がホームランを量産した圧縮バットが作られた。
これはいいと各メーカーはより高圧な圧縮バットを生産し始めた。
そこでプロ野球協会が乗り出し、基準を決め現在に至っている。
タモの無垢の材質であれば衝撃を吸収しその弾性で球を飛ばす訳であるが、今は樹脂を注入した鉄のように硬い素材でバットを作りその強靭な反発力で球を飛ばしているのである。
当然、160キロ近い速球を弾き返すバッターには相当な衝撃がかかるが、以前のトネリコのようにバットが吸収しないので人体がそれを受けることになる。
恐らくは肘関節や周辺の筋肉が大きなダメージを受ける事になるだろう。プラスしてバットの長さも長くしているので、フルスイングした時の力も加わる。
今年、大谷が後半怪我をしたのもこんな事情があったからではないのだろうか。
来季の調整が心配である。
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