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2024年6月

No.513(Web版163号)3

 ローダンの話

 加藤弘一

先日。早川書房からなにやら封筒が来たので開けてみるとローダンのエコバッグが入っていた。
シリーズ700巻達成記念の応募をしていたのを忘れていたのである。
500巻から始まった銀河ハンザサイクルにまつわる話とエスタルトウサイクルが終了し、新しい話が始まったのだ。
とはいえ読了したわけでは無く自分は629巻をさ迷っている最中である。
500巻以降からドイツの新しい作家が続々登場し、翻訳者も新しい人が増えてきた。
慣れない文体のニュアンスの為か読書に難儀するようになってしまったのだ。
また経費節約の為か挿し絵も無くなり、難儀な文体から場面を想像するしかなくなり、おまけに他の本も読んでいる(浮気?)ので、どんどん遅れていくのだ。
まるで、のぞみで走る翻訳陣をこだまで追っているようである。
松谷さん(最初の訳者)を懐かしむ日々でもあります。

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No.513(Web版163号)2

 怪獣は日本SFの顔か

 中村達彦

 4月に亡くなった山本弘は、と学会の活動で超常現象、UMAについて取り上げ、厳しい意見を述べていた。
「MM9」は代表作と言える小説で、2005年から2012年に書かれた。
 怪獣の出現が日常茶飯事の世界。怪獣の出現を予測する組織として気象庁内に設置された特異生物対策部気特対。
 怪獣と戦うのは自衛隊で、怪獣を体重により等級化するMMがあり、それに合わせ災害は設定されている。
 気特対主人公たち。怪獣災害の予想、分析がメインで、外れて責められることも。
 怪獣の存在する物理交渉が考えられ、多重人間原理と言う設定が作られている。
 東宝特撮やウルトラシリーズUMAなどからのオマージュが濃い。
 全3巻+外伝1巻。
 1巻で山本の趣味もあって、とんでもない怪獣が登場する。次巻、次々巻もストーリーに絡むが、その姿は絶対に映せない。
 次巻では、世界観は同じだが、新しいキャラクターが登場する。宇宙人も絡む。
「MM9」は2010年7月に1クールドラマで放送され、アニメ企画もあった。
 ドラマは、樋口真嗣が監督を手がけ、後に「シン・ウルトラマン」をやった時、参考になったのでは。ストーリーやキャラクターは原作と異なっており、先に述べたとんでもないものも登場しない。
「MM9」とは別に、山本は「多々良島ふたたび」と言うアンソロジーを書いている。「ウルトラマン」エピソードの後日談で、読んでいて「えっ」と言う仕掛けがある。こう言う話をもっと書いてもらいたかった。
 山本は特撮やアニメの大ファンだが、考証やストーリー展開に厳しい。 
 怪獣小説で、山本に称賛されているのは、有川浩が2005年に書いた「海の底」。 
 横須賀の米軍基地。一般にも開放されていたが、突然、巨大なザリガニ(甲殻類)の大群が襲撃、人々を襲い捕食していく。 
 基地内にいた海上自衛隊の潜水艦は、居残っていた若い隊員夏木と冬原が任されるが、潜水艦はザリガニに囲まれ動けない。しかも、艦へ避難して来た子供たちがいた。
 子供たちを守って、夏木と冬原は助けを待つ。一方、アメリカ軍と自衛隊の駆け引き、現場機動隊員の戦い、対策にあたる警察幹部が電子掲示板で意見を求めるなどが描かれ、巨大ザリガニの正体も明かされる。 
 子供たちは、大人に従っている良い子ではなく。住んでいた団地の人間関係を反映している。夏木との対立他のドラマも。
 幾つもの思惑を絡め、物語は進む。
 自衛隊などの組織、登場兵器について相応に取り上げ、怪獣もののオマージュがあちこちに。映像化して欲しいものだ。
 有川は「空の中」と言う怪獣+自衛隊+ライトノベルの作品があり、「図書館戦争」「三匹のおっさん」「フリーター家を買う」などの映像化された面白い小説を多く発表している。最近はご無沙汰しているが……。
 また坂本康宏が2002年に書いた「歩兵型戦闘車両ダブルオー」も面白い。 
 会社をクビになり恋人に去られた青年雨月が、他の2人と合体ロボットを操縦して、化学物質の流出で生まれた怪獣と戦う。 
 公務員である雨月たちは、操縦するロボットの誕生理由や必殺技について知らされ驚愕する。また自分がなぜ戦うかや、自分をふった元恋人が戦いに巻き込まれ救うか否かと悩むことも。
 他の操縦者2人や職場面々、怪獣を生み出した者のドラマもある。スーパーロボットものの面も強い。  
 読み切りだが、もう少し読みたかった。
 坂本は「稲妻」とか特撮ヒーローを題材にした話を他にも書いている。
「怪獣文藝の逆襲」「日本怪獣侵略伝〜ご当地怪獣異聞集〜」などのアンソロジーがあり、大家の夢枕獏「大江戸神龍伝」、宮部みゆき「荒神」と言う江戸時代を舞台にした怪獣小説もある。
 去年秋から公開された「ゴジラ−1.0」は好評で、アメリカアカデミー賞も受賞。
 1954年「ゴジラ」。1回限りの筈が大ヒットで、70年も続くことになるとは。
 日本の怪獣は、ゴジラ以外にも作られ、SF大会星雲賞を得た作品も度々ある。実写特撮以外にも小説、マンガでも作られた。日本SFの顔とも言えるだろう。
 ゴジラ同様、長年続いて半世紀を超えているウルトラシリーズ。CGを導入して、昔は考えられなかったシーンを撮り、一定の御約束がありつつ、新しいドラマを入れている。
 最近は、夏から冬に半年間放送してから、総集編などで半年休み、続いて新作を作るサイクルが2013年から続いている。
 昨年の「ウルトラマンブレーザー」は、初心に戻っていたが面白かった。
 7月から『ウルトラマンアーク』と言う作品が始まる。TV放送後、YOUTUBEで1週間位視聴可。アニメのウルトラマン新作も公開間近。
 アニメと言えば、4月から始まった「怪獣8号」が注目。松本直也のマンガが原作。
 怪獣発生が平然と起きる現実と似た世界で、防衛隊が戦っている。
 主人公の日比野カフカはかつて防衛隊に憧れていたが、現在は怪獣死体処理に就いている。カフカは防衛隊就任の機会を得るが、彼の身体は怪獣に侵されていた。画はシリアスとギャグが混同しており飽きさせない。
(假面特攻隊と言う東京の同人誌イベントによく出店しているサークルで、特撮の原稿を書いています)

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No.513(Web版163号)1

 はるこん2024アフターレポート

 by渡辺 ユリア

 2024年4月20日〜21日まで、川崎市国際交流センターで開かれました。ゲスト・オブ・オナーはメアリ・ロビネット・コワル氏と麻宮騎亜氏。海外GoHは久しぶりに来日しての参加です。コワル氏は、作家であるだけでなく、声優でもあり、人形遣いでもあります。「宇宙へ」でヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠を達成。外に「火星へ」「無常の月」「ミス・エルズワースと不機嫌な隣人」(いずれも早川書房)が翻訳されています。
 オープニングの後のGoHウェルカム インタビューで、氏の声を聞きましたが、明るい声で素敵なお声でした。ゆっくりとお話しされていて、インタビューの方の質問にも、明るく答えてみえました。麻宮氏は少し前に眼の手術をされて、まだ回復されてなく、物が見えずらいとの事。少し時間がたてば見える、との事でした。
 私の参加した分科会は14時からの逆ダボス会議でした。作家さんたちが “どうやったら人類は滅亡するのか” というテーマでディスカッションしました。けっこう白熱してました。では、この辺で。
                    yullia 2024 5.19

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