No.518(Web版168号)2
UはUFOロボグレンダイザーのU
中村達彦
7〜9月まで放送されたアニメ「グレンダイザーU」。1975〜1977年まで放送された「UFOロボグレンダイザー」のリブートで、全13話。スタッフは福田己津央、大河内一楼、貞本義行はじめガンダムやエヴァンゲリオンに関わった面々。
なぜ現在グレンダイザーをやるのか釈然としなかったが、ヒット作を連発するスタッフが参加するならと作品を観てみた。
「UFOロボグレンダイザー」は、マジンガーシリーズの第3弾だが、当時のUFOブームを反映し、それまでの展開を一新し、「えっ?」「あれはどうなった?」と言う疑問が多かった。それでも絶大な人気があり、外国でも放送、再び大ヒットとなった。
「グレンダイザーU」は、スーパーロボットマジンガーZが活躍している世界で、記憶を失った青年が中東の砂漠で発見され、マジンガーZの操縦者で大富豪の兜甲児は、青年を宇門大介と名付け迎え入れる。
やがて宇宙からベガ星連合軍の大軍団が迫る。戦うも、敗れるマジンガーZ。
直後、青年は記憶が目覚め、自らは宇宙人のデュークフリード、超ロボットグレンダイザーで来た。グレンダイザーの圧倒的なパワーで、ベガ星連合軍を撃破する。
デュークフリードは両親を殺害、同胞を虐殺した大罪人と。無実を信じる甲児。
デュークフリードの妹のマリア、婚約者のルビーナ、彼女の姉でデュークフリードの親友のテロンナも地球に来る。
東映まんがまつりで公開された「宇宙円盤大戦争」や桜多吾作のコミカライズマンガも入っているのを感じた。
第1話から最終回まで観たが、感想はがっかりした。面白くなかった。
一般でも非難が集中している。
毎回、設定、台詞に「あれっ?」ということが続き、一概では言えないほど。それが積み重なっていった。
キャラクターの心情、行動は、その場限りが目につき、一貫性がない。デュークフリード、ルビーナ、テロンナそれぞれの心情も、優しかったり、ツンデレだったり混乱し、感情移入出来ない。カッコいいメカアクションも少なく、作画は粗が多い。
1クールの話で、あれもやりたい、これもやりたいと詰め込み過ぎ。
50年近く前の「UFOロボグレンダイザー」より悪い内容。
脚本からチェックしないのか? 途中で試写してこれおかしいんじゃと思わなかったのか? 著名なベテランスタッフは、名前を貸してるだけなのか?
もっとも大破したマジンガーZが、宇宙人の技術からマジンガーXに再生され、甲児が乗って活躍するとか、弓さやかや光子力研究所と「マジンガーZ」の設定がきちんと絡むとか、本当はこっちが無理なく、「UFOロボグレンダイザー」はこう言うのが観たかったんだよなと思う。
また声優やOP、EDは良かったんだが。
サウジアラビアのムハンマド・皇太子が、創設した中東のコンテンツ会社マンガ・プロダクションズがライセンス契約を結び「グレンダイザーU」制作を援助し、予算も潤沢にあったと言われるが。イスラエルを巡る紛争で環境がごたごたになったのか?
一応の決着は付いたが、カタルシスに欠けていた。明かされなかったことが多く、続きがありそうな雰囲気だが、未定。
1977年に放送されたロボットアニメ「超電磁マシーンボルテスV」は、フィリピンで大ヒット。のみならずリブート実写作品が作られ、好評を博し、日本でも公開される。
2018年に上映された「マジンガーZ INFINITY」。「マジンガーZ」「グレートマジンガー」後日譚。
幾つか「?」のところもあったが、過去の作品のオマージュ、敬意が感じられ、CGで描かれたロボットアクション格好良かった。
その3年前に作られ、最近もBS12で放送され、YOUTUBEでも視聴可の「サイボーグ009VSデビルマン」。
違う作者同士の傑作。それぞれの敵が手を組み、009とデビルマンが挑む。東映まんがまつりののりで。まさか作られるとは。
昔永井豪の「けっこう假面」でサイボーグ009のパロディをやったが、その時、師匠の石ノ森章太郎は承諾してくれたのか?
先にこれらの昭和アニメの人気作品リメイクが、昔の面白さを見せてくれたから、「グレンダイザーU」も期待したのだが。
時代は大きく遡るが、1980年に放送された「ドラ・Q・パーマン!」。
藤子不二雄のドラえもん、オバケのQ太郎、パーマンが共演するクロスオーバー。
それぞれのパートナーが宿題をやらないので喧嘩をしてしまい。飛び出したドラえもんたちは一堂に集い、自分たちだけでキャンプをやろうと。一方、馬鹿にされたのび太たちは、見返してやろうと頑張る。帰結は。
原作と比べ「?」もあったが面白かった。
今年は、昔活躍し、当たり役が多かった声優が次々に亡くなった。「ドラ・Q・パーマン!」に出た大山のぶ代、小原乃梨子、三輪勝恵が亡くなり。太田淑子や大竹宏も既に鬼籍に。後に「パーマン」で3号を演じた増山江威子(「ルパン三世」峰不二子の方が代表作だが)も亡くなった。
10月半ば、「宇宙戦艦ヤマト」50周年のイベントで庵野秀明が、大ファンであったヤマトの新作に着手すると発表された。
まだ脚本も完成していない、いつ公開されるか未定。「グレンダイザーU」みたいになるかもしれないし、挫折してしまうかもしれないが、待とうではないか。
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