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2024年11月

No.518(Web版168号)2

 UはUFOロボグレンダイザーのU

 中村達彦

 7〜9月まで放送されたアニメ「グレンダイザーU」。1975〜1977年まで放送された「UFOロボグレンダイザー」のリブートで、全13話。スタッフは福田己津央、大河内一楼、貞本義行はじめガンダムやエヴァンゲリオンに関わった面々。
 なぜ現在グレンダイザーをやるのか釈然としなかったが、ヒット作を連発するスタッフが参加するならと作品を観てみた。
「UFOロボグレンダイザー」は、マジンガーシリーズの第3弾だが、当時のUFOブームを反映し、それまでの展開を一新し、「えっ?」「あれはどうなった?」と言う疑問が多かった。それでも絶大な人気があり、外国でも放送、再び大ヒットとなった。
「グレンダイザーU」は、スーパーロボットマジンガーZが活躍している世界で、記憶を失った青年が中東の砂漠で発見され、マジンガーZの操縦者で大富豪の兜甲児は、青年を宇門大介と名付け迎え入れる。
 やがて宇宙からベガ星連合軍の大軍団が迫る。戦うも、敗れるマジンガーZ。
 直後、青年は記憶が目覚め、自らは宇宙人のデュークフリード、超ロボットグレンダイザーで来た。グレンダイザーの圧倒的なパワーで、ベガ星連合軍を撃破する。
 デュークフリードは両親を殺害、同胞を虐殺した大罪人と。無実を信じる甲児。
 デュークフリードの妹のマリア、婚約者のルビーナ、彼女の姉でデュークフリードの親友のテロンナも地球に来る。
 東映まんがまつりで公開された「宇宙円盤大戦争」や桜多吾作のコミカライズマンガも入っているのを感じた。
 第1話から最終回まで観たが、感想はがっかりした。面白くなかった。
 一般でも非難が集中している。
 毎回、設定、台詞に「あれっ?」ということが続き、一概では言えないほど。それが積み重なっていった。
 キャラクターの心情、行動は、その場限りが目につき、一貫性がない。デュークフリード、ルビーナ、テロンナそれぞれの心情も、優しかったり、ツンデレだったり混乱し、感情移入出来ない。カッコいいメカアクションも少なく、作画は粗が多い。
 1クールの話で、あれもやりたい、これもやりたいと詰め込み過ぎ。
 50年近く前の「UFOロボグレンダイザー」より悪い内容。
 脚本からチェックしないのか? 途中で試写してこれおかしいんじゃと思わなかったのか? 著名なベテランスタッフは、名前を貸してるだけなのか?
 もっとも大破したマジンガーZが、宇宙人の技術からマジンガーXに再生され、甲児が乗って活躍するとか、弓さやかや光子力研究所と「マジンガーZ」の設定がきちんと絡むとか、本当はこっちが無理なく、「UFOロボグレンダイザー」はこう言うのが観たかったんだよなと思う。
 また声優やOP、EDは良かったんだが。
 サウジアラビアのムハンマド・皇太子が、創設した中東のコンテンツ会社マンガ・プロダクションズがライセンス契約を結び「グレンダイザーU」制作を援助し、予算も潤沢にあったと言われるが。イスラエルを巡る紛争で環境がごたごたになったのか?
 一応の決着は付いたが、カタルシスに欠けていた。明かされなかったことが多く、続きがありそうな雰囲気だが、未定。
 1977年に放送されたロボットアニメ「超電磁マシーンボルテスV」は、フィリピンで大ヒット。のみならずリブート実写作品が作られ、好評を博し、日本でも公開される。
 2018年に上映された「マジンガーZ INFINITY」。「マジンガーZ」「グレートマジンガー」後日譚。
 幾つか「?」のところもあったが、過去の作品のオマージュ、敬意が感じられ、CGで描かれたロボットアクション格好良かった。
 その3年前に作られ、最近もBS12で放送され、YOUTUBEでも視聴可の「サイボーグ009VSデビルマン」。
 違う作者同士の傑作。それぞれの敵が手を組み、009とデビルマンが挑む。東映まんがまつりののりで。まさか作られるとは。
 昔永井豪の「けっこう假面」でサイボーグ009のパロディをやったが、その時、師匠の石ノ森章太郎は承諾してくれたのか?
 先にこれらの昭和アニメの人気作品リメイクが、昔の面白さを見せてくれたから、「グレンダイザーU」も期待したのだが。
 時代は大きく遡るが、1980年に放送された「ドラ・Q・パーマン!」。
 藤子不二雄のドラえもん、オバケのQ太郎、パーマンが共演するクロスオーバー。
  それぞれのパートナーが宿題をやらないので喧嘩をしてしまい。飛び出したドラえもんたちは一堂に集い、自分たちだけでキャンプをやろうと。一方、馬鹿にされたのび太たちは、見返してやろうと頑張る。帰結は。
 原作と比べ「?」もあったが面白かった。
 今年は、昔活躍し、当たり役が多かった声優が次々に亡くなった。「ドラ・Q・パーマン!」に出た大山のぶ代、小原乃梨子、三輪勝恵が亡くなり。太田淑子や大竹宏も既に鬼籍に。後に「パーマン」で3号を演じた増山江威子(「ルパン三世」峰不二子の方が代表作だが)も亡くなった。
 10月半ば、「宇宙戦艦ヤマト」50周年のイベントで庵野秀明が、大ファンであったヤマトの新作に着手すると発表された。
 まだ脚本も完成していない、いつ公開されるか未定。「グレンダイザーU」みたいになるかもしれないし、挫折してしまうかもしれないが、待とうではないか。

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No.518(Web版168号)1

 チ—地球の運動について— を読んで、そしてアニメを観て思った事

 by 渡辺 ユリア

 まず、この物語は15世紀【前期】P王国某所から始まります。ヨーロッパのどこかの国ですね。このコピー(印刷版PM参照)は "チ" の第1集のコミックスの裏表紙です。カバーではなく、本のほうです。この中で印象に残った言葉は ”不正解は無意味を意味しない” です。この言葉は12才のたぶん天才だったラファウが最後に言った言葉です。派遣異端審問官のノヴァクに対して。そしてその後の場面は・・・悲しい。でも、ラファウの最後の表情は、満ち足りた表情だったように感じられました。命をかけてフベルトと自分の導き出した研究を、誰か、後の時代の者に残すために。”正気じゃない。わけもわからん物に熱中して命すら投げる。そんな状態を "狂気" と言うとは思わないか” ノヴァクの言葉に対して ”たしかに。でも、そんなのを ” 愛 "とも言えそうです” ラファウの言葉。次回がどうなるのか気になります。では、この辺で       yullia 2024.10.24

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No.517(Web版167号)3

日本SF大会やねこんRアフターレポート 2

 by 渡辺 ユリア

 7月7日やねこんRが終了してから、帰りの送迎バスの時間が15時半だったので、それまで私はお昼ごはんを食べるために新本館の3Fに行ったり、1Fの売店でみやげを買ったり、1Fのロビーで長い間座ったりしました。バスの隣の席の方は女性の方で、長野県の塩尻市の方で、実家の隣の家の畑から、昭和30年代に翡翠の勾玉が発見された、とおっしゃってました。そして送迎バスでJR茅野駅に行く途中で、尖石縄文考古館があって、そこに縄文のヴィーナスと仮面の女神像が展示されているそうです。その近くの縄文時代のムラの遺跡からそれらは発掘されたそうです。博物館に行ってみたいと思いました。
 そして送迎バスでJR茅野駅に戻り、少し時間をつぶしました。駅の東口から少し離れた所にはSLが置いてあります。そして東口の北側に、人の背丈より少し低いぐらいの、縄文のヴィーナス像と仮面の女神像が置いてあります。陶器製です。そして16時50分発のグランドホテル蓼科滝の湯さんの送迎の車に乗ってホテルに行きました。緑の森と小さな滝のある小さな川に囲まれたホテルです。ホテルのフロントでチェックインして、まず部屋に行きました。そして窓から外を見ると小さな川がありました。素敵な風景です。先に露天風呂に行きました。けっこう遠くて迷いました。お湯は天然温泉で気持ちよかったです。その3段になった露天風呂の端から、森に囲まれた小さな滝が見えました。その段々になった湯船とは別のところに "武田信玄のかくし湯 "なるものがあって、湯に入ってみると、これは、と思いました。お湯の泉質が違って、肌がスベスベになりました。気持ち良かったです。夕食はヴァイキングでおいしかったです。次の日の朝食もヴァイキングでおいしかったです。パンがいっぱい種類があったのでたのしめました。午後1時半発の送迎車に乗ってJR茅野駅に戻りました。
  では、この辺で。        yullia 2024.8.20

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No.517(Web版167号)2

 名探偵登場(後編)

 中村達彦

 明治後半、黒岩涙香が海外のSF・推理小説を次々に翻訳、のみならずオリジナルの小説を書き、日本初の探偵小説と言われる。
 大正時代、医学博士小酒井不木が推理小説の評論や翻訳を手掛け、良質な少年探偵小説も創作。多くの人と親交を結んだ。病弱で40歳で亡くなったのが惜しまれる。
 黎明期で忘れてはならないのが森下雨村。1920年に翻訳探偵誌「新青年」の編集長となった森下は、7年も務め、翻訳だけでなく、新人の創作にも力を注ぐ。
 小酒井と親交があり、自身も少年探偵ものを書いている。
 ちなみに、森下雨村の親戚は、SF作家森下一仁で、その子孫は今年のSF大会でピアノを披露した森下唯(ピアニート公爵)。
「新青年」には甲賀三郎、大下宇陀寺ら推理小説に留まらない優れた才能が集まる。少し遅れてSF作家でもある海野十三も。
 雨村の次の「新青年」編集長は横溝正史。甲賀三郎より少し早くデビューしたのは江戸川乱歩。この2人が、日本推理小説の大家で、100年に渡り影響を及ぼす大探偵を生み出すのは言うまでもない。
 まず江戸川乱歩、エドガ・アラン・ポーの名前からペンネームを引用し、1923年に「二銭銅貨」を発表。「心理試験」「黒手組」次々に推理小説を手がけ、更にエログロな倒錯の「淫獣」「人間椅子」「押絵と旅する男」「芋虫」「孤島の鬼」「パノラマ島奇談」などが大きな反響を呼ぶ。
 また明智小五郎が活躍するシリーズが注目。大正後半から昭和始め、「一寸法師」「蜘蛛男」「黒蜥蜴」「魔術師」「吸血鬼」と巧妙なトリックや難解な暗号を用い、探偵やか弱い女性が真犯人と言う意外な筋の作品続く。
 1930年の「黄金仮面」は、明智がアルセーヌ・ルパンと対決するが、「奇岩城」のシャーロック・ホームズみたいに、ルパンの名前を語ってはいるが、ルパンに非ず、よくルブランから抗議が来なかったものだ。
 黄金仮面と恋仲になる令嬢の名前は、不二子。「ルパン三世」の峰不二子の元ネタか?
 昭和60年代、現在は歴史研究家として名をはせている井沢元彦が「ダビデの星の暗号」「義経幻殺録」と言う大正時代の殺人事件に芥川龍之介が挑む話を書いたが、江戸川乱歩と明智小五郎が絡む。
 乱歩の作品は、エログロや残酷なシーンが検閲を受けたり、発禁になることも。1936年に「少年倶楽部」が少年向けの小説を依頼。書かれたのが「怪人二十面相」。
 明智や小林少年ら少年探偵団と怪人二十面相の捕物は、大ヒット。少年探偵団のシリーズは、26年に及ぶ。
 怪人二十面相は殺傷を好まず、愉快犯的な一面がある。SF小道具や衣装を用いる。
「宇宙怪人」では、宇宙人が飛来し、パニックに陥るが、二十面相の仕業。最後に明智や警察に二十面相が行った演説は、唯の泥棒に思えず、理にかなっている……。
 乱歩はSFにも理解が深く、作家陣と親交があった。
 ポプラ社の少年探偵団シリーズは全26巻。次に大人向けの小説も修正されて収録され、私はそれを知らず読み、大きな違いにショックを受けた。
 2014年、別の作家パスティーシュ、みんなの少年探偵団全5巻が刊行されている。
 少年探偵団や明智小五郎は昭和40年江戸川乱歩が亡くなってからも、小説のみならずマンガや映画、TVでも発表された。江戸川乱歩の美女シリーズやマンガの山口譲治作「江戸川乱歩異人館」がアレンジ加えられているもお勧めである。
 乱歩と親交があった横溝正史も、戦前から推理小説を書いていたが、戦争が終わってから本格的に創作に取り組み、昭和23年に金田一耕助が活躍する「本陣殺人事件」を発表。「犬神家の一族」「獄門島」「悪魔の手毬唄」なども注目される。
 金田一耕助の名前は、言語学者の金田一京助から採っており、横溝は、勝手に引用したことで恐縮していたが、当の金田一京助は「名前が憶えられた」感謝しているとのこと。
 なお横溝は、金田一以外の探偵、人形佐七捕物帳などの捕物、冒険譚、SFも書いた。小林少年のような少年探偵御子柴進が活躍するシリーズを書いている。
 70年代初め、横溝作品の人気はなかったが、角川春樹が金田一耕助の映画を企画、了承をもらうため、訪れる。その時、横溝はもう亡くなっていると思っていたそうだ。
 76年に映画「犬神家の一族」は大ヒット。翌年「悪魔の手毬唄」も映画化、同年「八つ墓村」も映画で大ヒット、TVでは「横溝正史シリーズ」が放送され、高視聴率。
 石坂浩二や古谷一行演じる金田一は独特な風貌で人気を博す。横溝の原作にアレンジが加えられている上、ホラー要素が強い。
 影丸穣矢、つのだじろうにマンガが描かれ、近年はJETが手がけている。
 再ブレイクに触発され、高齢であった横溝は新作を書き出し、81年に亡くなるが、幾つも構想があったそうだ。
 横溝正史も、死後も、金田一耕助をはじめとする作品群が影響を与え、明智と金田一が共闘するパスティーシュもある。
 現在、江戸川乱歩賞、横溝正史ミステリ&ホラー大賞が。「名探偵コナン」アニメはロングラン重なり、TVドラマも推理ものが多い。
 東野圭吾、米澤穂信と面白い推理小説を書く作家が現れている。最近、米澤穂信の小市民シリーズがアニメ化された。岐阜を舞台にした高校生男女の物語。幾つも事件が絡み、面白かった。来年第2期が予定と。
 推理小説は全盛だが、SFも負けずに。

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No.517(Web版167号)1

「逃げ上手の若君」のことなど

 中嶋康年

 アニメ「逃げ上手の若君」を見ている。この7月から放送が始まり、Amazon Prime をはじめ、主要な配信サイトで見られる。私はAmazonで見ているが、地上波では静岡放送の水曜日26:15からというから深夜枠である。
 タイトルや絵柄からどこか ” ほんわか ” としたイメージのアニメかと思うと、さにあらず。血しぶきはとぶわ、生首は転がるわで結構スプラッターなアニメ。まあ、それなりに頻繁にギャグが入るのでそれほど重い感じにはなっていないが、総じて軽いだけのアニメではない。
 物語は西暦1333年、鎌倉幕府が足利尊氏によって滅ぼされた後、逃げ延びた遺児、当時8歳の北条時行が諏訪に落ち延びて鎌倉奪還をめざすという実話に基づいている。原作は松井優征、「少年ジャンプ」で2021年から連載している漫画。「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の作者だというから、作風の幅の大きい人である。配信開始当時は気にも留めていなかったのだが、評判が良かったので見てみたらなかなか面白いではないか。足利尊氏などとは違い、歴史物語の登場人物にはあまりなったことのない人物によく目を付けた。南北朝の時代というと、年末から年始にかけて読んでいた荒川徹の「風と雅の帝」がちょうどその時代だったので、あとからパラパラとめくってみると、やはり北条時行、1行だけ出ていた。この「風と雅の帝」の主人公、北朝初代天皇光厳帝も歴史小説には出てこない人物だが、とても面白かったです。

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