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2025年4月

No.523(Web版173号)3

 春の新作アニメはSF多い

 中村達彦

 4月から次々に新作アニメがスタート。
 注目は「機動戦士Gunbam GQuuuuuuX(ガンダムジークアクス)」。4月8日深夜日テレで放送開始。既に先行劇場版が上映され、大ヒットしている。
 スペース・コロニーで暮らしていた女子高生アマテ・ユズリハは、少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技クランバトルに従事する。その際、ジークアクスと呼ばれるガンダムと出会う。
 続いて警察に追われる謎の少年が現れ、混迷が増していく。
 実は、46年前の第1作「機動戦士ガンダム」が改変された世界。ジオンが戦争に勝って5年後からの物語。第1作のキャラクターやメカがデザイン一新されて登場する。旧メカのガンダムやザクもデザインが変わっているそうで。
 庵野秀明はじめカラーのスタッフが制作に関わっている。監督は鶴巻和哉。カラーがガンダムを作るとは考えられなかった。庵野もガンダム第1作に大きな影響を受けたと。
 メインメカデザインは山下いくと。新しいガンダムジークアクスは、突起物が多く、正直カッコよくないと思うが。
 ガンダム第1作が79年に放送され、「機動戦士ガンダム」続編「Zガンダム」の登場はびっくりしたが、その後、続編や新作、スピンオフが続いた。
 アメリカのシドミードにガンダムデザインをやってもらった「ターンエーガンダム」や「ガンダムSEED」の映画大ヒットは記憶に新しい。かつてガンダムはSF作品か否か意見が戦われたこともある。
 アニメはおろかプラモデルやゲームでも知られ、ファンを公言する有名人も多い。
 第1作終了後、原作が度々アニメ化されたあるSF作家が「間違ってもパート2は作らないでください」と言っていたが……。ガンダムは46年も続くコンテンツになった。
 大阪の関西万博パビリオンにも、等身大のガンダム像が飾られるとか。
 機動戦士Gunbam GQuuuuuuX」。どんな帰結を辿るか気になる。
 ガンダムの企画は他にも複数進行中で。
 4月5日NHKでは、「GAMERA-REBIRTH-」が。
 怪獣でゴジラと双璧を成し、平成時代には高い完成度の作品が続いたガメラがアニメ化される。2年前に配信された。全12話。
 監督は「シドニアの騎士」「亜人」などを手がけた瀬下寛之、キャラクターデザインはスタジオジブリ出身で、幾多のSFアニメに関わった田村篤。SFに通じ、申し分ないスタッフが連なっている。
 1989年夏の福生が舞台で、それぞれ悩みを持つ少年たちが主人公。怪獣の襲撃に晒されるが、ガメラが救う。
 ガメラをはじめ、ギャオスやギロン、バイラス、ジグラとかつて映画に登場した怪獣がアニメで描かれる。
 子供たちが主人公だが、怪獣の設定やストーリー背景は大人向けで。アメリカ軍や太古から人類を操る組織も絡んでくると。
 大ヒット続くゴジラに比べ、ガメラは今1恵まれていない感あるが。
 4月6日に「LAZARUSラザロ」が、テレビ東京他で。
 西暦2052年、天才的な博士が開発した鎮痛剤が奇跡の薬と世界に広まるが、3年後、その薬は人類を破滅させると。博士は挑戦状を突き付ける。猶予は30日、その間に博士を見つけ、ワクチンを入手しなくては。
 集められた5人のチームラザロが挑む。
 全13話。話題の作品を次々に発表するMAPPAが制作し、「カウボーイビバップ」の渡辺信一郎が監督。豪華なスタッフ・声優陣が参加する。期待大。
 4月8日日テレで「アポカリプスホテル」が放送される。
 遠い未来、人類がいなくなった地球の銀座では、ロボットたちが、人間の客が再び訪れた時、迎え入れようと余念がない。
 その一体、女性アンドロイドのヤチヨ。
 人類がいなくなったことを知らずに、準備しているが……。
 竹本泉がキャラクター原案を手がけた。
 果たして人類は滅んでしまったのか?ホテルにもう客は訪れないのだろうか?
 4月2日MBSで「未ル わたしのみらい」が。僅か5話だが、別々のクリエイター、声優が手がける5つの物語で構成される。ヤンマーが製作・プロデュース。
 ロボットMIRUがタイムスリップして、様々な人に関わる。出会った人たちは影響を受け、バタフライ効果となっていく。
 ライトノベル原作でも、「俺は星間国家の悪徳領主!」や「ユア・フォルマ」情報端末(ユア・フォルマ)に記録される世界を舞台に天才少女とヒト型ロボットのバディーが犯罪に挑む、とSFテイストの作品がある。
 他にNetflix配信の作品で、「ムーンライズ」と言う作品がある。
 AIに委ねられた社会で、安定した社会のため抑圧を強いられた月が独立戦争を挑む。原作は冲方丁、キャラクター原案は荒川弘。
 新作アニメは例年数が多いが、今年春はSFものの割合が多い。
 昭和と違って、主として3カ月程度で終わることが多い。人気が高ければ、間を置いて新シーズンをスタートさせるのだ。
 昨年人気を博した「ダンダダン」「怪獣8号」も、7月に第2シーズンが放送されると。
 46年前と比べ、ストーリーでも演出でも考えられなかった作品が登場している。世界でも日本のアニメはヒット。昔の浮世絵同様に反響を呼び、しばらくは続くだろう。 
 

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No.523(Web版173号)2

 サイボーグ009トリビュート【河出文庫】についてあれこれ

 by 渡辺 ユリア

 本書は “サイボーグ009” をテーマに書かれた短編小説のアンソロジー
サイボーグ009誕生を記念して9人の作家が集まった(私は当時、小学校六年生であった)それで少し短編の感想を書かせて頂きます。


 平和の戦士は死なず  辻 真先
 読みやすかったです。あの戦争から30年、二大国が対立し、世界が冷戦化にある時代、009はフランソワーズと共に広島平和記念公園を訪れていた・・・初のテレビアニメシリーズの最終回「平和の戦士は死なず」をオリジナル脚本家がみずからノベライズした本作。・・・感想は007が良い味を出していると思いました。ラストは迫力ありました。


 アプローズ、アプローズ  斜線堂有紀
 ・ ・・音が置き去りになる時、ジョーはいつも深海を思う・・この言葉は何を表しているのか、疑問でしたが、それでも気に入りました。原作の地下帝国 “ヨミ” の後日譚。・・そして拍手が聞こえた。その後、茫漠とした光の中から、ひょっこりと見慣れた顔が現れた。007ことグレート・ブリテンだった・・・ここの文章、素敵です。さっきの拍手を辿って、ジョーはみんなの所に戻ってこられたのですね。007が、良い人だなと思いました。


 孤独な耳  高野史緒
 ちょっと珍しい001ことイワン・ウィスキーが語る物語。1984年秋ソビエト連邦のレニングラードで開催される国際バレエコンクールに出場する事になったフランソワーズと009と007と共に永遠の赤ん坊001は初めて故国に帰郷する。孤独な耳・・とは003ことフランソワーズの物語。そして彼女のバレエの表現が素晴らしい物語である。

 アルテミス・コーリング  池澤春菜
 バレエの公演で来日していた003は “コノコ” という少女との、つかの間の友情をはぐくむ。その頃、彼女はフランスで兄と共に住んでいたようです。“コノコ” の視点からとらえた物語。バレエの公演のシーンよりもその後の公園で思うままに踊るフランソワーズは素敵だと思いました。でも、読んでいくにつれて、痛々しく、そして悲しい物語となる。フランソワーズの優しい心がすべてを包んでゆくような、そんな物語。
                    2025.3.15 yullia

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No.523(Web版173号)1

「百年の孤独」のことなど

 中嶋康年

 ガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」が文庫化された。「文庫化されると世界が滅ぶ」などと言われ、それを受けて文庫の帯には " この世界が滅びる前に " なんて書かれているし、SFマガジン2024年12月号では『「滅びるはずの世界で生き延びたわれわれ」に何ができるか』という「ラテンアメリカSF特集」も組まれたのである。1972年に初めて出版されてから同著者の他の作品は続々と文庫化されたのに、この「百年の孤独」はなかなか文庫化されなかった。それがガルシア・マルケス没後10年という節目、他の出版社からも「スパニッシュ・ホラー」という企画が出されたりして、ラテンアメリカ文学の出版点数が増えてきていたという素地があったらしい。1970年代に本格的なラテンアメリカ文学ブームがあったが、それもこの「百年の孤独」がきっかけであっただろうし、今回のプチブームもNETFLIXでのドラマ化、早川書房から「『百年の孤独』を代わりに読む」というガイド本のようなものが出て後押しをしている。実際売れ行きはいいようでベストセラーにランクインした。「文庫化」は日本だけの現象だが、NETFLIXのドラマはガルシア・マルケスの息子のロドリゴ・ガルシアとゴンサロ・ガルシア・バルチャが製作総指揮を務めているので、大変な気合の入れようである。現在8話まで公開されているが、原作の全体の約3分の1ぐらいまでしか進んでいない。パート2も制作予定となっているが、公開時期は発表されていない。正直に告白すると、原作は決して読みやすい小説ではない。すごい衝撃を受けたとか、何度も読み返した傑作という読書人のレビューは数多くあるが、私自身は初版発行時は読了するのに相当時間をかけた覚えがある。現在も文庫版を再読中だが、読了にはまだほど遠い。同じような名前の人物が何人も出てくるし、非現実的な魔術的な出来事と現実的な出来事がいっぺんに押し寄せ、イメージの奔流となって流されるようにして畳みかける「マジックリアリズム」という手法を読みこなせるかどうかが評価の分かれ道となる。これにあまり乗り切れなかった私は良い読者ではなかったのだろうが、映像化の恩恵は大したもので、ドラマを見た後に読むと、同じような名前でも役者が違うから人物を追いやすいし、読んでいても映像が浮かんできて、とてもわかりやすい。
 余談だが、この「百年の孤独」原題は「Cien años de soleded」語順を直訳すれば「孤独の百年」となるが、これをひっくり返したのは訳者のセンス。またこの文庫版では筒井康隆が解説を書いているが「百年の孤独」よりお気に入りだとする「族長の秋」も文庫でこの2月末に新潮社から出た。これは初文庫化ではなく、新装版。

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