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No.528(Web版178号)2

 児童文学で面白かったSF作品

 中村達彦

 40年前、日航ジャンボ旅客機の墜落事故が起こる。520人が亡くなり、坂本九もいたのはショックでした。
 坂本九は世代的に人形劇「新八犬伝」で、2年にわたる黒子のナレーションが記憶で大きい。面白い語りで、「新八犬伝」人気の一因になった。
 同じく76〜78年、日曜家族スタジオ、こども面白館と言う番組では、「立体講談」をやり、こちらも好き。古今東西の名作物語が紙芝居で4〜8回位に分け、語られた。
 有名な物語ばかりではなく、横溝正史の「幽霊鉄仮面」とかオリジナル冒険SF「謎の惑星アラサターン」も取り上げられた。
「謎の惑星アラサターン」は宇宙冒険もの。原作は無く、制作スタッフが作ったオリジナルと思うが、坂本九の語りもあり注目した。
 1976年から78年に、TVドラマや児童文学のSF作品で、当時小学生〜中学生だった私がはまって、何度も観返した作品が複数あった。その作品を取り上げてみたい。
「消えた化けねこ帝国」 1976年刊行。
 団地が連なる場所に、3つの塾があり、勉強が苦手な子、女の子たち、ガリベンとそれぞれグループを形成している。
 ある時、女の子たちリーダーの愛犬が惨殺され、暗躍する猫の仕業と明らかに。
 猫は世界を乗っ取ろうとしていると。
 子供たちは、違うグループの垣根を越えて、団結、猫の陰謀に立ち向かう。
 主人公の少年、リーダー格や参謀格の友達、ヒロインで動物と会話ができる女子グループリーダー、秘密兵器開発で才能を発揮するが他の子を馬鹿にした言動が絶えない子。それぞれ個性が描かれる。
 猫は催眠術を使って、侵略を進めていた。
 中盤、主人公と衝突、飛び出したヒロインは行方不明に。子供たちは秘密兵器を使って地下にある猫の本拠を探し出す。
 塾の若い先生やヒロイン姉も関わっていき、猫を束ねる首領が明かされる。
 顛末は?首領の正体は?
 作者のしかたしんは、70年代から長く活躍、歴史ものや古典リニューアルなどでも著作があり、妖精戦士たちと言うSFもある。
 「竜のいる島」 1976年刊行。
 画家の息子の一郎太は、父のアトリエのある南の島に来ていた。島民の友達留吉と伝六と海に行った時、首長竜を目撃する。他にも怪獣を見たとの報が。だが一郎太が目撃したのはほんの一瞬で、他の友達は見なかった。
 その時、神社のご神体が首長竜頭部の化石らしいと、一郎太、留吉と伝六は神社に忍び込み、騒動を起こす。
 古代生物の化石を研究する一郎太の叔父は、首長竜が生きていると言う話は相手にしないが、ご神体では興味を持つ。
 イタリア人の研究家や島の新聞記者が絡み、首長竜捜索が進む。夜間の孤島岸壁でその姿を見かける。首長竜の血液も見つかり、核実験に巻き込まれたのかもと。
 一方、首長竜の首を除く全身の化石が発見され、一郎太の関心はそちらにも向く。
 現代に生きる首長竜と白亜紀に生きた首長竜の化石はクローズアップする。
 研究家はヨットを使って、海上で首長竜を確認しようと、荒海へ漕ぎ出す。
 同道する一郎太ら。対決の行方は?
 海の美しさや神秘、潜むものの不気味さが伝わってくる。
 一郎太の父や叔父は、子供の言うことを信じないばかりの頑迷な大人ではなく、子供の理解者でもあり、独自の信念を持つ。
 当時、ネス湖のネッシーをはじめクッシーやイッシー、ニュージーランドでの謎の死骸発見など相次ぎ、話を盛り上げた。
「竜のいる島」は、国際アンデルセン賞と産経児童出版文化賞を受賞。
 作者のたかしよいちは、児童向けの古生物で著作が多く、名前を聞いた人もいるのでは。動物児童文学の椋鳩十に師事している。
 「少年エスパー鬼無里へとぶ」1979年刊行
 少々、異色の作品。物語は1999年が舞台で、地球の周りに複数の宇宙植民地島が完成し、宇宙探検が行われている。
 東京中学校の生徒会長を務める雅也は、春休みに突如、中学校校舎が消失、長野県山奥の鬼無里村に転送する怪異に出くわす。
 世界各地で同じことが起きていた。
 また雅也や周囲の同級生たちは、テレポテーションなど超能力を身につけていた。
 校舎が無くなったが、雅也は町の店や住人と提携して、中学校を存続させるアイデアを提案。容れられ、新しい中学校がスタート。
 幾つかの邪魔があるが、助けてくれる謎の老人や、宇宙科学庁長官、不良風貌の同級生など謎の人物が見え隠れする。
 冤罪が続き、危うくなった時、雅也や仲間たちは真相を知った。
 謎の老人は良心的な宇宙人で、ある組織が暗躍し、大規模なテロを目論んでいると言う。
 雅也らは超能力を高め、組織と対決しなくては。不良風貌の同級生は、超能力を鍛えるリーダーで、実は可憐な美少女であった。
 彼女の特訓で、超能力が強化された雅也たちは、鬼無里で、組織と決戦をすることに。絶対に人を殺してはいけない。
 夏休み、特別修学旅行で鬼無里に赴いた生徒たちを、組織に先導された機動隊が襲う。
 決戦の行方は? 組織の正体は?
 一部設定が飛躍しすぎだが、いろいろアイデアが盛り込まれ、飽きさせない。
 作者の堀切徳太郎は他に「笛吹きピエロの秘密」があるが、それっきり。残念だ。
 こう言う現実から非現実へ入っていく話で、私はSFに引き込まれた。続く話は来年のルーナティック33号で。

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